医者として
相変わらずの自由な生活を送るアフィ。
とはいえ家ではメルクとラブラブな様子。
そんな今日は相変わらず街でのんびりしていた。
そこで流の現実的な一面も見る事になる。
「ん、んー、気持ちいいねぇ」
「アフィ、そんな事ではメルクに叱られますよ」
「旦那様だってあたしがどんな人か分かってるでしょ」
そんな悪態をシエスタにつきつつも、メルクの気持ちは理解している。
するとそこに知った顔が現れる。
「あなたは変わりませんね、アフィ」
「ありゃ、ガネクトじゃん、今日は休みなの?」
「ええ、それにしてもシエスタと二人で暇そうにしていますね」
「たまには休まないと体が疲れちゃうからね」
アフィも休む時はしっかり休むタイプだ。
だからこそ仕事も真面目にやるのである。
すると視線の先にまたしても見知った顔がいた。
「ほら、これで痛くないだろ、もう転ぶんじゃないぞ」
「うん、ありがとう、お兄ちゃん、ばいばーい」
「ほー、子供に絆創膏をあげるとは優しいね、流君」
「アフィか、あれぐらいなら経費で落とせるからな」
流は医学生だ、子供に絆創膏をあげるぐらいなら医学校の経費で落とせる。
とはいえ医者にも現実という壁はあるようで。
「あなたは立派ですね、人を助けたいという気持ちが伝わります」
「ガネクトか、でも人助けもタダとはいかないもんだよ、だろ?アフィ」
「そうだねぇ、人助けっていうのもタダってわけにもいかないのさ」
「それは難しい現実ですよね」
人助けもタダとはいかない。
それは世の中を語る上では避けられない話でもある。
「医者というのもタダで人を治すとはいかない、ですよね?」
「ああ、タダでやってたら組織の維持が出来ない、医者はボランティアじゃないしな」
「流さんは人を助けたいというのが信条ですが、そこは分かっているんですね」
「まあな、本当ならタダでやってやりたいのも本音だけど、人助けはそうもいかない」
「あたしもそれだよ、報酬があるからこそ仕事として成り立つんだから」
人助けもタダとはいかない。
それは流もアフィ達錬金術士も痛いほど分かっている。
錬金術は人を救う技術だ。
それでも無償で人を助けられるような事はない。
当然報酬がなければ破産してしまうだけである。
だからこそ医者も錬金術士も人助けには報酬がつくのは当然と考える。
「私も昔から人助けはしていますが、無償で助けた人は決まって次もタダでと言うんですよ」
「ガネクトはそれを嫌ってほど理解してるんだな」
「結局お金を取らないと維持出来ないし、相手もつけあがるんだよね」
「メルクの勤める教会は基本的に奉仕の組織ですが、そういう人もいると聞きますね」
「俺だって医者として救えるものは救いたい、でもそのためには金がいるんだよ」
流は若いながらも現実を見ているようではある。
その瞳の奥には人を助けたいという気持ちが確かにある。
本人は語らないが、救えなかった人がいるという事が流の原動力なのは間違いない。
救えなかった命があるから誰よりも命を救う医者という道を選んだのだから。
「現実なんてそんなものですよね、人助けはボランティアではない、その通りです」
「そうだ、俺だって救えるなら救ってる、そんな命はあるよ」
「あたしもかなぁ、エリキシル薬は簡単には作れないからね」
「エリキシル薬は医者の存在を否定します、ですが錬金術士の到達点の一つなんですよ」
「エリキシル薬ってどんな病気な怪我も治すっていう霊薬だっけか?」
流もその名前は聞いた事はあるようだ。
ガネクトの言うようにあらゆる病気や怪我を治してしまう霊薬。
それこそ現代医学では治療出来ない難病から大怪我までだ。
それでも切られた腕が生えてきたりはしないので、限界はあるようだが。
「おっと、そろそろ次の講義の時間だ、じゃあな」
「流はあれで意外とリアリストだよね、夢は夢、そんな感じ」
「彼が命を救う事に固執しているのは何か理由があるんでしょうね」
「それでも医者はボランティアじゃない、それを理解してるだけ大人ですよ」
そんな流の現実主義的な一面。
それは流が救えなかった命と向き合った結果なのか。
理想や夢で飯は食えない、だがそれでも彼は理想になる道を選び夢を見る。
人には誰しも暗い過去があるものだとアフィは感じていた。