エルフの食生活
今日も変わらずの日々を過ごすアフィ。
そんな中聖騎士のアクルスに遭遇する。
エルフでありながらその実力を認められている彼女。
そんな彼女の事がどこか気になるようだが。
「暑いねぇ、もうすっかり夏になって」
「解放的になりたいとか言い出しませんよね」
「流石にそれは言わないかなぁ」
そんな初夏の公園でナタデココヨーグルトを飲みつつ天を仰ぐ。
すると目線の先にアクルスの姿を見つける。
「あれ、おーい、アクルスじゃーん」
「なんだ、アフィか」
「聖騎士ともあろう人が買い食いですか?」
「今日はオフだ、別によかろう」
「にしても…タコス?」
アクルスが食べているのはタコス。
甘党ではあるものの、辛いものも一応は食べられる。
だがアフィには気になる事もあるようで。
「エルフって菜食じゃないの?」
「里の連中はそんな感じだな、私は普通に肉も魚も食べるし牛乳も飲むぞ」
「そうなんですか?エルフは菜食主義な種族と聞きましたが」
「外の世界で暮らすエルフは普通に動物性の食材も口にしているな」
「つまりエルフの里で暮らすエルフだけが菜食主義なの?」
一般的にエルフは菜食主義な種族と言われている。
だがアクルス曰く、それは里で暮らすエルフだけなのだという。
外の世界に出たエルフはその世界に適応するために動物性の食材も食べるようになるとの事。
つまりエルフの里を出て暮らしているエルフは普通に肉も魚も乳製品も摂るらしい。
アクルスもその関係で、今ではすっかり動物性の食材も美味しく食べるという。
「エルフの里など堅苦しくてやってられん、頭がおかしくなるぞ」
「掟とか厳しいのかな」
「一応掟はある、ただ近年は人間との交流も盛んにはなっているな」
「そういえばエルフの作った工芸品などを扱うお店もありますね」
「閉鎖的という事も特にはない、ただ里の中で生きる者達は基本的に肉などは食べんな」
エルフも人間との交流は盛んであり、閉鎖的という事は特にないという。
実際この街にもエルフの作った工芸品などを扱う店があり、仕入れる人もいる。
他にもエルフの里から仕入れるお茶や果物は美味しいと評判だ。
菜食主義という事からなのか、そういった果物やお茶の美味しさはお墨付きらしい。
人間との交流でエルフにも変化はあったとアクルスは言う。
外の世界に出るエルフも近年は増えているとの事。
とはいえ旧来的な考えのエルフも多く、里の中でも対立はあるらしい。
それでも外界との交流でエルフにも確実に変化は起きているという。
「外の世界に出ればこういうのも普通に食べるようにはなる、順応とか適応というやつだ」
「なるほど、エルフの事情も何かとあるんだね」
「年寄りのエルフは今でも頭が固い岩石頭な連中も多いがな」
「岩石頭って、でも年寄りと若者の意識の違いも面白いですね」
「エルフは長命だ、100歳ですら人間で言うと10代に過ぎないからな」
エルフは長命な種族というのは人間にも知られている話。
100歳のエルフを人間の年齢に換算すると大体12から15歳ぐらいだという。
人間で言う100歳はエルフで言うと600歳ぐらいになるとの事。
そういう年齢における時間間隔の違いも種族らしさなのだろう。
「それじゃアクルスは何歳なの?」
「私か?そうだな、アフィよりは若いがアフィの5倍は生きている」
「えっと、それだと計算は…」
「あまり無理に計算しなくてもいいぞ」
「つまり人間で言うと20前半、実年齢は100歳を少しぐらいでしょうか」
計算はよく分からないものの、シエスタが考えるに130ぐらいと思われる。
本当はもっと若いのかもしれないが、そこは言わないでおく。
「なんにしてもエルフも里を出るからには外の世界に合わせるんだ」
「アクルスが肉とか食べてるのもそういう事か」
「ですね、エルフにもそういった事情があるのですよ」
「それと今度メルク殿にいつものやつを頼んでおいてくれ」
「分かった、言っておくよ」
そんなエルフの食や種族の事情も垣間見たアフィ。
外に出るのならそれに合わせる。
そうしてエルフは今は活動している。
対立もあるが、エルフも変わっていくのだろう。




