111.トレシアスク VS ジャルーズ④
更新お待たせ致しました。
今回も対 ジャルーズ編です。
楽しんでお読み頂けると幸いです。
「てめぇ…」
トゥキーは鬼の形相でシャルガを睨め付けた。
一報シーナ達。
ドラゴン化したシュルバが前方に立ち膚かっていた。
「この姿を見た人間は皆、もうこの世にはいねぇんだべ!」
「じゃあ私達が唯一の生存者になってあげるわ!アレン、スー!お願い!」
そう言葉を返すとシーナは高速でシュルバへ向かって走り出した。
アレンとスーカは顔を見合わせ、やろう!と言った感じで視線で意思を疎通し合い、シーナに続いて高速移動する。
高速移動で近付くシーナに向かってシュルバはドラゴン特有のスキル。
吐炎で炎を吐いた。
だがシーナは物ともせずシュルバに向かって行く。
その姿を見てシュルバは何かを察した。
高速移動の為シーナは既にシュルバの足元に辿り着こうとしている。
攻撃手段を間違えた事を瞬時に悟ったシュルバは剣に光を纏って攻撃を仕掛けて来ようとしているシーナの攻撃を回避するべく構えた。
そしてシーナの横一線に振り切った一撃をシュルバはバックステップで回避した。
だがただの横一線に振り切った太刀ではなかった。
「飛光閃」
光の飛ぶ残撃はバックステップで回避したシュルバの左足の足首辺りに命中。
シュルバの左足首は切断される。
シュルバは悲痛な声を上げた。
「グギャアァァ!!」
その隙を突いてアレンとスーカが魔法を発動させる。
「ダークメテオライト」
「モルテムシャイニング」
この二つの闇魔法と光魔法の上級魔術はレジストがとても難しい。
だがシュルバは容易くこの二つの魔法を防御する。
「ブラックウォール」
ブラックウォールとは闇魔法と土魔法の融合魔法。
融合魔法は難しいとされており、殆どが上級魔法に指定されている。
シュルバが発動させた黒い大きな壁はダークメテオライトとモルテムシャイニングが着弾しても辛うじてその攻撃を防いだ。
だが流石のブラックウォールも二つの上級魔法の攻撃力により崩れ落ちる。
その間にシュルバは自身に回復魔法を掛ける。
「ヒーリング」
切り落とされた左足の足首から下が再生する。
未だダークメテオライトとモルテムシャイニングがブラックウォールへ着弾した際に巻き起こった砂煙が空気中に残っている。
が、達眼持ちのシーナにとっては関係ない。
だが逆言ったら達眼持ちのシュルバにも関係がない。
砂煙の中シーナが高速で飛び出した。
そのシーナにシュルバは魔法を発動させる。
「ウィンドカッター」
魔力で圧縮された無数の風の刃がシーナを襲う。
だがシーナは剣で防ぎきる。
少々ウィンドカッターでスピードを落とされてしまったシーナはシュルバを間合いに入れる事がまだ出来ていない。
少々距離がある事を利用してシュルバは更にシーナへ魔法を発動する。
「アイスブリザード」
大きく鋭利に尖った氷の塊がシーナへ無数に飛んで行く。
その氷をシーナが光を纏った剣で両断する。
「聖刀流奥義 閃光斬・連」
閃光斬・連はただ早いだけの抜刀術ではない。
剣を振ったその先…シーナであれば1km圏内まで光の刃が瞬時に剣の動きと共に伸びる。
すると1km圏内にある物全て両断する事が出来るのである。
閃光斬は一撃必殺の奥義ではあるが閃光斬・連は二度の抜刀にて放たれる閃光斬の連撃技だ。
それ故に無数の氷の刃を斬り、その先にいるシュルバさえも両断する事が可能だ。
だが仮にもドラグジェネラル。
アイスブリザードの氷よりも強固である。
シュルバはシーナの放った閃光斬・連が胴体にクリティカルヒットする。
身体に罰点の印が付くも両断された訳ではない。
身体に10cm程度の深い切傷を負った程度だ。
人であれば深さ10cmの傷は致命的と言える。
だがドラグジェネラルの身体は大きく、象以上の胴回りである為致命的とはならない。
シーナはこれでもダメかと悔しそうに唇を噛んだ。
だが悔しいと思う前に行動をしなければいけない。
そう直ぐに頭を切り替えたシーナはシュルバに追撃をすべく高速移動を開始する体勢を取った。
だが後ろから声が聞こえた。
「ブラックライトニング」
「ブラストレイ」
シュルバの頭上に魔法陣が発動し、黒い稲妻とキラッと光る光の粉のような物が見えたと思ったら凄まじい勢いで続々と爆発し始めた。
「グギャァァァァァ!!」
シュルバは悲痛な声を上げた。
シーナ良くやったとアレンとスーカに目配せすると高速移動でシュルバに止めを刺しに向かう。
傷口を更に抉られたシュルバは意識がはっきりしていなかった。
だが前方から飛んで来る人では考えられない程の魔力量の塊が見え意識がはっきりした。
そして即座に魔法を発動した。
「インテンシフィケーション」
自身の身体を強化した。
そして先程よりも強く、早く、固くなったシュルバは飛んで来るシーナを横に避けた。
そしてシーナが目の前を通り過ぎる前にシーナを上から叩き落とした。
叩き落とされたシーナは地面へ叩き付けられ血を吐いた。
「「シー姉!!」」
アレンとスーカは高速移動でシーナの元へ走った。
だがシュルバは下に落ちたシーナを右足で思い切り踏み付けた。
それを見たアレンとスーカは激昂。
直ぐに魔法を発動した。
「ダークネスボール」
「シャイニングレーザー」
シュルバは避けるべきだと判断。
直ぐにその場を離れる。
シュルバの相手はアレンが自分から引き受ける。
その間にスーカがシーナを救出。
直ぐにシーナへ回復魔法をかける。
「ヒーリング」
少しするとシーナが目を覚ました。
「大丈夫!?シー姉!?」
「うん…何とか。御神体のおかげかな」
「トゥキー兄に感謝しなきゃね」
「本当ね」
一方アレンはその間シャルガを一人で相手をしていた。
「ブラックアイスブリザード」
「ブラックファイアーブレス」
二つの闇上級魔法がぶつかり合っていた。
アレンはシーナをスーカに任せた。
スーカも何も言葉を交わさずともアレンがシャルガの方へ一人走って行ったのを見てその間に私がシーナを救わなければときちんと意思疎通が出来ている所流石である。
だがアレンは今まで一人で何かを成し遂げた事がない。
人一倍正義感が強く、男でなければいけないと言う固定概念も強い。
スーカは僕が守らなくちゃ、女の子は男の子が守らなくちゃと言った古い考えの男の子である。
それは幼少期の家庭環境が影響している。
アレンは貧しい家に生まれた。
記憶は小さかった為定かではないが毎日父親に母親が暴力を振るわれ泣いていた記憶がある。
父に殴られ、蹴られボロボロにされた後アレンを抱き抱え、毎回のように女の子を守れる男に育ってほしいと泣いていた。
はっきりとした事は覚えていないがその事だけははっきり覚えている。
赤ん坊ながらに母を守りたいと言う感情すら湧いた。
どういった経緯があったかは覚えていないが気付いたらスラムに一人カラカラに乾いた喉と何も食べていない飢餓状態で腰かけていた。
人には汚いと罵られ、蹴られ、殴られ、投げられ猫や犬以下の扱いをされた。
次第に人が、世界が恐くなった。
それからアレンは人目を伺い、クリン程ではないにしても臆病で自分から冒険するような事は先ずなかった。
スーカと出会って少しは男らしくはなった。
レイやトゥキーのような男になりたいと志してから少しは変わった。
だがまだ自分で何かを背負うような事はした事がない。
初めてのシュチュエーションにアレン自身不安と戸惑いを感じていた。
早く誰か手を貸して、早く誰か、早く誰か…そんな事を思いながら戦っていた。
するとシュルバがニヤリと笑いながら言った。
「おめぇ強いのに弱ぇなぁ」
「どういう意味だ!?」
「力はあるのに心が弱ぇ」
シュルバはアレンの表情を見て感じ取った。
アレンの中にある不安と戸惑いを。
「それがおめぇの隙だ」
シュルバはそう言うとブラックファイアーブレスを解き、高速移動でアレンとの距離を詰めた。
アレンはシュルバの急接近に危機を察知し、ブラックアイスブリザードを解き、防御魔法を発動させた。
「ブラックシールド」
基礎魔法にシールドがある。
そのシールドに闇属性を掛け合わせたより強力なシールドである。
シュルバはその黒いシールドを蹴った。
だがビクともしない。
シュルバは舌打ちをするとシーナとスーカを見た。
スーカがシーナを回復させているのを見てシーナがまた起き上がって来ると面倒だと思った。
そして籠城しているアレンよりもそちらを先に始末する事を優先した。
そしてシーナ達に向かって魔法を発動させた。
「ブラックファイアーブレス」
「ホーリーシールド」
スーカはホーリーシールドを発動させた。
闇属性が付与出来るのであれば光属性も付与出来る。
ホーリーシールドは光属性版のシールドである。
ただのシールドなら兎も角、ブラックシールドもホーリーシールドもそう簡単には壊せない。
それが分かっている為籠城に付き合っている暇はない。
気になるのはシャルガの方だ。
どうやらあの坊主頭のガキに手古摺っているようだ。
加勢に行こうとすると後方から声が聞こえた。
「お前の相手は僕だ!」
アレンである。
「っふ!籠城はもういいんだべか?」
「トゥキー達にもスーカ達にも指一本触れさせない!僕がお前を倒す!」
「言うべなぁ。そんな臆病におらは倒せねぇど?」
「僕は臆病じゃなーい!!」
アレンは高速移動でシュルバへ向かって行った。
次回もジャルーズとの戦いです。
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