国の動き
今日も適度に仕事を終えて自由にしているアフィ。
そんな中城の前でアクルスが何やら準備のような事をしている。
以前聞いた盗賊団の噂も少し気になっていた。
それに関係する事なのか、聞いてみる事に。
「アクルス!」
「む?アフィか、どうした?」
「何やら準備をしていますが、何かあるのですか」
アクルスも詳細については国の事なので話せないという。
ただ近いうちに大きな作戦があるとだけは話してくれた。
「大きな作戦?それって以前言ってた盗賊団の事?」
「機密事項だ」
「でもこの装備の山は小規模作戦では絶対にないよね」
「そうですね、話せないというのは確実にそういう事かと」
「まあいいや、時間取らせてごめんね」
そうしてその場をあとにする。
それから広場で何かあるのではないかと、シエスタと話していた。
あの大規模な準備は確実に何かがあるのだと思う。
「うーん、やっぱり盗賊団の事なのかな」
「その可能性は強いと思いますね」
「盗賊団…あたしも少し気になってたんだよね」
「アフィにしては珍しいですね」
「あたしの親は夫婦揃って薬師だったからさ」
アフィの両親は薬師だった。
盗賊団は薬師などの薬に関係する人間を拉致しているとも聞いた。
つまり盗賊団は何かしらの薬を必要としていて、それを必要とする人がいると。
「盗賊団が薬に関係している人を拉致してるって事は、たぶんだけどさ」
「なんとなくは分かります」
「確かにやってる事は許せないけど、そんな薬が必要なんだよね」
「恐らく普通の薬では治らない病など、ではないかと思います」
「…確かにやってる事は許せないけど、あたしに力になれないかな」
とんでもない事を言い出すアフィ。
とはいえ錬金術士は人を助けるのが仕事だという事はシエスタも分かっている。
だが仮にという話もある。
「盗賊団があたしの親を殺したとしたらそれは確かに許せないけどさ」
「例え許せなくても錬金術士としての信念を貫くと」
「うん、困ってる人を助けるのが錬金術士だもん」
「あなたは大きくなりましたね」
「そりゃやってる事は許せるわけもないよ、でもあたしは錬金術士だから」
そういう考えを持てるというのは、アフィが大きくなった証なのだろう。
例え許せない相手でも、困っていたら助ける。
それが錬金術士なのだと。
「でも助けたあとはどうなるかは分からない、責任を取るのも大人なんだけどさ」
「そうですね、責任はあなたが負う事になりますよ」
「でも理由が知りたい、薬に関係する人達を昔から求めてた理由を」
「薬を求めているからには相応の理由がある、それは確かでしょうね」
「うん、だからあたしもこっそりアジトに行こうと思う」
国の騎士団が動くという事は、盗賊団の潜伏先を掴んでいるという事だろう。
常に拠点を移動している盗賊団のアジト。
国もそれを見逃すまいと一気に動いたものと思われる。
「なんにしても国の動向も探らなきゃ」
「どうなっても知りませんけど、私はアフィについていきますよ」
「ありがとう、シエスタ」
「私を現代に蘇らせたのはあなたです、だからどこまでもお供しますよ」
「何気に律儀だよねぇ」
とりあえず話はまとまった。
この事はメルクには内緒にしておこうとも決めた。
他の知り合いにも黙っておく事にする。
「聞きましたか?流」
「ああ、アフィも無茶をするつもりらしいな」
「それより例の盗賊団、力になれたりしませんか?」
「相手が犯罪者だろうと診察して治療するのが医者だ、それが医者の本分だからな」
「流石ですね、それでこそ医者の卵というものです」
どうやら聞かれていた様子。
カイトと流もアフィに内緒で動く事になりそうだ。
医者とは患者が犯罪者だろうと診察し、治療するものだと、それが流の医者としての覚悟だ。
アフィと流、盗賊団が薬を求めていた理由はその日に知る事になる。
人を助ける仕事、錬金術士と医者という異なる二人が密かに動き出す。
「ではこっちも探りますか」
「ああ、行くぞ」
国の機密事項を密かに探る事になったアフィと流。
お互いに動いている事は知らないまま、調査が始まる。
盗賊団のアジトの場所。
そして薬を求める理由を知るために。




