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14話

「いや~楽しかった」


団長さんとの模擬戦が負けはしたがかなり楽しかった。


「お疲れ様です。怪我はありませんか?」


ルナリアが試合が終わるや否やすぐさま俺の元に来た。


「だいじょうぶ、どこも怪我一つない」


団長さんの剣はすごかったが何とか受け止めていたので体に怪我はない。


「貴殿は一体何者だ」


そんな俺の前に厳しい目をした団長さんがいた。


「貴殿は体術を習っていたようだが剣を持ったことがないはずだった。なのに途中から剣の振り、力の入れ方などさまざまな技術が向上されたように見えた。あれはいったい・・・」


「あれは団長さんの動きを参考にして俺に合うようにアレンジしたからだ」


「・・・貴殿は一体何者だ」


俺の言葉を聞き驚きに目を見開いた団長さんは再び俺に問うてきた。


「ただの快楽主義者だよ」


「・・・そうか」


俺は団長さんの目を見つつ笑顔で答えた。団長さんは俺を少し警戒した風の目で見つめた。


「すごい、すごい!赤羽、お前すごいな!」


俺と団長さんとの間に少し気まずい空気が流れていたのだが九条の興奮した声によって和らいだ。


「アルフレッド殿とあそこまで打ち合えるなんてお前すごいやつだったんだな!私なんて十秒ともたなかったのに。お前なら私の相手ができる、いや私がお前に挑むのだから・・・私と相手してくれるか?」


九条がまくしたてるように俺に訪ねてきた。


めっちゃきらきらした目で見とる!


九条の今まで見たことのない興奮した姿ときらきらした目に体が若干引き気味になった。


「お、おう。いつでも相手になるぞ」


「そうか!」


九条は小躍りしそうなほどテンションが上がっている。後ろにまとめたポニーテールが犬の尻尾のように揺れている。


そんな九条を見ると俺の中の九条のイメージが崩れていく。俺の中では九条はクールでいつも冷静なやつだと思っていたのだが今の姿を見ると人懐っこい犬のように見えてしまう。


だからだろうか少しかわいく見えてしまう。


「なら、今すぐやろう!」


俺の手を取り団長さんとしたように模擬戦をしようと言ってきた。


「ちょっと待てください。ラク様はアルフレッド様との模擬戦で疲れています。なので休ませていただきます」


「そうか・・・」


ルナリアの言葉を聞き九条はシュンっとしたように顔を伏せてしまう。


その姿を見るとやはり犬のように見えてしまいつい頭に手が伸びてしまった。


「んっ」


頭を撫でられた九条は小さく声を出したが嫌そうではなかったので俺は撫でるのを続けた。


「ルナリアがいうほど疲れてないから大丈夫だぞ。ただ剣じゃなくて体術を使わしてもらうけどな」


「ああ、それでいい!」


九条は伏せていた顔を上げるとぱあっと嬉しそうな顔をした。そして、九条は刃引きしてある剣を取りに行った。


「いいのですか?」


「ああ、あんまり疲れてないし慣れてる体術を使うしな」


ルナリアにそう返すと俺は体術を使うために軽く体を動かす。


「よし、準備できたぞ!」


「じゃあ、さっそく始めるか」


九条が剣を持ってきたので模擬戦を始める。


――――――


「どうしたのですか?」


楽との話を終え九条と何か話しているのを見つめるアルフレッドにリリシアは声をかけた。


「いえ、あの者少し気を付けたほうがよいかと」


「ラク様をですか?」


「はい。彼と最初に剣を合わせたとき私は負ける気がしませんでした。そして、彼はよく防いでいましたが最初の連撃で決着がつくと思っていました。しかし、彼は私の剣を止めさらに反撃をしてきました。その剣は最初の剣とは違いかなり重かったのです。さらに彼の剣技は私より少し劣りますがかなりの技術になっていました」


「・・・つまり、ラク様は最初そこまでの技量ではなかったのに途中からありえない技量になったっと」


「はい、彼が言うには私の動きを見てそれから自分に合った動きに調整したということなのです」


「・・・それであなたはラク様が危険であると」


「はい」


アルフレッドが言いたいことは楽のあの異常な力がこの国に向けられたときの危険性を言いたいのだ。そして、楽に対して何かしらの措置を取るべきだと。


「確かにラク様の力は異常です。ですが彼は私たちが無理矢理こちらに召喚したのです。危険だからといって自由を縛ることはしたくありません」


リリシアはアルフレッドの目をしっかりと見つめ言葉を発した。


「それに彼が理由もなしに私たちに剣を向けることが想像できないんです」


九条と話をしている楽を見つめつつそんなことを言った。


「なぜか彼から安心するそして楽しいと感じるそんな温かい光を感じるんです」


実はリリシアは特殊属性の光の適正者でありそして彼女しか持っていない特殊な能力がある。それは他者がどのような人物であるのかが分かる光を感じることができるのだ。その光は魔力か何かは分からないが今までその光から感じた人物像は外れたことがない。


「・・・わかりました」


そのためアルフレッドはリリシアの言うことに従うことにした。だが、警戒だけはしておこうと思った。

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