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108.トレシアスク VS ジャルーズ①

更新お待たせ致しました。

今回はトレシアスク 対 ジャルーズです。

楽しんで読んで頂けると幸いです。

その頃ダンジョン前の広場では大騒ぎであった。

トレシアスクとジャルーズが遂に同Fにいると言う放送が町中に流れたのである。

そして先回りしたジャルーズとトレシアスクが出会った事も既におペアリス中が知っていた。

皆はこの出会いに盛大に沸いていた。

15年振りに深層部到達記録を更新した二つのパーティが120階層で出会った。

出会った二つのパーティは仲良く手を取るのか。

それとも潰し合うのか。

マナーとしては潰し合うのはご法度だがルールが明確にある訳ではない。

先に最深部へ到達した方がリミテーションスキルを得るのだ。

殺せば罪になるが潰すだけなら問題ない。

それほどリミテーションスキルと言う物には価値があり、誰もが憧れ必死に獲得しようとこの世界の何処かでもしているのだ。

国では潰し合うと予想した者達がどちらが勝つかの賭けなどをして二つのパーティの行く末を傍観していた。

ジャルーズがボス部屋に入らずその手前で待ちかえていた事も国民には報道されており、ほぼ確実にトレシアスクとジャルーズはぶつかる事を予想していた。

遂にその二組が対峙した。

国中大興奮のお祭り騒ぎであったが当の本人達には声は届かない。


ジャルーズに遊んでやるとは言ったもののボス部屋の前。

ダンジョン攻略者のルールとして他のパーティがボス戦に入っている時は待たなくてはいけない。

そもそも一つのパーティが入ると自動的に出入り口は封鎖され、決着が着くまで逃げる事は出来ない。

帰還の羽などのアイテムは使用可能。

部屋内からそのパーティが居なくなれば数分後に再度ボス部屋は開く。

恰も何事もなかったように室内は整理される。

それもダンジョンの七不思議の一つではあるのだ。

その為ボス部屋に入ってしまったらジャルーズは俺達に手出しが出来なくなる。

ボス部屋に入る前の俺達を待ち伏せてそこで叩くと言うのがこいつらの目的だろう。

だが俺は無駄な争いはしたくない。

駄目元で俺はスペシャルスキルを使う事にした。


「なぁ。お前等強そうだな。俺の仲間になれよ」


「インフォ/スペシャルスキル:統率者を発動しました」


「…ぶっ!兄ちゃん、あいつ仲間になれって言ってるべよ?」


「なる訳ねぇべや!魔王様の命令で来てんだべ!その相手と仲良くなれる訳ねぇべよ!おめアホか!」


やはりこのレベルになると効かないか。

気配を感じなかった先程と違い、スキルを解いたのか今目の前にいるこいつらはヤバいオーラが漂って見える。

もしかするとベルフェゴルに相当する力を持っているかも知れない。

俺は言葉を続けた。


「無駄な争いは避けたかったんだがな…仕方ない」


そして杖を構えた。

するとシャルガが口を開いた。


「無駄だべ。俺達にスペシャルスキルなんて効かねぇ」


バレていたか。

そして俺は念の為、皆にも掛けておく事にした。


「強いぞ。気を抜くなよ!」


「インフォ/スペシャルスキル:統率者を発動しました」


皆のステータスと士気が上がった。

そして俺は再度言葉を発した。


「クリン!」


「バキバキバキ…ドン!」


クリンが足に力を溜め、高速移動でジャルーズへ向かって行く。

それを追ってシーナが剣に火を纏わせ高速移動で向かう。


「ダーン!!」


クリンの盾とシャルガの盾がぶつかり合う音が響いた。

ジャルーズはどちらもナイトのような服装だ。

盾に剣、そして金属のアーマーを着ている。

見た感じは魔法使いと言った感じでは無いように見える。

先程のクリンの突撃は割と本気の突撃だ。

あれを食らうと大抵の者は吹っ飛ばされる。

師匠のアズラーすら数mは吹っ飛ばされる。

だがこのシャルガは飛ばされる事なく受け止め、多少は止めるのに後退りはしたが1m以内で完全に止めている。

力に関してはクリンと互角。

それは苦戦すると言う事と同義語である。

クリンもシャルガも一歩も引かない力での押し合いをしていた。

その隙を突いてシーナがシャルガに火を纏わせた剣で切りかかろうとした。

だが手前で横槍が入る。

シュルバだ。


「キン!!」


シーナの剣を止めたのシュルバ。

シュルバもまた火を剣に纏わせていた。

シーナは口を開いた。


「魔剣術士!」


「いんや!違うべ。俺達は戦士だ。魔剣術も魔剣術相手になら使うべよ。相手の土俵に立ってやらなきゃ相手が可哀そうだべ?」


「ナメてんの?」


「いんや!相手の土俵で勝ってこそ男だべ。まぁ女にはわがんね。引っこんでろ?」


「それがナメてるって言うのよ!」


シーナはシュルバを押し戻した。

シュルバは少し驚いた顔で言った。


「女のクセに力強ぇな、おめぇ。馬鹿力女だべ」


「あん?今何つった!」


シーナは言われた言葉に腹を立て、シュルバに斬りかかって行くが剣を止められる。

その裏で俺達は作戦を立てていた。

先ずは相手の力量を知らないといけない。

俺はシャルガに達眼を使った。

だがそれに気付いたのかシャルガは俺を見返した。

二人の視線が交差した瞬間、バチっと目に衝撃が走った。

シャルガに達眼を剝されてしまったのだ。

これは同スキルを持つ者同士が同時に同じスキルを発動した時に起こる現象である。

特にダメージはないがスキルによっては魔力を使うスキルもある為、そう言ったスキルの場合一度の発動と同じ魔力を消費する。

達眼に関しては魔力を消費しない為、自身のスキルを覗かれた時は達眼を自分も発動すればレジスト出来る。

同じ様にリミテーションスキルはリミテーションスキルでしかレジスト出来ない。

リミテーションスキルは魔力を消費する。

これはどのリミテーションスキルでも同じなのだと修行中教わった。

簡単に言えばリミテーションスキルの打ち合いは魔力量の多い方が勝つと言う事である。

普通まともに打ち合う馬鹿はいない。

何故なら相手の底がわからないのにむやみやたらに連発した場合、自分が負けるかも知れない。

逆に自分の魔力は底なしだと思わせる為に連発を業とする事によって相手を不安にさせる事も出来る。

トランプのポーカーと同じで相手が何の手を持っているかの心理戦も必要になって来るのだ。

相手のリミテーションスキルの魔力消費量が同じとは限らない。

そこも駆け引きの重要な要素となって来るのである。

逆に言えば受けた時にダメージも同じではない。

チートスキルではあるが完璧な力ではないのだ。


恐らく俺だけではなく、皆シャルガシュルバのステータスが気になっている為達眼を飛ばしまくっているが誰も何も言わないと言う事は恐らく全てレジストされている。

逆にこちらがレジストする事もある為

手を動かしているだけはなく、達眼での覗き見を防ぎながらシャルガシュルバは戦っており、シーナやクリンも戦っているのだ。

色々考えた後、俺は指示を出した。


「アレンとスーカはシーナへ加勢!俺はクリンとやる!」


「「了解!」」


そういうと二人は直ぐにシーナの元へ走った。

俺は歩きながらシャルガに向った。

そして少し距離を取った場所で魔法を発動させた。


「ボトムレススワンプ」


するとシャルガは足元に出来た泥沼に足を取られ、その隙に真上から振り下ろされる強烈なクリンのアックスの一撃を盾で受け止めた。

シャルガでさえ少し後退りしながらでないと止めれない一撃だ。

それを泥沼に足を浸かりながら防御した為より深く足を取られる事となった。

だが流石魔王軍隊長程の実力を持つシャルガ。

クリンの攻撃を防ぎながらも足を泥沼の外へ出して泥沼から逃れようとしていた。

シャルガはクリンとの攻防に手いっぱいといった感じだった。

それほどクリンの実力が上がっていると言う事だ。

俺はそれをいい事に横やりを入れる。


「ルーツニードル」


地中を這って根がシャルガへ伸びて行く。

そして鋭利な棘となってシャルガを突き刺す。


「っく」


シャルガは間一髪交したが1本の棘が太ももに掠り、少々足に傷を負った。

シャルガは一旦クリンと距離を取って言葉を発した。


「2対1じゃ仕方ねーべな。こっちも本気出すべ」


そういうと剣に風を纏わせ始めた。

シュルバの方も横目に見ながら戦っていた為シャルガも恐らく魔剣術を使えるだろう事はわかっていた。

その為大きな驚きもなければ焦る必要もない。

クリンは魔剣士との戦い方も修行で習っている。

慣れたものだ。

任せておいて問題ないだろう。

だがシャルガは俺の方へ向かって来た。

だが寸前の所でクリンがシャルガを止める。

俺とクリンの連携は完ぺきだ。

思うように攻撃出来ないシャルガは不満を漏らした。


「おめぇさっきからウゼェっぺよ!」


「それが僕の仕事からね。トゥキーは殺らせないよ!」


一方、シーナはシュルバと剣で押し合いをしていた。

そこにアレンとスーカが高速移動で向かって来た。


「シー姉ぇ!加勢に来たよ!」


「アレン!スー!こいつ…強いわよ」


「何人増えても同じ事だべ。おらには勝てね」


「と言いつつ既にピンチよ、あんた」


「?」


既にアレンは魔法を発動させていた。

それはシュルバの背後の地中から飛び出した。

紫色した無数の棘。

ポイズンズォーンである。

気付いたシュルバは咄嗟に盾を背中に回し、ポイズンズォーンの攻撃を防いだ。

だがスーカも魔法を発動させた。


「フラッシュフリージング」


スーカはシュルバの足元だけにフラッシュフリージングを発動させた。

一瞬で足と地面が凍りで固められる。

その隙にシーナが動く。

そもそも聖刀流とは力の押し合いをする剣術ではない。

相手の力をさらりといなし無防備の相手を切ると言う剣術である。

シーナは力を抜き、相手の切りたいように力を振わせる。

自分はスラリと剣を避け、身体の流れにそのまま身を任せ回りながらシュルバの背後へ回ると同時にその回転を利用して足を切り付ける。

シュルバは辛うじて剣で防御、だがシーナの舞いのような動きは流れを止めずシュルバの背後に回ると首へその回転のまま刃を振う。

シュルバも辛うじて剣で防御するがこのままでいつか切られると言う危機を察知し力づくで片足を地面から引き剥がす。

だが足に意識ばかりは向けていない。

流れるようなシーナの連撃に意識を8割向けてガードをしている。

もう片方の足も何とか地面から放し、一旦距離を取る。

少しヤバかったなと言うのは自分でも理解していた。

気は抜けない相手だと言うのをシュルバは再認識した。

それをシュルバは素直に口にした。


「な、中々やるべなぁ。おらも本気で行くど!」


「来い!」


シュルバは剣に風を、シーナは剣に光を纏わせお互い高速移動でぶつかり合った。

次回はこの続きとなります。


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