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ベジタリアンウルフ  作者: 前歯隼三
草原の生活編
2/10

空腹の果てに!

のんびり


挿絵(By みてみん)


草原の白い悪魔との戦いに敗れ

【契約】を結んだウルフ!

あれから一晩

激しい戦いの傷は癒え、ウルフは

果てしない草原を風と共に軽やかに

スキップをしていた。

…とてもご機嫌だ!


右手に持ったのは脂の乗った骨付き肉

ガブリの食いつけばぶつりと切れて

口の中に芳醇な肉のうま味が広がる!

あぁ…俺は…この為に…生まれて来たんだな!


 ♪

  お肉にくにく にーくにく


………( ・人・)…


バッキィ!ボグゥあ!ドゴドゴドゴ!

ガン ガン! ドゥウン!


「…ッカッハ!」



油断をした…、まさか二日連続で草原の白い悪魔に出会おうとは!

ひぃいい!


……“ごめんさない、もう肉はたべません”……


言ったソバから食べてしまった。

うん、だって…狼だし!!


ッザッザッザ


「ヒィイ!ひ…羊肉じゃないです!牛です!牛肉です!」


ッザッザッザ


「ひぇえええ!…っごっふぁぁ!」




……翌日



グルルルル!草原に不穏な唸り越えが響く!

昨日の激しい戦いの傷はまだ癒えず…体中の関節がぎしりと痛む!

しかし!気高き牙の民!ウルフの本能はそんな痛みなどかまいわしない!


グルルルル!(腹の音)


「うぅーんおなかすいたなぁ…」


うん、正直こわい、羊こわい、マジコワイ。ライオンよりこわい

…さすがに三日連続で会うか解らないけどこわい…うぅ

お肉食べたい…


もしゃもしゃ


草を食べてみた。新しい試みだが、うん、苦い。


もしゃもしゃ


…うーん


ウルフは颯爽と林に駆け出す!

草原では手に入らない「ある物」を手に入れる為だ!

腹は減り続け!もはや一刻の猶予も無い!


“肉を食わない!”

この白い悪魔との契約を守りつつ、生き残る道はただ一つ!!



……翌日



草原の白い悪魔…こと、羊は朝のジョギングに出ていた。

地平線の闇が白み

冷たく心地よい風が駆け抜ける…

今日一番のこの空気を肺いっぱいに吸い込んで

羊は体を鍛え始める。

凶悪な肉食獣と戦うためには、強い肉体が必要なのだ

弱いままでは、何一つ守れない。


走り込みから始まり

鍛えまくった後ろ脚だけで立ち上がる。


シュッシュッ!

シュッシュッ!


自由になった前足にグローブを付けてのシャドウ

狡猾な肉食獣と戦うのに

角と後ろ脚だけでは心もとない…もっと…もっと全身を

余すことなく武器とする技が…

厳しい草原を生き抜くためには必要だ。


ッボ!

ッボ!


最初は軽やかだったナックルに

段々と力を加えていく。

足、膝、腰

四足では使わないような身体の使用

肩、肘、手首、スナップ


ッビュ!ババババ!

ッボボボ!ビュバッ!


(……)


ランニングしながらのシャドウも

なかなか様になって来た。


羊は草原を駆け抜け、川に至る。

遥か西の山脈から、東の海へと通じる川原だ

ここで水を飲んで家に帰ろう…


「やったーーー!」


(……!!)


ここ3日で見慣れた顔だ

黒く剛毛の生えた牙を持つ怪物=ウルフ

肉を喰らうという恐ろしい行為をしていたので

撲殺しようとしたが…肉を食わないと言っていい

泣いて命乞いをしてきたので捨て置いた


…昨日さっそく食べてたが。

さて、まさか今日も肉を食べて…?


(………)


川辺でウルフは大き目の石に腰かけて

両手に木の枝を持って喜んでいる

枝は大きくしなり、ウルフは川の方に引っ張られているのか

足で踏ん張っているようだ


しなる枝の先に…細い何か…蜘蛛の糸のようなものが光った



ザッパァアア!


「ごはん!ごはん!」


ピチピチピチ


ウルフは魚を釣ったのだ!

肉を食べていけないという契約!

しかし、草ではどうにも満たされない!


そうして林に走り!しなる枝を探し!

ツタを水につけフヤカシ!繊維を取り出して!

また…固い木のをカジって加工したりなんやかんや!

ウルフはこの野生の王国に

“釣り竿”という文明を生み出した!


「うわーいい!」



(……!!)


魚という命を両手で抑えつけ…涎をたらし…牙をむく獣=ウルフ!

白い悪魔はその惨劇を目のあたりにして思う…



(まぁ、魚ならいいか)




「生臭!」


翌日ウルフは草原に“焚火”という文明を生み出した。

まったり

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