恋悔
8月21日
時間は午後3時半をまわり道路のアスファルトが熱をおび、陽炎ができていた。
そんな中、僕は今、女の子と二人でカラオケにいる。前の日にTwitterで「一人でカラオケいくしかねーな。」と呟いたところ一緒に行こうという話になり行くことになった。
なぜそんなツイートをしたか。それは昨日の出来事があったからだ。
昨日のこの時間僕にはまだ陸海という彼女がいた。
別れた理由は学生の恋愛にはありがちな「付き合ったら話しにくくなった」というものだった。無論別れを告げたのは陸海の方だった。陸海は忙しい人だった。勉強も頑張っていたし、バイトだって頑張っていた付け入る隙がなかった。言い訳ではなくそのままであった。
学校では話しかけられることはこの2ヶ月で両手で数えられる程度。横を通ってもお互い目も合わせない。そんな状態だった。
いつか時間に余裕ができたら話せる。そう自分に言い聞かせていたが彼女の方はそうではなかったようだ。
話は付き合う前に戻る。
5月20日
「春斗って好きな人いるの?」
「いるけど、教えられないよー。」
「なんでー」
こんな話を半月ぐらいしている。
正直好きな人はこいつなのだ。
「お前だよ。」何て言えるはずもなく。告白するつもりもなかった。
好きの2文字が頭の中を埋め尽くす。「いいじゃんよー」そう言って拗ねて見せるその姿が愛おしい。
5月23日
僕が告白する気になる事件が起きた。
「放課後勉強を教えて?」と言われ教えていた時だ。
友達の英二が部活を終え教室に帰ってきたのだ。
「まだ残ってたのかよw俺にも教えろよー」
英二は仲は良いが空気は読めない 。もう2年間同じクラスだからそこは理解しているつもりだったが今は陸海に教えているのだ。同時には無理なので断ることにした。
「英二はそれより基礎やった方がいいとおもうぞ?wそれに今陸海に教えてるからさw諦めてw」
「女にばっか優しいのな!w」
英二はそういうと机の中から筆箱をとってそそくさと帰っていった。
「英二くんに教えてあげなくていいの?私より仲良いんだし教えてあげなよ。また女ばっかって言われちゃうよ?w」少し笑いな
がら陸海は言うのだった 。
僕はその笑顔が見たくて教えている。ここまではいつも通りだった。だが僕は何を血迷ったのか
「俺は英二より陸海と仲良いと思ってるし特別だと思ってるよ陸海のこと」
話の流れで人によっては告白ともとれる。言ってから気付き焦る。口が滑った…
完全に気持ち悪がられる。
「私もそう思ってるよ?」
驚いた。これはどういうことなのだろうか。告白として受け止められたのかそれとも友達として?
あまりの驚きで何も返さないでいた。
「どうしたの??早く続き教えてよ?w」
「あ、、うん。」
結局このときはその言葉の真意がわからないまま話は流れていってしまった。
プツ「7時半になりました。学校に残っている生徒は戸締まりをしっかりおこない下校しなさい」ーー
「もうこんな時間か。早かったな!」楽しかったのだろうあっという間に三時間はたっていた。
「ありがとうー。ちょっとだけどわかった気がするかなw理解力なくてごめんね?」
陸海には悪くないのに謝る癖がある。
「いやいや、こっちこそ教え方下手でごめんね」
ガラガラガラ「早くでてー。鍵閉めらんないから」
教頭だ。
「あ、今出ます!」
僕たちはあわてて教室を出た
外が暗かったので駅まで陸海を送っていくことにした。
「いやーw送ってもらっちゃって悪いなー、別方向じゃんよw」どこか嬉しそうに見えた。
「夜は危ないからね!」そんなことは建前である。
「そっかwありがとう」
「いいえー」
駅まで学校から5分なのであっという間についてしまった。
「ここまででいいよ!」
「わかった。またな!」精一杯の笑顔で手をふった。
「うん!またね!あ、さっきの話。私待ってるね。」
陸海も笑顔で手をってくれた。
何かが引っ掛かる。
さっきの話?あ、、
英二が出ていった直後のことを思い出す。
待ってる?
「ちょっと、陸海!」
まさかと思って聞こうとしたのだが陸海は改札の人混みに飲まれていってしまった。
また、真意を聞けなかった。
陸海が乗っている電車が出発するのを見送った後、駅とは逆の方向に歩き始めるのだった。
待ってるがそういう意味なら…
このときだ。僕は告白をしようと決意したのだった。
もう気持ちを伝えないでいるのは終わりだ。陸海もそれを望んでいる。
待っている。そう思うと俄然その気になった。
「彼女がいない方が楽なんて自分を騙すのはもう終わりだ。」
そう、走っていく電車の音を背に薄暗い街灯の中自分に言い聞かせるのだった。
6月1日
すばらしい日だ。学校が休みである。
そしてもうひとつ良いこと陸海の誕生日だった。
かねてから今日が休みであること。
陸海に予定がないこと。
それを知っていたので3日前に学校でカラオケに誘った。
「いいよ!誘ってくれるの待ってた!」待っていたようだった
そしてそこで告白することに決めた。
朝6時に起きた。休日は10時まで寝ている僕には十分すぎるほど早起きだ。
昨日は今日のことが待ち遠しくてなかなか寝付けず日付はまたいだと言うのに早く起きてしまった。約束は12時にカラオケ前なので6時間ある。
どうしようか…とりあえず陸海にラインをしてみた
「おはよう!」どうせまだ寝ているんだろう。
陸海も僕と一緒で朝は弱いタイプである。が今日は違うようだった。
「おはよう!!今日朝早いね?w」
返信が来ないと思っていたので一瞬固まってしまったがすぐ返信した。
「それはお互い様だろ?w何楽しみで起きちゃった?」
自分がそうなのだがそう送ってみた。
既読がつき少し間が空いてからまた返信がきた。
「そんなわけ!昨日早く寝たの!!」
少し残念だったがそんなもんだろう。
その後もラインは続きあっという間に時間は過ぎたようだった。
11時15分
20分もあればカラオケには着くのだがかなり早めに家を出た。
この日のカラオケまでの道はいつもより穏やかでそして綺麗だった。
昨日降った雨でアスファルトが湿っていた。
11時40分
余裕があったのでゆっくり歩いたのだがやっぱり早くついた。
カラオケの前に見慣れたてさげをもった人がいる。
陸海だ。
いつも制服だからなのか私服の陸海はいつもより美しくうつった。
近くまで行くとスマホの画面に落としていた視線をこちらへ向けニコッといつもの優しい笑顔で手を振る。
僕もすかさず手を振り話しかけた。
「よっ。早くない?来るの」
率直な意見だった僕だって早く家を出たのだ。
待つとばっかり思っていたのだが
「今来たとこ。そっちこそ早いんじゃない?w楽しみで早く来ちゃった?ww」僕が朝言った台詞をいう。
「そんなわけないだろ!」こちらも同じような言葉で返した。
「お返しっ」陸海は笑うのだった。
そして20分早く入室した。
最初に歌うのは僕だった。適当にランキングの一位になっていた
奏を歌うことにした。
「へー、意外とうまいじゃん」
自分の曲をいれながら陸海は言う。
「どこがだよ。」
自分の歌声に自信はない。声変り前は自分でも歌が上手いと思っていたのだが…
「好きだけどな、春斗の歌声。あ、次は私だねw下手くそでも笑わないでよ?」
一回も目を合わさないので謙遜じゃなく本当に自信がないんだろう。
でも陸海は下手くそなんかじゃなかった。いつもより少し高い透き通った綺麗な声で歌い上げた。呆気にとられ歌っている最中も終わった後も無言でいると
「下手くそだった?ごめんびっくりだよねw」
僕はあわてて否定するのだった。
お互いに歌いカラオケも終盤の頃だ。僕は今日のために練習していたFUNKY MONKEY BABYSの告白と言う歌を歌った。
もちろんこれで告白したとするつもりはない。どことなく伝えるそんなつもりで歌った。
陸海はこの歌の時どんな気持ちなのだろうか。今日告白されることを悟ったのか。静かに画面の歌詞を見つめていた。
カラオケも終わりいよいよだ。
支払いがすみカラオケから外に出た。外は薄暗くなりはじめていた。
「陸海…」
「ん?」
「今日楽しかったな。」
「うん。楽しかったねw」
「好きな人…」
「ん?急に何w」
「お前だよ。陸海。ずっと好きだった」
「…」この一瞬、世界は静止したようだった。
そして陸海はゆっくりと口を開いた
「私もです。大好きだよ。。ずっと待ってた…ありがとう」
少し目を潤ませ陸海は言うのだった。
僕は無言で陸海の手をとり帰り道に進むのだった。
「ねぇ。春斗」沈黙を先に破ったのは陸海だった。
「私達付き合ったんだよね?」
うっかりしていた。好きなことを伝えただけだった。
立ち止まり陸海の方を向き手を握ったままもう一度思いを伝える。
「ごめん。好きって言っただけだったね…付き合ってください。」
「はい!」
こうして僕たちは付き合うことになった。
しかしこれが間違いだと気づくには後2ヶ月かかる。
6月3日
付き合ってからはじめての学校だ。
「おはよう」僕は陸海の肩を軽く叩きながら言った
ここからは付き合ったばっかりのカップルにありがちな名前を呼ぶのがぎこちなくなったり、ご飯を一緒に食べたり楽しい1ヶ月がすぎた。
が1ヶ月を過ぎたある日急におかしくなって行くのだ。
7月13日
ラインが来ない。
7月14日
ラインが来ない。
土曜日日曜日と一回も連絡がとれないのはこれがはじめてだった。
今思うとこの頃から陸海の体には異変が起きはじめていたのかもしれない。
7月15日
「おはよう」言ったのだが返事がなかった。陸海はひどく疲れているようだった。
気まずくなってしまった。
この頃から学校での会話はなくなった。
故意に避けている。
そうとしか取れなかった。
ラインはかろうじて来るのだが一日多くて三回ぐらい。
陸海から送られてくる内容はほとんど「ごめん。」だった。
そんな状態のまま夏休みに入った。関係は相変わらずだ。
僕はここ2週間どうすれば良いかずっと考えている。
8月1日
今日で2ヶ月だ。が今日も学校で会話をすることはなく。陸海は僕の横を無言で通りすぎていくのだった。僕はこのときは気づかなかったが陸海の背中は今思うとひどく悲しそうだった。
8月18日
久しぶりに陸海の方からラインがきた。
「おはよう。あのね、話があるんだ。」
一瞬でわかった。別れ話だ
正直ここ1ヶ月をろくに話していなかったのでつらいと言う感情はそこまで大きくなかった。
「おはよう。どんな話しかな」
いつもならここから五時間は返ってこない
「月曜日、直接話したいの」
でも今回はすぐに返ってきたのだ
「そうか。わかった。」
僕は躊躇しなかった。
「何話すかは何となくわかると思うんだけど…」
「わかってる。大丈夫だよ。それにしても今日は早いな返事」
「最近返せてなかったね…ごめん」
また謝っている
「気にしないで」僕はいつもこういっている。
この土日は朝から晩までラインした。最近のこと。勉強のこと。久しぶりに話せてすごく楽しかった。もしかしたら月曜日の話しは遊びの予定をたてるとかそんなことなんじゃないか?そう思えるくらい楽しかった。
8月20日
「今日課外終わったらベランダ来て」
とのことなので課外を終えて約束の場所に行くことになった。
陸海はベランダの隅に座っていた。
「ごめんね。」また謝っている
「大丈夫だよ。」またこれだ。
「で?話って?」少しだけ期待を残し聞くことにした。
「あのね。友達に戻ろうって思って」
だよね。まぁそうだとおもってた。
「そうか…。いや、そうかなとわ思ってた。わかった。じゃーな。」
僕は冷たく返してしまった。自分でもわかるくらい冷たかった
「ごめん。。ごめん」
陸海はなにか壊れてしまったかのように泣きながら繰り返すのだった。
僕はどう声をかけて良いかわからずその場をさった。
「春斗…」陸海はなにか言いたそうにしていたが。僕はそれを聞く気がなかったし陸海も言う気はなかったのだろう。
そして物語の冒頭に戻る
僕はこの日Twitterでカラオケに行きてぇと呟いた。
すぐにそれをみた女友達が一緒に行こうとラインをしてきた。
ほんの少し前だったら断っていたが僕にはもう断る理由はなかった。
カラオケを終え。
その日は寝た。カラオケでその子と笑ってるうちは陸海のことを忘れることができた。人間は簡単にできているようだ
8月22日
フラれた2日後、遅れて後悔と損失感がおそってきた。
僕はこの日学校の課外を休んで一日泣いていた。
そこから一回も学校には行かなかった。さすがに心配した友達が家にお見舞いに来た。
でも親に帰るよう言わせ帰らせた。
ラインも開かなかった。
友達に陸海と付き合ったことを自慢していたこともあり、フラれたことをバカにされるのが嫌だったし、泣いた陸海をそのまま置いてきてしまったので陸海の友達に怒られるのも目に見えていた。そしてあんな別れ方をして、次の日女の子と早速遊んだことへの罪悪感で陸海に顔を会わせることができなかったのだ。実に身勝手だった。
9月1日
夏休みが終わり学校が始まった。1週間ぶりぐらいに学校に行くと友達が集まってきた。
「やっときた。何してたんだよ。」
「家いったんだぞ??」
まぁ予想していた通りだ。
「ごめん。調子悪くて」
英二が驚くことを言う。
「てっきり陸海と駆け落ちでもしたのかと思ったよ。二人して来なくなるから。」
陸海も学校に行っていなかったようだ。そういえば陸海が見えない。
「陸海は?」
「今日も休みじゃね?」
英二が言う
゛キーンコーン“チャイムがなった。先生が入ってきた。ただ顔が真っ青だった。
「みんなに話がある。」
ただならぬ雰囲気でいつも先生の話を聞かないでしゃべっている女子のグループですら黙ってしまった。
「さっき電話があって…姫島が死んだそうだ。」
姫島というのは陸海の名字である。同じ名字の人がしんだのだろうか。
先生は続ける
「ガンで見つかってすぐだったようだ…先生も知ったのは今日の朝だった。」
陸海の友達の女の子が泣き始めた。なんで泣いてるんだ。まだ陸海だと決まった訳じゃないのに
ここから僕は余り覚えていない。
ただ胸のざわめきを表すような生き残った蝉達の声がやけに耳に残った。
2日後、陸海の家で葬式だった。
僕はまだ陸海の死と向き合うことはしていなかった。
いや、できなかったのだと思う。
何事もなかったかのような顔で、何食わぬ顔で、いつものように
おはよう。
って来るんじゃないかと…
式はとても重い雰囲気で誰も一言も話さず陸海の母親は式の間、人前だと言うのに声をあげて泣いていた。
焼香をする列に並び前まで行くと棺の中で白い顔をした陸海が寝ていた。
それは紛れもなく陸海で、紛れもなく死んでいた。
僕はここで初めて陸海の死を受け入れた。いや、受け入れるしかなかった。
そしてこの式で初めて喋ってしまった。
「陸海…なんで死んでるんだよ。起きろよ。学校いかなくて良いのかよ…。最後が別れ話ってどう言うことなんだよ…なんで言ってくれなかったんだよ…」
ここまで泣くのはいつ以来か。
こんなに感情に任せて話したのはいつぶりか。母が僕を止めに来るまで怒鳴り声のような泣き声をあげていた。
式場から控え室へと半ば強引に連れ出された僕は落ち着くことなどなかったが徐々に冷静になった、でもやっぱり最後まで僕に言わなかった理由が理解できなかった。
30分位経っただとうか。式を終えた人たちがちらほらと帰り始めた。母が出てきて僕を見つけるなり小さな声で
「あなた何てことしたの。つらいのはわかるけど、、これから陸海ちゃんの親御さんに謝りに行くからついてきなさい。」
僕は陸海との関係を知らないからそんなこと言えるんだと思ったが口には出さず黙って付いていった
人がいなくなった後、母は陸海の家族に頭を下げながらこういった
「家の子がお騒がせしてしまいすいません。ほら春斗も謝りなさい」
僕は無言で頭を下げた
陸海のお母さんはまだ泣いていたが話しはできるようになったようだ。
「ちょうど…あなたの話をしていたのよ。春斗くん。」
僕の話か…きっとうるさいやつだとかそんなとこだろう。
「あなただったのね。陸海の彼氏さんって、あの子名前言わないで死んじゃうから…」
ああ、陸海は僕のこと話していたのか。
母は横できょとんとした顔をしていた。
陸海のお母さんは泣くのを押さえながら続ける。
「いっつも陸海から聞いてました。勉強教えてくれてたのよね。あの子覚え悪くて大変だったでしょ。」
「あ、いえ…そんなことないです。」
陸海はどうも別れたことは言っていなかったようだ
「あの子のことだからきっと病気のことも春斗くんに言ってなかったんでしょ。だからあんなに動揺しちゃったのよね。私達怒ってないわ…ありがとうね」
まさか感謝をされるとは思わなかった。別れ方がひどかったから感謝される所などないのだ。
「これね。あの子がこれ渡してって。」
陸海のお母さんは僕に手紙を渡した
「これは…?」
「あの子が亡くなる前に書いてたものなの。中は全く見てないけど大切な人へってあるからきっとあなたへだと思うの。」
「そうですか…」
僕は恐る恐る手紙を開いた。
大切な人へ
春斗。ごめんね。私死んじゃうみたいなの。私も急でよくわからないんだけど体の自由が効かなくなって来てるの。字汚くてごめんね。
病気だって言われて、余命1ヶ月ぐらいだろうって言われて入院することもできたんだけどどうせなら学校行きたくて 、誰にも病気のこと言わないで学校に行ってたんだ。
でも、春斗には言わなくちゃって思ったんだけど言えなかった…ごめん。
私と付き合ったまま私が死んじゃったら春斗きっと私のこと忘れられないから別れることにしようって思って急に話さなくなったり急に別れようって言ったり。
なんも言わなかったからビックリしたよね。ごめんね。
でも、春斗と付き合えて。春斗と過ごして楽しかったありがとう。
私のことは忘れて、元気で楽しく生きてね。私はあなたの幸せを祈ってます。
またね。
陸海
手紙は所々にじんでいた
僕はその場で泣き崩れた。
「またっていつなんだよ…」
最後まで謝ってばっかりの陸海は最後の最後まで僕のことを考えていてくれたと思うと嬉しかったのとなんもわかってあげなかった自分がふがいなくて。
こんなに後悔した恋は初めてだった。
2027年
「陸海。もう10年経つんだとさ、俺も28歳だ。彼女もできたんだ。仕事が落ち着いたら結婚しようと思っている。陸海が望んだ通り元気で楽しくやってるよ。また来るよ。またな」
陸海の墓の前で年に2回こうして近況を報告している。
今回の報告は陸海に怒られそうだなと思いながら墓を後にするのだった。
そんなとき風が吹いた。
「春斗。良かったじゃんw今度はお嫁さんと来てねw」
風に乗ってそう聞こえた気がした。
始めての恋愛系です