安いものを買わない夫
今日も変わらずの日々を送るアフィ。
シエスタはアフィの手伝いで外に出たりするので、家にいたりいなかったり。
それもあってか三人で食事を取ったりするのは夕食時ぐらいでもある。
そんなアフィはメルクの買い物のしかたを少し気にしているようで。
「戻りましたよ」
「お帰り、相変わらず結構買い込んでるね」
「ええ、入荷して棚に並ぶところを狙って買ってますから」
メルクはこれで優秀な主夫でもある。
家事全般はメルクがやっているので、すっかり腕前も高くなっている。
「そういえばさ、旦那様って安売りとか絶対に買わないよね?なんで」
「安売りは基本的に消費期限や賞味期限がその日ですからね、保存に向かないので」
「それで少し高くてもきちんとした値段で買うんだ」
「そもそもその日のうちに消費するとなるとメニューも偏りますから」
「旦那様ってなんていうか、プロに片足突っ込んでない?」
メルクは意識が高いというつもりはない様子。
とはいえ保存の事なども考えて、安売りの商品には基本的に手を付けないそうな。
料理のメニューなども考えていて、リクエストにも答えてくれるからこそなのか。
「それはそうとリクエストとかありますか」
「買ってきた食材は…ならグリーンポタージュとガーリックトースト」
「分かりました、お昼はそれにしますね」
「それにしてもクエストに答えてくれる辺り、本当に素晴らしいというか」
「妻の好みぐらいは把握していますからね」
そういう辺りもメルクがいい夫だと言われる由縁である。
街の人達からもいい旦那様だとアフィは言われていたりする。
プロポーズの時に生活を管理する宣言されているからなのかもしれないが。
「でもさ、生活を管理するって宣言した割にわがままも聞いてくれるよね?」
「とりあえず仕事についての管理が最優先です、以前のあなたは引き受け過ぎでしたし」
「うぐっ、否定出来ない」
「生活に関しては買ってきた食材の中からのリクエストですからね?」
「ないものは言うな、って事だね」
メルクの考えとしてはないものは出来ないという事でもある。
なのでリクエストはあるものからのみ受け付けるのだ。
料理のクエストもそんな今ある食材の範囲から受け付けるという事にしている。
「でも旦那様が買ってくる食材って高級食材ってわけでもないよね」
「そこまでの余裕もないですからね、なので安売りではなくとも定価で買っていますよ」
「保存の事とかも考えてる辺り料理について分かってるっていうか」
「料理は母に教わったものが多いですからね、母は料理教室の先生なんですよ」
「そりゃ料理が上手いわけだよ、今になって納得した」
メルクの実家についてはアフィも聞いてはいる。
とはいえ会ったのは結婚前に会っただけで、それからは会っていない。
メルクが言うには家庭に口出しするのは親として過保護になるかららしい。
「僕の母は料理教室の先生で、父は今は大工ですよ」
「なんかそんな親から旦那様が生まれたっていうのも不思議な話かも」
「結婚する前からなんですけど、母親に似たってよく言われていましたよ」
「納得した、確かにこのハイレベルな主夫っぷりはそれなら納得だわ」
「実際子供の時も外で遊ぶより家の中で遊ぶのが好きでしたしね」
まさに性別が逆なのではと感じさせる夫婦でもある。
アフィは活動的で、外で動き回るのが好きなタイプ。
一方のメルクは家の中で本を読んだり料理をするのが好きなタイプだ。
「旦那様が主夫っていうのも今じゃ納得だよ」
「あなたは以前はやんちゃ少年みたいな性格でしたよね」
「…なんか性別間違ったみたいな性格だよね」
「ですがインドア派な男の人もアウトドア派な女の人も珍しくないですよ」
「そうなんだけどさぁ、それも夫婦としての面白さかな」
とりあえずメルクは昼食の準備に取り掛かる事に。
メルクのスープはどれも美味しいとアフィは言う。
料理教室をしているというメルクの母親の影響なのだろう。
メルクが母親似だと言われていたというのも不思議と納得するアフィなのだった。




