第8話 住所不定無職
文章と話の1部を改変しました。
6話を前後編に変更したのでよければそちらもどうぞ
試験会場をあとにし、レオルと博士は街中を歩いていた。
「えーと…?地図を見る限りこの辺のはずなんですけど…?」
リアルに描かれた地図のを見ながら目的地を探していた。
「ふふ、私は寝る場所なんてどこでもいいよ?なんならまたテントを張ってもいい。」
何故か博士は目的地が見つからないことがうれしそうだった。
どうしてこんな状況になっているかというとそれは数分前まで遡る……
入学手続きを終わらせ理事長室から退出する際に理事長がふと聞いてきた。
「そういえば、お前達の住所は伏せられているが実際はどこに住んでいるんだ?」
「あー、それなんですが…信じて頂けないかもしれませんが、僕と博士は異世界から来ました」
それを聞いた理事長は驚いた顔をしたが、すぐ面白い物を見たといった顔に変わる
「ふん、異世界ときたか。ま、頑張ってくれよ。しかし、異世界から来たってことはお前らは今までどこで寝泊りしてたんだ?まさか野宿ではあるまい?」
「それはもうパークエリアの公園にテントはって、レオルと2人で熱い夜を過ごしたよ!」
博士自慢げに胸を張り腰に手を当て言う。
「ちょっ!?博士!?誤解を生むような発言はやめてください!」
「だって事実でしょ?」
「いやいやただ博士が俺を抱き枕にしてただけでしょ!?」
二人のやり取りを見ていた理事長は笑う。
「ハハハ!本当に面白い奴らだ。益々気に入った。が、お前らのやっていることは違法行為だ」
「ですよね…。博士、じゃあ何処に行きましょうか…?」
「なんだ、お前ら住む場所がないのか」
そう言って理事長は少し考え、何か思いつき
「よし、ちょっと待ってくれ」
そう言うとメモを書き、レオルに渡した。
「この場所に行け。入学式までは豪華な生活を送れるぞ」
メモを頼りに町を歩くも一向に辿り着けない。
「うーん?これ、リアルに書かれすぎていて逆にわかりずらいな」
悩んでいる彼の横で博士は笑顔で歩いている。
そうして悩みながら歩いていると聞きいた事のある声が。
「おや?貴方は…」
顔を向けるとそこには模擬戦の相手であった英莉がいた。
「えーと…?」
「あぁ、舞薗 英梨です。」
「すみません、英梨教官。何故、ここに?」
聞き返すと疲れた声で
・・
「仕事の帰りです。今日は貴方との模擬戦で疲れましたからね」
何故か貴方を強調された。なんでだろうね?
「あれ?レオルの知り合い?」
「あ、博士は会ってませんでしたね。今日、俺の模擬戦の相手をした人ですよ」
紹介され英莉が一礼する。
「そういえば、貴方達はどうしてここに?」
「えーと、実はこのメモの場所にいけと言われまして、探していたら迷ってしまって…」
そうなんですか?ちょっと見せてください。はい、どうぞ。と、英莉にメモを渡すと
「あー、これはですね…ここのビルですよ」
指された方を見ると、天を衝く高さの建物がある。
どうやら巨大すぎて、地図ばかり見ていた彼のはわからなかったようだ。
「成程、これ姉さんが書いたんですね」
「なんでこんなリアルなんですか…」
「凝り性なんですよ、姉さんは」
そうなんだ。と納得したところで博士が
「それで、このビルは一体何?ホテルでいいの?」
「はい。ここは私が経営しているホテルですよ」
「へぇ~すごいね!でもどうしてホテルなの?」
「それはですね、私が武術祭で優勝した時にホテル経営をしたいと言ったんですよ。そうしたらこのホテルと従業員を与えられましてね!」
教師がホテル経営とはこれ如何に。公務員?知らないですね…
此処は異世界。元の世界の常識でものを考えてはいけないのだ。
しかし、何故ホテル経営なのかと聞くと
「学園のお給料だけでは私は満足できませんから」
格が違った。
(異世界とは、色々とおかしいものなんだ)
再度認識したレオルであった。