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99.100階層ボス編②

更新お待たせ致しました。

一旦ダンジョンのお話しはお休みにしました。

今後も楽しんでお読み頂けると幸いです。

聖刀流奥義 飛光閃ひこうせんとは光の斬撃を飛ばす聖刀流奥義である。

放たれた光の斬撃は正に光の速さでポセイドンの核へと一直線に飛んで行く。

そして着弾すると水が真っ二つに割れ、モーセの十戒の海割ればりに割れて行く。

俺はその威力に驚いた。

恐らくその様子を見ているスーカやアレンも驚いているはずだ。

だがやはりポセイドンは核を体中の何処にでも移動が出来るらしい。

既に再生して身体を水から出して元の大きさに戻っている。

ポセイドンは核だけ守れば良い。

核さえあれば無限に再生出来るのだから。


やはりこういった魔物との戦いに勝つには先ず手足を削いでからが上席か。

そう考えた俺はアレンとスーカに指示を出した。


「アレン!スー!両手を落とせ!」


「「了解!」」


返事をした二人はポセイドンに向かって杖を構えた。

そして魔法を発動させる。


「「エクスプロージョン!」」


するとポセイドンの両腕に魔法陣が現れ、キラっと光ったと思った瞬間大爆発が起こる。

だが間一髪ポセイドンは後退し二人のエクスプロージョンを避ける。

エクスプロージョンの爆煙でポセイドンが見えなくなったと思った瞬間、その爆煙の中から水の龍が飛び出し、こちらへ大きな口を空けながら飛んで来た。

ポセイドンの魔槍術、水龍槍だ。

俺は杖をその龍に向け魔法を発動させた。


「ダークネスホール」


すると水龍は目の前に発動したダークネスホールに吸い込まれて姿を消す。

その隙を突いてクリンが高速移動でポセイドンの顔目掛けて飛び、アックスで首を両断し、ポセイドンの背後にある足場へ着地する。

そしてシーナが光を纏わせた剣を構えながら高速移動でポセイドンへ接近。

攻撃はさせまいと、ダークネスを纏わせた槍でシーナを突く。

魔槍術黒穴突である。

だがシーナはその突きを剣で美しく流し、身体を浮かせ近くの足場を足蹴にポセイドンへ高速で飛んで行く。

足場を蹴った時に身体を横回転させてまるで弾丸のように飛んだシーナは両手で突きを放ったポセイドンの両腕が伸びきっている間に技を放った。


「聖刀流奥義 光線輪こうせんりん


剣から伸びた光が100m程伸び、360°直径100m範囲にある物全てを両断する。

勿論ポセイドンの両腕も両断。

両手で持っていた槍は腕を構成していた水と共に下に落ちて行く。

シーナの攻撃の様子を見ていたクリンはシーナが腕を落とした時点でポセイドンの左足元の足場にいた。

気配を察知していたポセイドンはクリンへ後ろ蹴りを繰り出すがクリンがアックスでその足を縦一線に振り下ろし左足を粉砕する。

クリンの攻撃を横目にしながら、シーナはポセイドンの右足元に着地。

序に右足を右斜め一線に両断した。

クリンとシーナの攻撃の早さにポセイドンは反応するのでいっぱいいっぱいであった。

だが身体がなくなってしまったら核だけとなる。

そうなった場合逃げ道はない。

ポセイドンは手や足よりもクリンに落とされた頭を再生し始めた。

ここがポセイドンの敗因となるとも知らずに。


ポセイドンは気付けなかった。

クリンやシーナの攻撃を注意しながら頭を再生しようとした結果、距離を詰めていた俺達に。

そしてスーカがポセイドンへ魔法を放つ。


「シャイニングレーザー」


杖の先端から発生した魔法陣から光の線が延びる。

そしてポセイドンの胸から下を切断して行く。

ポセイドンの身体は頭から胸までとなってしまい、落下し出す。

そこでアレンが魔法を発動する。


「フラッシュフリージング」


核を含めた胸から上の胴体を瞬間的に凍らせる。

そこで核が解凍するまでの数秒の時差が発生した事を確認した俺は高速移動で凍った胴体の近くまで移動し魔法を発動させた。


「ブラストレイ」


杖の先に発動した魔法陣からキラキラとした光が凍り付いたポセイドンの核へ飛んで行く。

そして核に光が触れた途端ババババと無数の破裂音を上げる。

上げながら凍った身体は内側から凍った身体を飛散させながら下へ落ちて行く。

最終的に着水したのは粉々に砕けた破片のみであった。

ブラストレイ。

光属性が使える事が取得条件である特級魔法である。

モルテムシャイニングと似たような感じではあるが、モルテムシャイニングと違い複数の強力な爆発を引き起こす。

魔法陣から放たれた光達は闇属性魔法以外は通り抜ける。

術者の標的に辿り着いた瞬間炸裂し凄まじいダメージを与えると言う闇光属性以外では防げない魔法である。

どうやら勝負あったようでボス部屋の広い空間の中には静寂が戻っていた。


「インフォ/Lvが760に上がりました」


俺はインフォのレベルアップやスキルアップを読み上げる声を聞いて確信した。

そして皆に闘いの終わりを告げた。


「どうやら終わったらしい」


するとシーナが近くの足場までジャンプで上がって来て答えた。


「良かった!気配が消えたから終わったかと思ったけど無限再生とか持ってるからもしかして…とは思ってたんだ」


「良いトコ取りで悪いな」


「全然だよ!寧ろ早く終わらせて欲しかった位」


「そうか」


すると皆が周辺に集まって来た。

俺は今回のクリンの働きを純粋に褒めた。


「クリン!今日良かったぞ!」


「あ、ありがとう」


クリンは少し照れくさそうに笑った。

クリンがいるからシーナが隙を突ける。

シーナがいるからダメージを与えられ、アレンとスーカがいるから俺がクローサーでいられる。

俺は皆を労った。


「皆もお疲れ!今回はボスの収穫はなかったがそれまでに倒した魔物の素材とかはある。現勇者の記録も更新した事だし、一旦町に戻って祝杯としよう」


「わーい!」


「宴会だ、宴会!」


「美味しいご飯!美味しい飲み物、いっぱい食べよー!」


「ウフフ」←スーカの喜ぶ声


俺達は109階のボス部屋を出て、110階へと降りた。

そして次は110階層の攻略へと俺達は進む。

降りた110階層は見渡す限り雪と氷で覆われた白銀の世界となっていた。


「寒っ!」


「この階層は氷雪ステージか」


「またペンギンいるかな?」


「バカ!ペンギンに散々な目に合っただろ!」


「でも今と昔とじゃ…ね」


「そうかも知れないが少なくともこの階層からレベルが俺達と同等になる。ピンチらしいピンチが今の所ないからって気を緩めるなよ?」


「わかってる」


「取り敢えず転送石埋めて宿に戻るか」


「うん」


「転送石はー…この辺でいいか」


俺は降りて来た階段の近くの壁に転送石をくっ付けた。


「これで良し!じゃあ宿に戻ろう」


そう言って腰の魔袋から帰還の羽を人数分取り出し、皆に配ると俺達は一時帰宅する事にした。

そしてダンジョンの入り口に戻り、ダンジョンを出ると大声援が待ち構えていた。


「「「「「うぉーーー!!」」」」


「本物のトレシアスクファミリーだー!!」


「お前等スゲーぞー!!」


「良くやったー!!」


「あなた達は英雄よー!」


「トレシアスク!」


「「トレシアスク!」」


「「「トレシアスク!」」」


ダンジョン前の広場は大騒ぎであった。

俺達は状況が飲み込めず、やたらとフレンドリーに肩を組んで来た冒険者風の親父に俺は状況を聞いた。

するとカルタカヤル運営局から俺達の動向が放送され、現勇者の最高到達記録を塗り変えた事も放送され俺達は15年ぶりに記録を更新した英雄扱いとなっているらしい。

全く迷惑な話しである。

ちなみにの話し、もう一組現勇者の記録へ迫っている二人組がいるらしい事も聞いた。

そいつ等はサイモンズと言うグループで現在90階層に差し掛かる所にいるとの事だった。

もしかするとダンジョン内で鉢合わせたりするかも知れない。

俺は少しその二人組が気になっていた。


俺達を祭り上げる大賑わいを中、人混みを掻き分けてカルタカヤル運営局副局長のトーマソンさんが部下のような方々を連れて俺達の前に現れ口を開いた。


「この度はおめでとうございます。あなた方がカルタカヤルダンジョン15年ぶりの最高深部到達記録更新を成しました」


「ああ。俺達が110階にマーキングして来たのも知ってんだろ?」


「勿論でございます!100階層のボスを初めて倒したのが皆様です。それで…100階層のボスは何でしたか?すみません。私共も情報が欲しくて。現勇者様達は快くお答え頂けたんですが…」


「なぁ、皆。どうする?この情報ってかなり高く売れないか?」


俺は聖者ではない。

金の為に人を殺し、金の為に薬を売って来たような男だ。

この世界ではそんな事をしなくても自分の身一つで金が稼げる世界。

売れる物は素材だけではない。

人生経験も売れる世界なのだ。


「だよねー」


「その情報は15年も誰も提供出来なかった情報だもんねー」


こういう時に悪知恵を使って来るのはアレンとシーナだ。

こいつ等は案外狡い。


「うくっ…そ、そうですよね。こんな情報をタダでは教えてくださいませんよね。大変失礼致しました。…ではお疲れの所申し訳ありませんが当局までお越し頂いてもよろしいでしょうか」


俺は皆に目配せをしてOKである意志を読み取り返事をした。


「伺いましょう」


そしてカルタカヤル運営局の一室に招かれた。

ソファに一列に座り、トーマソンさんが上に話しを通すと言う事で少しの時間待たされた。

話しが終わったのかトーマソンさんがテーブルを挟んで対面のソファに座って話しが始まった。


「先ず情報料として私共は100000Bでは如何かと考えております。ご希望に合いますでしょうか?」


俺的には妥当な値段だと思う。

何故なら100階層まで到達出来る人間は少ない。

今の所この情報を欲しがるのは現勇者か90階層付近にいる二人組位な物だろう。

だからと言って15年ぶりのダンジョン内の新情報だ。

運営局的にはこの情報は確保しておきたい。

他に売られたら倍位の値段で買い直さないといけなくなる事を見越してのこの値段なのだろう。

俺は皆に目配せをして意志を確認する。

皆納得の表情であると読み取り俺は返事をした。


「わかりました。それで売りましょう。100階のボスはポセイドンでした」


「何とポセイドン!海の神と言われるあの…。ありがとうございます。いつかは広まるでしょうがこの事は他言無用でお願いしますね?」


「わかってます」


「おい!代金をお支払いしろ!」


そういうと一人の若い男性職員と思われる人が布に包まれた硬貨を持って来た。

それを机に置くと静かに部屋を退室する。

俺はその布を手に取り、重なっている布を捲り白金貨である事を確認した。

それを魔袋に収納しトーマソンさんを見て言った。


「確かに」


「ありがとうございました。また110階層の際は御贔屓に」


「わかりました」


そして俺達はカルタカヤル運営局を出て、先ずは風呂に入りたいと言う女性陣の声を尊重して宿へ戻った。

宿まで行く間も色んな奴が話しかけて来て、最早俺達を知らない奴は町にはいないような雰囲気だった。

子供も大人もキラキラした目をして俺達に話し掛けて来る。

英雄も悪くないかと思ったがその気持ちは直ぐに消えた。

俺達は宿に戻り女性陣が風呂に入るなら…と言う事で俺達も入る事にした。

支度をしている途中、転送石がそのままで放置されていた事を思い出し転送石を探そうとした所ベッド脇の低い棚の上に置き紙があったのだ。

それを読んで俺はトラブルに巻き込まれた事を確信した。

殺気を放っていたのか、単純に不信に思ったのかクリンが話し掛けた。


「トゥキー?どうしたの?」


「城へ行くぞ」


「え!?」


その言葉が耳に入ったアレンも俺を見て質問をする。


「何でお城へ?」


「これだ」


俺は棚の上にあった紙を二人に見せた。

そこにはこう記載があった。


「転送石はクランス王宮で預かっている。ジャン・エルメ・クランス4世を訪ねて来るが良い」


それを見たアレンが言葉を発した。


「面倒事フラグだね」


「糞王族が」


「トゥキー、王様殺したらダメ」


クリンがサラッと物騒な事を言った。

その後シーナ達にも事情を話し、その日は宴会と言う気分ではなくなり明日王宮へ出向くと言う話しに纏まった。

俺達は宿で一泊し、翌日朝からクランス王宮へと向かうのだった。

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