百鬼 してばかり
きっと私は真面目すぎたのでしょう。
真面目に生きたばかりに
神様が妬んだのだ。
勉学には勤しみ。
友人関係も良好。
愛しき人とは長く。
何不足なく充実した生活をした。
困っている人を見つければ、
必ず手を差し伸べ。
怒っている人が前を通れば、
なぜ怒っているのか聞かせてもらい。
悲しんでる人がいれば、
その人のそばに。
私はそんな生き方をしていたばかりに。
女神を自称する者に
「それじゃつまらないでしょう。」
と言われた。
するとどうでしょう。
私から性別を奪っていってしまったのです。
私は私自身を見失ってしまったのです。
それからはというもの。
何もかもが手につかず。
愛しき人とも永らく会えず。
どんな人間も私を哀れんだ。
あれから何回の冬が過ぎたか。
何回目の雪が降ったか。
今思うともう少し不真面目に生きてれば。
神様の
秤りも少しはましだったのかもしれない。