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ks

作者: HAL姉

声劇台本、練習用として作成した物です。

男性1人、女性1人、計2人用です。

アドリブ改変、お好きにどうぞ♪

使用はフリーですが、事前に連絡頂ければ喜んで聞きに参ります!


(所要時間8分)

cast

ユウナ-作家

ケン-オタク


(さび)れた喫茶店




ユウナ

「…はぁ…」


ケン

「17回目なんだけど」


ユウナ

「は? 何が?」


ケン

「ユウナの溜め息の回数」


ユウナ

「数えてたんかい!

うっわ、何こいつきもい!」


ケン

「お前な、貴重な休日にアポ無しで呼びつけておいて、わざわざ来てやった幼馴染(おさななじ)みに対してその発言(ひど)くね?」


ユウナ

「えー、ケン君が何言ってるかワカンナーイ」


ケン

「今日は何曜日だ?」


ユウナ

「…日曜日だけど?」


ケン

「そして今は何時だ?」


ユウナ

「えぇっと…朝の8時過ぎたとこだねぇ」


ケン、立ち上がる


ケン

「そうだ!

お前、この時間帯がどれだけ貴重か分かってるのか!?

日曜日、朝8時の価値を分かってるか!?」


ユウナ

「うわ、出たよオタク魂。

暑苦しいったらありゃしない。

まぁちょっと座りなさいよ!

マスターが何事かって不審な顔でこっち見てるじゃないのよ、痴話喧嘩(ちわげんか)してるんじゃないんだからさぁ」


ケン

「そんな事知るかよ!

いいか、論点(ろんてん)をずらすんじゃねぇよ!

俺が言いたいのはだなぁーー…」


ユウナ

「はいはい、オタク様の貴重なお時間を()いて頂き有難うございますー」


ケン

「なんちゅー棒読み感…

全く反省の色が見えねぇ…

コホン、とにかくだ、俺がオタクなのは認めるとして」


ユウナ

「あ、そこ認めちゃうんだ?」


ケン

「話の腰を折るなよ!

日曜日の朝といえば、勿論(もちろん)オタクにとってはかけがえの無い時間な訳だ」


ユウナ

「あぁ、何だっけ…何とかジャーとかそういうのやってるんだっけ?

あんたホントいい年して…黙ってりゃそれなりの見てくれなのに残念な事よね〜」


ケン

「え、あ、そう?

いや〜そんな事…えへへ」


ユウナ

「都合いいとこだけつまむな!」


ケン

「いやぁ、ユウナに()められる事なんてもう人生で多分二度と起こらない奇跡だろうからなぁ。

これもう噛み締めとくわ〜」


ユウナ

「スルメか!」


ケン

「噛めば噛むほど味が出る…うへへ」


ユウナ

前言撤回(ぜんげんてっかい)、今ひっどい顔だわあんた。

アウトー!」


ケン

「上げて落とす、これはなかなか常套(じょうとう)なテクニックを使うじゃないですか、先生」


ユウナ

「…はぁ…」


ケン

「おっと〜、ここが地雷か…

何だよ、ま〜たスランプ?」


ユウナ

「はい、お察しの通りでございますぅ〜。

ダメなのよ全然、降りて来ない」


ケン

「エレベーターが?」


ユウナ

「そうなのよ〜、時間押してるって時に限ってね?

うちのマンションのエレベーターなかなか降りて来なくてさぁ」


ケン

「それで毎回打ち合わせに遅刻して、編集さんに怒られる、と

…いやそこは早く支度(したく)すればいいじゃんか」


ユウナ

「ケン、分かってるでしょ!

あたしがどんだけ寝穢(いぎたな)いか!

もうね、あたし一生おふとぅんから出たくない。

おふとぅんと結婚したい」


ケン

「残念、おふとぅんと結婚出来るのは枕だけって決まってんだよ」


ユウナ

「じゃあ枕になる」


ケン

「へへぇ、じゃあ俺が使ってやろう」


ユウナ

「嫌よ、あんたの枕なんかになったら加齢臭(かれいしゅう)まみれじゃないの!」


ケン

「人を団塊世代(だんかいせだい)にすんな!

俺はまだ若いわ!

スパイシーなカレー臭ならするかもしれないけど」


ユウナ

「…はぁ…」


ケン

「はい19回目〜」


ユウナ

「カウンターおつぅ…

もうノリツッコミする気力も出ないわ〜」


ケン

「…さっき全力でポンポンポーンとやってたじゃんか」


ユウナ

「あんたには分かんないでしょうね〜。

書きたい事はあるのよ、確かに。

伝えたい事もあるのよ、読者に…

でも…」


ケン

「エレベーターが降りてこない、と」


ユウナ

「真面目な話してんの!」


ケン

「…なら真面目に答えるけどさ。

俺は自他共(じたとも)に認めるオタクだし?

そりゃあ、アニメとかゲームとか、はたまた戦隊物とかが大好物な訳なんだけど」


ユウナ

「知ってる」


ケン

「それを()まえた上で、()えて商業作家がスランプになっている場面での俺の必要性って何よ?」


ユウナ

「…そりゃあ………何だろうねぇ」


ケン

愚痴(ぐち)りたいだけってんなら、まぁそれはそれでいいよ?

それでスッキリする事もあるだろうしさ。

でもそれじゃあ根本的な解決方法じゃなくね?

俺はスランプってもんがどういうのか全然理解出来ないし、アイディアが出せる訳じゃない」


ユウナ

「…別に、アイディアなんて期待してないし」


ケン

「だろう?

俺の貴重な時間を使う必要性を説明してくれるかなぁ。

そうだな、400字以内で!」


ユウナ

「そうね、自室にこもっててもどうせいいアイディアなんて浮かばないし、神様も降りて来ないし、ならちょっと空気でも吸いに外に出ようかなぁ。

あ、でも一人じゃなんか寂しいな、誰か話し相手が欲しいな。

そうだ、きっと彼なら来てくれる!

約束なんてしなくても呼べばきっと来てくれる!

そういえば今の時間って、彼の至福(しふく)の時間だって言ってたっけ?

邪魔しちゃ悪いかな、怒られるかな。

まぁでもきっと、どうせ彼の事だから録画機能をフル活用してダッシュで来てくれるよね?

あたしの悲痛な叫びを受け止めてくれるよね?

よーし、呼出しちゃお~っと!

あ、来た来た、超不満そうな顔だわ~。

何かあいつの顔見てると、色々悩んでる事とかどうでも良くなっちゃうんだよね~

はぁ~、コーヒーってなんてこんなに鎮静作用(ちんせいさよう)あるんだろ。

あ、ケンちょっと本気で怒ってるっぽいなぁ、どうしよ、話したい事あった筈なのに。

うわっ、何こいつ人の悩ましい溜め息カウントしてんの!?

オタク話になると熱くなるとこ変わってないなぁ。

こいつなかなかノリもいいし返しもセンスあんのよね。

何でこいつあたしの彼氏じゃないんだろう~。

今ここ」


ケン

「…ん?」


ユウナ

「ん?」


ケン

「んん…今、なんて?」


ユウナ

「えぇっと…

自室にこもっててもどうせいいアイディアなんて浮かばないし、神様も降りて来ないし、

ならちょっと空気でも吸いに外に出ようかなぁ。

あ、でも一人じゃなんか寂しいな、誰か話し相手が欲しいな――…」


ケン

「そこから全部言う?

じゃなくて、最後最後!」


ユウナ

「今ここ」


ケン

「その前!」


ユウナ

「…さってと、いい気分転換になったしそろそろ帰るわ~。

ケンありがとね、じゃあね~」


ケン

「ちょ、待てよ!」


ユウナ

「あんたにキムタクは似合わないわ。

あ、呼び出した身だし会計は任しといて~」


ケン

「ユウナ!

俺、俺さぁ、ちゃんと返事したいんだけど!」


ユウナ

「あぁ、そうそう。

ケンに渡す物があったの忘れてたわ。

はいこれ、新刊の見本品なんだけど、良かったら読んでみてよ」


ケン

「え?

あ、あぁ…そりゃあ、読むけどさ…」


ユウナ

「じゃあね~」


ケン

「あ、おいっ!

…言い逃げかよ…

ああでも、新刊出るのか…


タイトルは…「キミガスキ」…………」




-end-


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