104.シウバとイヴァ
更新お待たせ致しました。
今回はトレシアスク別働隊、シウバとイヴァのお話しです。
楽しんで読んで頂けると幸いです。
話しは修行終了間近のある日に戻る。
「トゥキー様、そろそろ修行も終わりますね」
「そうだな」
「トゥキー様達との冒険楽しみだなぁ!」
「…シウバ。俺はお前とイヴァには別行動して欲しいと思っている」
「え!?」
シウバ達はシャクールの元でトゥキー達と魔法の修行をしていた。
ただトゥキー達と違うのは週に3日アズラーの元で戦闘の訓練をしていた事だ。
元人売組合の暗部…アサシンとして働いていた二人。
その為戦闘はそれなりに出来るが、何も戦闘訓練を受けていないトゥキー達よりも戦闘能力に欠けるのだ。
魔法もトゥキー達程才能はなく、魔法だけの戦闘では魔王軍には到底太刀打ち出来ない。
ただただ秀でている物があるのであればスペシャルスキル:闇隠れを持っている事。
これは人売組合の暗部に入る為には絶対的条件であり、これを取得するまで二人は必至に訓練に打ち込んだ。
元々孤児だった二人は他に行く場もない為、辛い訓練を精一杯こなさなければ唯一の居場所さえなくなってしまう。
その居場所に二人は必至で血が滲むまでしがみ付いた
その結果スペシャルスキルを獲得したのである。
暗部に入って半年。
例のツスカル山城跡での戦闘が勃発。
運悪くトゥキーと戦闘となってしまった二人はトゥキーのスペシャルスキル:統率者によってトゥキーの配下へと加わってしまったのだ。
その後も皆と一緒に修行に励み、時折トゥキーの鬼教官の訓練も受けた結果レベルはシウバが481。
イヴァが478となっていた。
勿論トゥキーの特別授業を受けている時の二人を見る皆の目は憐れんだような目をして見守っていた。
そんな共同生活の中、シウバとイヴァはこれからもこの人達と一緒に居れると思い込んでいた。
だがトゥキーの言葉はその二人を引き離すような言葉だった。
シウバはその言葉に狼狽えた。
「な、何故ですか!?」
「前々から考えていた。俺達の目標は何か」
「…」
「俺達は魔王大陸を救いたいと思う」
「!?」
「俺達の国もある。魔王軍には借りもある。差別も人権も俺達が出来る限り…最悪一国だけでもいい。皆が安心して暮らせる国を作りたい」
「そんな事をお考えに…」
「結果魔王軍との衝突は避けられない。そうなった時に動いたのでは遅いと思うんだ」
「なるほど。魔王大陸の地理に多少知識があって魔王軍に近しい者が探ってくれると何れ役に立つと」
「流石暗躍持ちだな。話しが早くて助かる」
「わかりました。イヴァには俺から伝えます。出発はどうしましょう?」
「それは俺達と一緒で問題ない。俺達の最初の目的はダンジョン攻略だ。何年もかかるかも知れないしな」
「わかりました。ではそれまではお傍に」
「ああ。頼んだよ、シウバ」
「は!」
それから二人はバルテオナからイザリア王国へ渡り、港町から船で魔王大陸であるニビアへ渡った。
ニビアで馬を買い、魔王城のある国、ダフダキシタンへ向かっていた。
その手前の国、ヴィラク王国からは魔王城が見える。
そのヴィラクの首都ダグバッドを歩いている時にシウバは孤児風の少女とぶつかった。
それはほぼ少女からぶつかって来たようなものだがシウバはその少女に謝った。
少女も急いでいるからごめんと謝りその場を走って去ったのだ。
元人売組合暗部にいて元アサシン。
人に気付かれず仕事をこなすプロが気付かずに腰の魔袋を取られた。
盗まれた魔袋には現金、食糧、紙とペン、ベビーブルーワイバーンが入っている。
この距離ではFコンは使えない。
その為情報のやり取りに紙に書いた情報をベビーブルーワイバーンに括りつけてトゥキー達まで届けるのだ。
世界一速い鳥はハヤブサである。
時速300km以上で空中を闊歩する。
それに比べベビーブルーワイバーンの最高速度は500km。
常にその速度で飛ぶのは難しいが目立たず、速達で情報のやりとりが出来、尚且つ天敵が少ない為やり取りが途切れる事が少ない。
修行期間中にトゥキーが捕りに行っていたのだ。
スペシャルスキル:統率者であれば簡単に仲間に出来る。
裏切る事もない。
安全な運び屋なのだ。
その大切な情報伝達ツールが入った魔袋はシウバでないと開ける事が出来ないようになっているが大切な物が入っている為なくなるのは困る。
その為現在捜索をしているのだ。
そんなこんなをしていると屋台のおやじと何やら口論している先程の少女を見つけたのはイヴァである。
屋根伝いに捜索していたイヴァは屋根の陰に隠れて指笛を吹いた。
「ピューイ!」
それに気付いたシウバがイヴァの元まで近寄る。
「いやがった。あのクソガキ」
「何か揉めてるみたい」
二人は聞き耳を立てる。
「これ魔袋だよ!何で買い取れないの!」
「そら持ち主専用に作られてるから他の人じゃ使えねぇんだよ!そんなの買い取っちまったら盗品売ってんのがバレバレじゃねぇか!商売の邪魔だ!あっち行け!汚ねぇガキが」
それを聞き、しょんぼりしながら店を立ち去る少女を二人は追った。
人一人通れる程の狭い路地裏に入った所で退路を断つように二人で少女を挟み打ちするように屋根から飛び降りた。
「げっ!」
「っげ!じゃねぇ!俺の魔袋返せ!」
「い、嫌だよ!私が拾ったんだ!私の物だもん!」
「は?それ持ってったって売れねぇんじゃ持ってたって仕方ねぇだろ!」
「う、売れるもん!絶対嫌だ!」
「ったく。ぶっ殺してもいいんだけどよ」
そう言うと腰からミスリルの短剣を引き抜こうとして見せた。
刃物がキラっと光るのが目に入った少女は恐怖を感じた。
だがシウバは直ぐに短剣を鞘に納めた話した。
「お前みたいな孤児を殺すと親分がうるせぇからな。わかった。その魔袋を俺に売ってくれ。それでいいだろ?」
「い、いくらで?」
「500Bでどうだ?」
「そ、そんなにっ!?」
「ダメか?」
「わ、わかったよ」
「悪ぃ。イヴァ。立て替えといてくれ」
「ほら」
イヴァは金貨5枚の入った袋を少女に投げた。
少女はそれを受け取ると中身を確認し、シウバへ魔袋を投げた。
「おう。サンキュ。イヴァ、行くぞ」
「偉そうに言うな。金返せ」
「分かってるよー。怒んなよ」
「ふん」
「あの…!」
少女が二人を呼び止めようとしたが二人はその場から忽然と消えるようにその場を去った。
500Bあれば1カ月は生きられる。
盗んだにも関わらずお金で買ってくれた。
しかも500Bと言う彼女にとっては大金でだ。
少女はお礼すら言おうと思った。
だが二人は風のように消えた。
彼女はこの事を生涯忘れる事はなかった。
いつかまた会ったらお礼ではなく、魔袋を盗んだ事を謝ろうと誓っていた。
何故なら他人から優しくされたのはこれが人生初めての事であったからだ。
それから彼女が戦争に巻き込まれ命を落としたのはこの時から10年程後の事。
15歳と短い人生であった。
それから二人は再度ヴィラク王国とダフダキシタン魔王国の国境へ行った。
国境には低めの山があり、山頂へ登るとダフダキシタンが見える。
山の麓は深い樹海が広がっており、そこを抜けた所に魔王城が建っている。
二人は山頂からダフダキシタンを眺めていた。
「樹海の所々に町があるって聞いたがここからじゃ全然わからないな」
「うん。建物らしい建物も焚火の煙さえ見当たらない」
「本当に町なんてあんのか?所々に魔王軍の部隊も散らばってて魔王城に行くには各魔王軍の部隊と一戦交えなければいけないって聞いたが…」
「行ってみよ」
「だな。降りてみるか」
二人は国境の山を下りて魔王城の麓にある樹海へ足を踏み入れた。
その頃ダンジョン。
110階層を突破したトゥキー一行は111階へ降りていた。
アレンが口を開く。
「何か…ザ・ダンジョンって感じに戻ったね」
「ああ。所でやっぱレベルの上がり方が悪くなってるな」
「999までもう少しだしね。そこまで行った人間って数える位しかいないみたいだし仕方ないんじゃない?」
「僕等全員が999に行ったら急に完スト者6人になって10桁行くみたいだしね」
「でも相手の強さはレベルじゃないって所が面白いよな」
その頃ダンジョンの外では盛大に盛り上がっていた。
「トレシアスクーー!!」
「遂にダンジョン攻略者が現れたか!?」」
「スゲーぜあいつ等!!」
「俺今度会ったらサイン貰おー!!」
「私はトゥキー様のお嫁に行くわー!!」
前代未聞の120階層到達。
このニュースが町中を駆け巡っていた。
本人達はそんな事は知らないが大体の町の様子は気付いていた。
「また町は盛り上がってるんだろうね」
「だろうな」
「僕達がダンジョン攻略したらどんな反応になるんだろうね」
「恨まれる事はないだろうな」
「お祭りだね、きっと」
「私達祭り上げられるんじゃない?」
「そういうのは勘弁だな」
「私も」
「スーカはそういうの苦手だからな。そういう場が好きなのはレイ兄だけじゃない?」
「そういやあいつ何処まで行けたかな?」
「もうそろそろヘストニアには着いたんじゃないかな?」
「やっとあいつの修行の日々が始まるんだな」
「次に会える時が楽しみだね」
「ああ。きっと強くなってるぞ」
次回はレイのお話しも交えて行きます。
お楽しみに。
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