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Outer World High School  作者: 濃厚カクテル
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第7話 結果と金策

 受付につくと博士が座って待っていた。

こちらに気が付くと主人を待ち焦がれていた犬のように駆け寄ってきた。


「お疲れ様!って!?どうしたのその傷!?何があったの!?誰がやったの!?教えてレオル!ソイツに生きていることを後悔させてやる!!」

試験で死闘を繰り広げたレオルは傷はなかったものの服には斬られた後が残っていた。そんなレオルを見てエミリは必死に問いただした。

「落ち着いてください!俺は大丈夫ですよ!」

「でも!」

「安心してください。ボロボロだけど、傷はありませんから。ね?」

「……分かった」

「俺はちゃんと生きていますから」

「うん…そ、それで試験、どうだった…?」

「どうといわれましてもね……色々と疲れましたよ………」

「なにをやったの?」


不安そうな博士の言葉を聴き、レオルの中に溜まっていた言いたいことが一気にでてきた。


「聞いてくださいよ!教官との模擬戦ですよ!?馬鹿だと思いませんか!?普通、武器使った模擬戦なんてやりませんよ!頭沸いているんですか!?それに!理事長さんに試験を受けさせてくれたので感謝してますけど、でもスタジアムでたくさんの人の前で試験ってしかもイベントだって言いやがって常識を疑いまよ!?」


「フフッ、割と余裕あるんだね」


溢れ出てきた彼の言葉を気づくと笑いながら聞いていたエミリ。


「なにがおかしいんですか!?」



 博士と言い合うこと数分、理事長がこちらに来た。


「橘レオル。結果発表の時間だ」

「は、はいぃ……」


相手役の教官から提示された目的は達していた。落ちる未来はあんまり見えないが不安はある。


「………おめでとう。合格だ」


少しの間呆けていたレオルであったが


「よっしゃぁぁぁぁぁ!」


思わず声が出てしまった。


つられてうれしくなったのか博士が抱きついてきた。しかし、気にすることはなかった。


「そして、桜井エミリさん。あなたも合格だ」


・・・・

あなたも?どういうことだか分からず首をかしげる男が一人。


「あの?博士が合格って…?」

「私、ここの教員試験受けたんだよ」

「そうなんですか!?言ってくださればよかったのに」

「まぁ、保険だったからね~」


(意味がさっぱり分からない。畜生め!)


「そろそろいいか?手続きがあるから場所を移すぞ」

「はい。分かりました」

「それと、そのボロボロになった服をどうにかしろ。着替える時間はやるから」



----------------------------



新しい服に着替えた。(服といっても中学まで来ていた制服なのだが)

そして理事長についていく。行先は理事長室だった。


「そこに座ってくれ」


来客用のソファーなのかどうかは定かではないが、座り心地はよかった。


「さて、とりあえず合格おめでとうと言わせてもらおう」

「ありがとうございます」


やけに上から目線ではあるが気にはしない。

理事長が紙を何枚か机に置いた。


「今回、レオル君は学費や寮費、この二つは免除だ」

「………?全て免除じゃないんですか?」


都合のいい話ではあるが彼自身すべてなくなると思っていた。そんなわけないに決まっているだろう。常識的に考えて理事長が当たり前だといわんばかりに……


「何を言っている。教材費と入学金は払ってもらうぞ?」

(え、どうしようお金ないじゃん……)


心の中の自分に訴えてもお金が出てくるわけではない。自分の甘さを呪え。


「大丈夫。お金ならあるよ」


そうなの?と博士のほうを見ると彼女の鞄からからこの世界の物と思わしきお札が沢山出てくる。見た感じ何千万とかそんな感じ。


「そ、そんなお金いつの間に…!? 犯罪とかやってないですよね!?」

「違う違う。悪いお金じゃないよ。汚いけど…」


笑顔で言われた上、何かよからぬことが聞こえ安心できないレオルだった。


「じゃあ、即金でこれだけだけど、足りてますか?」

「ふむ…………十分だ。十分すぎる。後はこの書類の必要事項を書いてくれればそれでいい。」


願書や内申書などを一切見せていないので、本当にこれでいいのだろうかと思いつつ書類の目を通し書き上げていく。


「入学式は3日後だ。制服は少し時間がかかるから当日はその格好で構わん」


本当に色々とガバガバな学校だ。ありえないことである、普通は。



その後無事に手続きとやらが終了し晴れてこの畜生な場から解放された彼らであった。

ふと、レオルは気になることがあってエミリに尋ねる。


「あのお金はどうやって稼いだのですか?」


確かに謎である。実際、数時間であれだけの量を稼ぐことはほぼ不可能である。あるとしたら…


「ん?ギャンブルだよ?」


やはりそうであった。


「博士、俺いつかいいましたよね。賭け事はは程々にと」

「いやぁ、今回ばかりはいいじゃないかー。それにあった方がいいでしょ?ねぇ?」

「はぁ……全く、しょうがない人だ」


外は日が傾き、夕暮れ時を示している。自分の家に帰ろうとする人が多く見られるのは異世界であろうと変わりはない。


「レオル、楽しみだね」


笑顔でエミリが言ってくる。


「はい。でもちゃんとやってけるのかな…?」


これから新生活が始まるのだ。


「大丈夫。レオルならきっと上手くやれるよ!」


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