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祈りの意味

相変わらずマイペースに仕事をこなすアフィ。

そんな今日は教会の方で行事があるので、メルクは早くから出ていた。

アフィはメルクを尊重しつつも、神様を信じる気になれない。

だがそれについては独特の考えを持つ人もいる。


「ふぁ、眠い…」


「アフィは相変わらずですね」


「別にいいじゃん」


すると広場のベンチに休みの日でオフにしている流を見つける。


少し声をかけてみる事に。


「やほー、流じゃん」


「なんだ、アフィか」


「今日はオフなのですか」


「ああ、そういえば教会で何かやってたが、あれは定期的にやるものなのか?」


「それね、あれは祈りの日なんだよ、月に二回神様に祈りを捧げるの」


祈りの日、教会の方で月に二回定められた日でもある。

とはいえアフィは神様に頼ろうという考えは好まない様子。


神様そのものを否定するわけでは決してないのだが。


「なんで祈りなんて捧げるのかな、神様に祈って病気が治るわけでもないのに」


「なんだ、それについては諸説あるが、一説には信仰心は神様の力になるとか言うな」


「つまり敬虔な信者の数が神様の力を表すと?」


「あくまでも一説だがな、でも願いっていうのは願わなかったらそもそも叶いやしない」


「それも祈りって事なのかな」


流の国では以前聞いたようにあらゆるものに神が宿るという考えが根強い。

だからこそ人は神に五穀豊穣を願う。


そもそも祈りは祈らなかったら叶いはしないのだと流は言う。


「願いは願わなかったら叶わないかぁ」


「別に願いなんてのは清廉潔白なもんでもない、美味い飯が食いたいとかそれでいいんだ」


「流らしいですね」


「俺の国だと神頼みってのは世界平和なんて大それた願いはしないからな」


「願いって意外と単純なものなのかな」


アフィは神に祈ったところで結果が変わる事はないと考えている。

それは学生時代にテストは自分の実力、神に祈っても結果は変わらないと学んだ。


だからこそ神に祈って何かが変わるならそれは不正行為ではないかと。


「でもさ、祈りで何かが変わるなら世の中とっくに平和な世界になってるよね」


「そんなの当たり前だろ、神様ってのは直接手を下さず見守るもんだしな」


「見守るもの、世間一般的には神様は強い力を持つという認識ですしね」


「それが本当かはともかくとして、祈りってのは信仰だよ、解決策じゃない」


「つまりその宗教へのお布施の金額が信仰って事なのかな」


祈りは信仰、それは本来の宗教のあり方なのだろう。

流も医学の神様や学門の神様というものを知っている。


祈りは解決策じゃない、それはまさにその通りではある。


「祈るっていうのはよく理解出来ないけど、願いは口にしないと叶わない、だよね?」


「ああ、そしてその願いを叶えるのは神様じゃない、自分自身だ」


「結局祈りというのは信仰心の一つという事なんでしょうかね」


「俺はそう思ってるけどな、祈りで何かが解決したら世の中みんな神様を信じるだろ」


「神頼みとは言うけど、それで何かが解決はしないんだよね」


流曰く祈りで何かが解決するという事はないと考えているらしい。

だが口に出さない祈りはそもそも叶いもしない。


それは言霊の力、言葉にすれば本当になるという流の国の考え方らしい。


「神様は便利屋じゃない、祈りは聞きこそするが、それを解決してはくれないのさ」


「むぅ、なるほど」


「結局は言霊ってやつだよ、言葉にすれば本当になる、そう信じるんだ」


「言葉にすれば本当になる…言い得て妙ですね」


「いい事も悪い事も言葉にしたら本当になる、俺の国で信じられてる言霊ってやつさ」


流の国の独特の文化。

だがそれを聞いてアフィも祈りの意味についてはなんとなく分かった気はした。


祈りは祈らなければ叶いはしないのだという事も。


「ま、何を信じるかはそいつ次第、メルクもそうなんだろ」


「だね、理解は出来ないけど分かった気はするよ」


「言葉の力だよ、それを忘れるなよ」


「流の国の考え方もこういう時は役に立ちますね」


「それじゃ俺はそろそろ行くか、メルクにもよろしくな」


祈りについての考えも流なりの考えに触発はされた様子。

言霊、願いは願わなければ叶わない。


それは祈りであり信仰心。


アフィもアフィなりに考えるものはあるのだろう。

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