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流の休日

いつものように仕事をこなしつつ自由に暮らすアフィ。

そんな今日は流がオフのようで、思わぬところで出会う。

流の意外な好み、それにアフィも乗っかる事に。

この国は美味しいものも多いのが自慢だ。


「あれ?流じゃん」


「…アフィか」


「珍しいですね、ケーキ屋に併設されたカフェなんて」


その場所はケーキ屋に併設されたカフェ。


騎士団の食堂にはない多様なケーキが食べられる。


「それで何を食べてたの」


「ザッハトルテだけど」


「もしかして流は甘いものがお好きなんですか?」


「まあ嫌いじゃない、給料が入ったら食べに来てるんだ」


「ほうほう、ならあたしも何か食べようかな、少し待ってて」


そう言うとアフィもケーキを頼みに行く。


それから少しして大量のケーキを運んでくる。

元々よく食べるので、少しぐらいなら多くてもペロリだ。


「お前そんなに食べるのかよ」


「お金ぐらいは自由に使っていいって旦那様に言われてるからね」


「ただし一ヶ月の目安額を超えると叱られてますけどね」


「アフィってメルクに頭が上がらないのか?」


「それはまあ、あの人にはすっかり頭が上がらなくなったからなぁ」


アフィも元々強気なタイプではあるが、メルクには頭が上がらない。

それはプロポーズされた時の事らしい。


その時から完全に牙を抜かれてしまったと本人は言う。

シエスタもその場面こそ知らないものの、それでも二人の関係は良好だと言っている。


「にしてもアフィとメルクってなんで結婚したんだ」


「押し切られた感じかな、でも旦那様はあれで慈悲深いしね」


「メルクがアフィの仕事なども管理してますからね」


「でもそういうのは羨ましいよ、俺にも好きな人はいるけど、今は会ってないし」


「それって片思い?流も隅に置けないね」


流の好きな人、それは自分が原因で会わなくなった人。

今でも好きな気持ちは変わらないが、もし迂闊に連絡をすればあいつらに感づかれる危険。


それもあってなのかこの国に留学する事も伝えていない。

今でも好きではあるが、危険に巻き込まないように自分から距離を置いた。


「流はその人のことが今でも好きなの?」


「好きだよ、でも会ったらまた危険に巻き込むかもしれない、だから会ってない」


「過去に何かあったんですね、それについては訊かない方がいいのでしょうか」


「そうだな、奴らも今では悲惨な末路になったって聞くけど、油断は出来ないしな」


「奴ら?因縁のある相手とかかな」


深くは聞かないようにするものの、流の過去に何かあった事はそれだけで察せる。

だからこそアフィもシエスタもそこまでは踏み込まない。


流が言うその奴ら、それは流の過去にある後悔の話でもある。


「にしてもこの国はケーキが美味くていいな」


「流はケーキが好きなんだね」


「甘党なんでしょうか」


「甘党ってほどじゃないとは思う、でもケーキは自分へのご褒美なんだよ」


「なるほど、そういう理由なんだ」


自分へのご褒美。

流はそうやって給料日にケーキ屋のカフェに来てザッハトルテを食べている。


ちなみに流はチョコレートケーキが昔から好きらしい。


「そういえばアフィは特に好きなものとかないのか」


「特に好きなものか、うーん、あたしはフルーツケーキかな」


「アフィはよく採取先で甘露の実を採ってきて食べてますよね」


「甘露の実?」


「桃みたいなやつだよ、瑞々しくて凄く甘いんだ、旦那様がよくパイにしてくれるよ」


メルクの作る甘露の実のパイ。

流もそれに興味を示す。


「なら機会があったら食わせてくれよ」


「いいよ、旦那様に伝えておくよ」


「あれは絶品なんですよ、とろけてしまいます」


「シエスタは甘いものが好きだよね、ほんと」


「楽しみにしてるぜ」


そんな他愛もない話をしながらケーキを貪る。

流の過去の事も察しつつ、その話も聞いていた。


下手な詮索は余計なお世話。


人の秘密や過去はほじくり返すものではないのだ。

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