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目覚めた少女

盗賊団の根城に踏み込んだアフィ達。

それを追うようにカイトと流も踏み込んだ。

そこで眠る少女を診た上で霊薬を飲ませる。

すると少女の目が動いた。


「ん、ここ…は…?あなた達…は?」


「本当に目覚めたな…一体どんな薬を飲ませたんだ」


「それは秘密、それでキミは何者なのかな」


だが少女は自分が何者か分からない様子。


名前も分からないし、なぜここにいるのかも分かっていないようだ。


「本当に何も分からないの?」


「はい…何も分かりません」


「どうする?」


「…俺達は国に自首する、この子はあんたに任せられないか?」


「いいの?あたしは構わないけど…」


盗賊団の目的はこの少女を目覚めさせる事。

それが達せられた今、盗賊団を続ける理由もない。


ただアフィは最後に確認しておく。


「最後に確認していい?あたしの親の事、知ってる?」


「親?ああ、そうか、あの夫妻の、まさかその娘が乗り込んできたとは」


「やっぱりなんだ、でも許さないけど死ねとも言わないよ、生きて償い続けて」


「あんたは優しい、いや厳しい奴だな、生きて償い続けろ、か」


「死んでも何も解決しない、あなた達が殺した人達の分も全部背負って生き続けて」


それはアフィなりの罪というものへの考え方なのだろう。

死んであとは誰かに任せようなんて卑怯だという考え。


死んで許されると思うなという心の底では本当は滅茶苦茶にしてやりたいという気持ち。


「それじゃ俺達は行く、あとは任せたぞ」


「…まさか本当に自首しちゃうなんてね」


「あの人達は目的だけは一貫していた、許されない事をしていたのも承知の上です」


「そういうところだけは腐っても騎士なんだなぁ」


「それで我々も国に戻りますか?」


その前に少女の事を決めないといけない。

アフィが面倒を見る事には決まったが、名前とかをどうしようかと。


そもそもメルクにこっ酷く怒られそうだなと、アフィは思っていた。


「名前とか分からないんだよね?」


「はい…何も分かりません」


「最低でも名前か、うーん…ならイナっていうのはどうかな」


「イナ…私はそれで構いません」


「そっか、なら決まりだね、あなたはイナ、よろしくね、イナ」


そうして彼女は今はイナという名前になった。

とりあえずはそのまま街に戻る事に。


お説教は覚悟しておく事にする。


「では僕と流はここで、イナの事を頼みますよ」


「うん、また何かあったらよろしくね」


「じゃあな、しっかり面倒見ろよ」


「さて、あたし達も行こうか」


「はい、お世話になります」


そのまま家に戻る。

家の窓から明かりが確認事もあり、これは怒っていると覚悟を決める。


シエスタも一緒に怒られてくれると覚悟を決めた。


「ただいまー…」


「アフィ!あなたという人は相変わらず…僕を心配させるのも程々にしてもらえますか!」


「はい、誠に申し訳ありませんでした」


「…ですが無事に帰ってきたのならいいです、それはそうと何をしてきたのですか」


「あー、なんていうかな…」


とりあえず説明だけはする。

メルクも呆れ果てているが、それがアフィだという事も理解している。


それを知っているからあの時プロポーズしたのだから。


「それでその彼女をうちで面倒を見ると」


「うん、駄目かな」


「僕は構いませんよ、どうせ言っても聞かないんでしょうし」


「うぐっ、返す言葉もございません」


「シエスタもアフィの事で苦労をかけますね」


とりあえずイナの事を説明する。

メルクもそれについては理解してくれた様子。


一旦お風呂に入れてあげなさいとアフィに言う。


「分かった、行こう、イナ」


「はい、分かりました」


「シエスタも手を焼いているのではないですか」


「アフィがああいう人だというのは知っていますよ、それに私のマスターですから」


「まさにという感じですね、そこは機械というか、錬金術ですか」


とりあえずはメルクは簡単な食事の準備を始める。

イナに何か食べさせて、話はそれからだという事も。


イナはこのままこの家の娘として迎え入れる。


役所に行ってそういったものの申請などもしなくてはいけない。


その一方で国の方では盗賊団が自首してきた事に騒然としていたようだった。

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