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影倉麗奈と因縁の相手~前編~

流から相談を受けてから数日。

メルクは神殿騎士団の団長を説得し私服の騎士達をターミナルに配置させた。

それからさらに数日が経過し、メルクに連絡が入る。

ターミナルの渡航記録に影倉麗奈の名を確認、それをつける不審な男も確認したと。


「失礼します」


「いらっしゃい、あなたが影倉麗奈さんかな?」


「とりあえずかけてください」


流の提案した通りに夫妻の家に案内させた様子。


外では私服の騎士達が目を光らせる、メルクも防音の魔法で音を遮断する。


「えっと、流君の知り合いの人で、力になってくれるって…」


「うん、流は今この街の大きな病院で留学生として勉強してるよ」


「本当に…それで…」


「ええ、彼に会わせる事は問題ありません、ですがその前にこっちもすべき事があります」


「すべき事…?」


流から聞いている話を出来るだけ伝える。

メルクも騎士から逐一連絡をもらいつつ動きに警戒している。


とりあえず流にも危険がある可能性について。


「それじゃあ私をつけてそのいじめていた人達もここに…?」


「うん、だから上手くそいつらをしょっぴいてからになるね」


「でもその人達の気配とかそういうのは何も…」


「目の前に現れるとも思えませんからね、恐らくどこか陰から見ていたと思います」


「それじゃあずっとつけられて…」


流には来たという事はあえて伝えていない。

その上で麗奈をここに連れてきて動きを探る。


するとメルクが外の騎士から不審な男が数人雑貨屋に入ったという連絡を受ける。


それはターミナルで麗奈をマークしていたという男で間違いないようだ。


「えっと、流君に会うにはまずその人達をなんとかしてから…ですよね?」


「はい、凶器を持ち込むのは不可能なので恐らく現地で調達するでしょうから」


「確かに荷物の検査は厳重にされた…」


「とりあえず流とは上手く話はつけてあるよ、少しだけ我慢してね」


「はい、分かりました」


とりあえずこれからの予定を説明する。

まずは観光という名目で街を適当に散策する。


そこで怪しい視線や不審な人をマークする。


その上で上手く誘い込む寸法だ。


「そういえば宿とか取ってるの?」


「あ、はい、数日滞在する予定だから」


「なら問題ありませんね、では観光に行くとしますか」


「お世話になります」


「それじゃ、いざ!」


そうして街に繰り出す。

アフィとメルクがなるべくそばを離れないように固めつつ街を見て回る。


行きたい場所などがあれば希望は聞くので、好きなところに行ける。


その中でメルクはそれを監視する私服の騎士から逐一連絡をもらう事にした。


「ここは凄い綺麗な街なんですね、古い時代がそのまま残ってるみたい」


「都市部などは改築も進んでるけど、郊外とかには古城なんかもあるよ」


「へぇ…凄いな」


「お腹とか空きませんか?」


「あ、はい、それじゃせっかくですし」


そんなわけで適当な店に入る。

するとアフィとメルクは視線を感じ取る。


人混みに紛れているが、確かに何者かが麗奈を見ているようだ。


それを悟られないようにしつつ、そのまま食事をする事に。


「ここは豚肉の料理が美味しいんだよ」


「へぇ、何かおすすめとかありますか」


「そうですね、香草焼きなんかはおすすめですよ」


「それじゃそれにします」


「分かった、ウェイターさーん」


そうして料理を注文する。

しばらくして料理が運ばれてくる。


客人がいるにも関わらずアフィは美味しそうにそれを食べている。


「んー、やっぱりここの香草焼きは最高だね」


「アフィさんはよく食べるんですね」


「うちの妻は肉ばかり食べるんですよ、少しは野菜も食べなさいと言っているんですが」


「でもこんな美味しいなら分かる気がします」


「あとここはじゃがいもも美味しいよ、特にシンプルに塩コショウで食べると最高だね」


そんな話をしつつ食事は進んでいった。

今後の予定などは麗奈の行きたい場所に行く事に。


そんな中、外ではその目が光っていた。


「なかなか隙を見せねぇな」


「流石に大通りでやるわけにはいかねぇ、今は耐えろ」


「流に会いに来たんじゃねぇのかよ、クソッ」


「でも会うって分かってるならチャンスはある、見てろよ」


それからも観光はしばらく続いた。

その視線も確かに確認している。


流との再会までもう少し泳がせてからになる。


その執念をへし折るのが今回の仕事でもあるのだから。

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