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やっぱクソビッチじゃね?

 


 ───放課後、


「天音様?」

「なぁーにー」



ルビーは二人を引き連れ、また腕組み顎上げ立ち。

きっと癖なのだろうが、顔立ちが少々キツめなので威圧感がある。



「この後お時間あります? 全ては無理ですが校内を案内いたしますわ」

「おー、まじでー!ありがてー! お願いしまーーす!」



仁王像感ぱないけど、やさしーんだよなー。


どうやら三人は、私が机の上を片付けるのを待っているようで…。

んー、でも重いから全部ロッカーの中に入れとこ。

ルビー達は、『え…?』って顔するけど、『ん?』って返しといた。

だって重いし。



まずは説明されたのは、貴族棟と、平民棟。

『平民とかw お前ら貴族かよw』って思ったけど、

あ。マジもんの貴族じゃん。


この国は割かし豊かな方らしく、平民も授業を受けれるようになった。

いまから30年ぐらい前は、貴族しか学校に行けなかったらしい。


授業の内容も、平民と貴族でカリキュラムが違って、平民は農業や役所仕事とか、生活魔法応用やら生まれた家に関わらず、色んな職業を勉強出来る。

卒業するときに、向いている業種を斡旋してくれるらしい。


え?めっちゃ将来安泰じゃね?

私も斡旋されてーし!


それで貴族は国の歴史から、他の国との関係やらビジネスがどーたら、外国語がどーたら魔法レベルがどーたらと、何だか難しいし、貴族は家柄などでまだまだ縛りがあるらしい。

蛙の子は蛙。的な?


あと、爵位?っつーのでクラスが別れているらしい…。

よく分かんねーけど、イケてるグループとイケてないグループ?的な??


そーやって三人に連れられ歩いていると、流石はイケてるグループ。

目立っちゃって、そこそこの女子やら男子がヒソヒソきゃーきゃー騒いでいる。


まぁ、そもそもこんな美人三人が歩いてればそーなるっしょ。



説明を受けながら、学校を歩いていれば、

うわ。また居た。

クソビッチと、キラキライケメン王子。

まぁ、私と同じで校内を案内されてんだろーけど?


は?

袖をちょっと掴む必要あるわけ?

何なの??

女子なの?アザと女子なの???

つーか何!?

男増えてね!?


なんつーの?

可愛い系男子?

髪は落ち着いた金でふわふわ、目はくりっとしてて少々タレ目。



「あら、またお会いしましたね?」



ミカちゃんを見つけ、ルビーはお決まりポーズでご挨拶。



「やあルビー。 君も案内かい?」

「えぇ、そうですわ! それで? 美香様は…、また"ご友人"が出来たようで」



チラリと可愛い系男子を見るルビー。



「お初にお目にかかります。 僕はハート子爵の次男、リックと申します。 皆様噂通りの美しさ、学園の宝石達にお会いできて光栄です」



リックだかリュックだかは、にこりと愛されスマイルでお辞儀。

可愛い顔してしっかりしてやがんな。

こーゆー男って大体腹黒なんだよなー(偏見)



「ありがとう、宜しくお願い致します」

「嬉しいわ」

「宜しくお願い致します」


「あたしは美優。 その子と一緒に別んトコから来たんだよね。」

「よ、宜しく…、個性的な人だね…」


「そんで? ミカちゃんはどこで知り合ったんだよ」

「あ、リック君とは、廊下でぶつかってしまって、それから…」

「ふーーん」



それで引き連れてきちゃうとか。

どんな才能だし。



「美香、そろそろ行こうか」

「はい! 失礼しますっ!」

「ちょっと置いてかないで下さいよー」


ミカちゃんはきゅっと王子の腕を掴んで、リックは置いていかれぬよう、ミカちゃんのジャケットの裾を摘んで追い掛けた。



スゲー学習しねー奴じゃん。

結婚決めてる奴にそんな事すんなし。

え?

何なの?

NTR?NTRが好きなの?

つか王子も、てめーの女の前なんだから、気ぃ使えないわけ?

え?

馬鹿なの??

は?

馬鹿でしょ??



「美香様も、初めての世界で、慣れてないんですものね…」

「ルビー様…、お気になさらず…」

「大丈夫よ。 ありがとう。」



気丈に振る舞うルビーの顔は、『大丈夫』と言える顔では無かった。


そりゃーね。

目の前であれはねーっしょ。



「つーかルビーって婚約者居るんだね。 どこで出会ったの?」



そう聞くと、ニコリと微笑んで、学校の中庭とは思えない、美しい噴水を眺めながら、話し始めた。



「・・・元々…、私は公爵家の生まれですので、同じ公爵家か、一つ下の侯爵家か、年が合えば、王族かで結婚を決めるのが妥当と言うか、そういうものなのですけれど、」



「ふう、」と一息ついて、話始めるルビーは、どこか遠い目をしている。



「たまたま、王家に同じ年に産まれた男の子、つまり第一王子で未来の王ですが、その方と結婚をとうちの両親がお話を進めていまして…、元々、両家とも仲が良かったのもありますが、まぁ、所謂(いわゆる) 政略結婚ですわね。 結婚すれば私は未来の王妃。」

「やべーじゃん…!」

「ルビーは王妃だ。と育てられてましたから、政略結婚には特に何の疑問も持ちませんでした。 しかし、ある日…」



ルビーの瞳はキラキラと輝きだし、その微笑みは正に乙女そのものだった。



「あの日、私が9才の時でした。 初めて第二王子、つまりジェード様にお会いしたのです。」


「えぇ えぇ、覚えております…」

「私達も一緒に居りましたの…!」

「王家のパーティーに招待された時ですわよね!」


「えぇ、今でも覚えております…。 雷に打たれたようなあの衝撃・・・、美しく金に輝く髪に、あの笑顔…!」


 

瞳はより一層キラキラを増し、惚れ惚れするような表情…。



「つまり…ルビーは一目惚れってこと??」



かあっと、耳まで一気にルビー色に染まった。



「まっ、まぁ、そうね…! 私の一目惚れですわ…!」


「まぁ、ルビー様ったら…!」

「あのときのルビー様は本当に、いいえ、今でも、ジェード様と一緒にいらっしゃる時は、本当に、お幸せそうで…」


「そして、何とかお父様にお願いして、ジェード様と婚約しましたの…」

「なにそれ。めっちゃかわいい。」


「しかし・・・、私の一方通行での婚約ですので…、ジェード様は…、私の事は…。 あんな風に、腕なんて組んだこと…、パーティーぐらいでしか、ないのに」


「ルビー様…」

「まぁ…」


「私は、本当に・・・、ジェード様が・・・、本当に・・・」



森の湖に沈んだように、ぐらぐらと揺れ始めるルビーの瞳。


今にも涙が落ちそうだ。



「ツライツライ…!! やめよっ!ごめん! こんな話させて…!! 辛すぎるわっ…!!」

「ごめんなさい…、こんな姿…」


「ルビー様が謝ることでは御座いませんわ。」

「そうですわよ、ですからホラ、顔を上げて、いつもみたいに胸を張りましょう?」


「ッ…。えぇ、そうね。 公爵家令嬢たるもの胸を張っていなければ。 ありがとう皆さん」



例え、一方通行の恋で、政略結婚だとしても、自分をこんなにも、純粋に好いてくれる人に、何故あんな風な事が出来るのだろう。

傷付くって分かっているのに…。


つーかさ。

やっぱ馬鹿なんじゃね!?

それしか考えらんなくね!?

だって気付かねーとかマジありえねーし!!



「もう、こんな時間になってしまいましたわね。 続きはまた明日に致しましょう? 天音様にもみっともない姿を見せてしまい、申し訳ありません。」

「気にしないでー、あたしは皆と一緒に居れて楽しいし! あと様付けはナシ!!美優って呼び捨てで呼んで! うちらの世界じゃ友達で『様』とかあり得ねーから!」



そう言うと、ちょっと照れた感じで三人ははにかんだ。



「えぇ、では…美優。 これからも友達として、宜しくお願い致しますね?」

「美優、あなたのことちょっと外見で判断してしまったけど、ごめんなさい、宜しく致します」

「私も勝手に見た目だけで判断してしまったけど 、美優って文字通りお優しいのですね!」


「いやーー、照れる照れる! 見た目で判断されんのは慣れてっから! 気にしないで!」



それから私達は、「じゃあまた明日」と手を振り、其々の家へと帰った。


私が帰るのは、変なコスプレジジー達が用意した、教会のような施設のような、そんな場所にある部屋。


もちろん、日本の自分の部屋よりは広い。


でも知ってる。


明らかに!!

ミカちゃんの部屋の方が広い!!

チラッと見えたミカちゃんの部屋の中は、ヒラヒラでふわふわで、可愛い女の子のインテリアだった。


私の部屋はと言うと…?


最初、ビジネスホテルかと思ったし。

いや、今見てもマジでウケるぐらいビジネスホテルだし。


何なの??

私オッサンなの???

いーけどさ!!

しんぷるいずべすとっつーーの!?

嫌いじゃないしっ!イジリがいあるしっ!


でも、ほんのすこーーーしだけ、女の子のお部屋に憧れたり…。


いいし!いいし!

帰ったら友達と()えるラブホ行くし!!

そこで女子会するし!!

それで満足だし…!!


と、言いつつやっぱり、女の子部屋にすこーーーし、憧れたり・・・。



少々長かった…。

なんとか無理くり一区切り笑


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