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影倉麗奈と因縁の相手~中編~

流に会いに来たという影倉麗奈を案内するアフィとメルク。

それを見ている何者かの視線。

それに気づいているが、あえて気づかぬふりをする。

私服の騎士団も監視しつつ、その動向を追いかける。


「この国って凄いんだね、近代的なのに古い風景が残ってて」


「一応国の方で文化保存とかやってるからね」


「なので古城なども保存の対象なんですよ」


麗奈はこの国のよさを感じ取っていた。


流が留学先に選んだのも納得だと。


「さて、そろそろいいかな?」


「えっ?」


「出てきていいですよ」


「…待たせたな」


「もしかして…流君…?」


街外れにある古城。

そこには流の姿があった。


これも計画のうちであり、あえて人気のない場所を選んである。


その理由は実に単純なもので。


「流君…ずっと会いたかったんです、お姉ちゃんの事…ずっと聞きたくて…」


「その事についてはすまないと思ってる、俺がもっときちんとしていれば…」


「過去の事もあるけど、流は本当はずっと抱えてたんだろうね」


「彼は自分のせいで彼女のお姉さんを死なせてしまった、それを悔やみ続けていたんでしょう」


「きひひ、見つけたぜぇ」


不快な声と共にその姿を見せる四人の青年。

最初から気づいていたがあえて泳がせていたその視線の正体。


騎士達は今も様子を見ている。


そしてその歪んだ人格がその姿を見せる。


「ずっとてめぇをぶっ殺してやりたくてなぁ、ここまで来てあげたんだぜぇ」


「お前ら本当に暇なんだな、全部バレて家庭崩壊して逮捕、それでも俺に執着すんのか」


「ハァ!?俺達はなぁ、ずっとてめぇだけはぶっ殺してやりてぇってそれだけなんだよ!」


「アフィ、メルク、手は出すな、これは俺が片付けるべき問題だ」


「流…」


雑貨屋で買ったと思われるナイフを手に流を挑発する四人。

だが流もそんな在庫一掃セールのような安い挑発に乗るほど甘くもない。


メルクも騎士達に本当に危なくなるまで動くなと伝える。


ぶっちゃけ数秒後には叩きのめされるサンシタニンジャのような奴らでしかない。


「一人で俺ら四人に勝てると思ってんのかぁ?えぇ!?流よぉ!」


「本当に口先だけは達者だな、昔のお前達はもっと賢かっただろ、落ちぶれて馬鹿になったか?」


「なっ!?この…底辺野郎がぁ!上級国民の俺らに偉そうにしてんのが気に食わねぇんだよ!」


「本当にどこまで馬鹿になったんだ?知能レベルが初期化されてんじゃないのか?」


「もういい、お前ら…ぶっ殺せぇ!」


逆に流の挑発に乗せられたようで、四人が刃物を手に流に襲いかかる。

だがそこに思わぬ助っ人が割り込んでくる。


「面白そうな事をしてますねぇ、流、僕も混ぜてくださいよ」


「お前、カイト!」


「な、なんだぁてめぇ!人の喧嘩に割り込むんじゃねぇ!」


「喧嘩ねぇ、明確な殺意があるのに喧嘩、言葉は正しく使いましょうよ」


「面倒だ、こいつも殺せぇ!」


だがそこは流とカイトだ。

オフの日はよく一緒にいるコンビ、薬の材料を採りに外に出たりもする。


今ではすっかり息の合うコンビに成長している。


「おっと、はっ!」


「ぐはっ!?なめんなぁ!」


「こんな奴らに剣を抜くまでもないってか、流石だな、カイト!」


「ぐうっ!?こんの…ビチグソがぁ!」


「そっちこそ、護身術のレベルを超えてプロの領域ですよ、流!」


素晴らしく息が合うそのコンビネーション。

元いじめっ子の四人も一方的にその攻撃を浴びる。


自分達がずっと計画を企てている間に流はその遥か先の強さを身につけていた。


そのまま四人はあっさりとその膝をつく。


「やれやれ、お前ら本当に少しは努力ってもんを覚えろ」


「道具だけいいものを揃えても本人がゴミクズなら豚に真珠、ですよね」


「この…ふざけんな…俺達は…」


「お前らには余罪がゴロゴロあるんだろ?きちんと裁いてもらわないとな」


「そこまでです、あとは我々の方で処理いたしますので」


「ええ、お願いします」


「ちくしょぉ…ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」


そのまま私服の騎士達に四人は連行されていく。

きちんとした裁きが下されるのは本国に送還されてからになるだろう。


元上級国民の彼らだが、今はその後ろ盾もない。


まずはこの国できちんとした手続きを踏み送還され裁判にかけられるだろう。


流もこれで終わったと思っているわけではない。


このあとは改めて麗奈と向き合う事になるのだから。

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