第11話 美しい少女と友人
不定期ではありますが、がんばっていくのでよろしくお願いします。
食事を済ませエミリとレオルはともに自室に戻るとなぜかエミリがやけに機嫌がよかった。
気になったレオルがエミリに問いかけた。
「博士機嫌いいみたいだけどなんかあるんですか」
エミリはさっきよりも、さらにうれしそうかつにやけ顔で口を開く。
「食事を済ませたらやっぱお風呂でしょ」
なんだそんなことかと、思いつつレオルが言い返す。
「俺もちょうど行こうと思ってたんですよ」
博士はうれしそうなままでなによりだがすごく気になり、呆れた雰囲気でにやけ顔のエミリに問いただした。
「何かたくらんでるんですか?」
するとエミリがその言葉を待っていたかのように自慢げに
「そ・れ・は英莉ちゃんとお風呂一緒にはいるんだ~」
少し羨ましいと心の底で思ってしまった。レオルは気持ちを切り替えて
「じゃあ俺はいきますね」
と言い部屋を出る。出る直前いってらっしゃいと博士の声が聞き取れた。
部屋を出て大浴場に行くためレオルはエレベーターを目指していた。
「えーと大浴場は80階だったな」
ホテルの通路は、赤いカーペットが敷かれていて、そしてところどころに花が飾られていたりと
そこを通っているだけで、自分はお金持ちと感じさせた。そんな感動的なことにひたっていた
のか、レオルは気づかなかった。曲がり角から歩いてくる人物の存在を、そして次の瞬間ドンとぶ
つかってしまった。
「いつつ…」
誰かにぶつかったのを感じたレオルは、目を開けた瞬間レオルはあわてた。なぜならレオルの
目の前にいたのは髪が腰近くまで長く、なめらかで見とれてしうほど綺麗な銀髪、気弱そうな小柄な顔、
一目でわかるほどスタイルがよく、透き通った瞳はつい目を合わせたくなるほど美しい、そんな少女だったからだ。
「すいません!大丈夫ですか」
焦りつつも相手の荷物を拾い手を差し伸べる。名の知らぬ少女もレオルの手を掴み立ち上がる。
「本当にすいません」
こちらからぶつかってしまった罪悪感を感じながら、頭を下げた。
「あ、あの大丈夫ですから気にしないでください」
相手の厚意に甘えつつ頭を上げた。しかし、不覚にもその銀髪含め女の子の美しさに見とれて
しまった。
「あ、あの私の顔に何かついてます?」
頬を赤く染め恥ずかしそうな少女の言葉を聞き我に返り
「あ、いえとくになにも」
すると、目をそらしもじもじと何かを待っているように見えた。そうしてレオルは自分がまだ相手の
荷物を持っていることに気づき慌てて渡した。
「本当にすいません!」
全身全霊をこめて謝罪した。それに戸惑ってしまった少女は
「あ、あのこちらこそすいませんでした」
といい急ぎ足でそのばを立ち去ってしまった。
「不思議な子だったなそれに綺麗だった」
と少女のことを思い出しながら、自分の荷物を拾おうと思い床を見ると手帳が1つ落ちていた。
「あれこれって」
よく見るとそこにはセントラル学園と書いてあった。誰のかと思い裏返してみるとそこに写っていた
のは今さっきぶつかった少女が写っていた。名前を確認すると、そこには桐崎刀花と書かれていた。
「桐崎刀花さんかはやく渡してあげないと」
しかし困ったことに手帳をエントランスに持っていけばいいだけなのだが
「同じセントラル学園に通うなら友達になっても損はないよな……」
と独り言を呟き……
「うん!ただでさえ同い年の友達が少ない俺だ。ここで友達を作っておいても問題ない!」
友達と言ってもこの世界にはいないのだが……そしてもう一度少女と会うための理由を無理やり作り後は手にした手帳を彼女、桐崎刀花に直接渡すもしくは手帳を元にもう一度彼女に会う方法を考えた。
(直接渡すか…いや、それだと怪しまれて警戒されてしまう。)
1つ目の案を頭のゴミ箱に入れた。
(フロントに持っていってフロントで待つか…う~ん悪くないけどずっと待つのもなぁ)
2つ目の案もゴミ箱へ
(こう偶然ですね感を出すために必要なものが…この桐崎さんに少しでも関係のある人…)
考えながら手帳を凝視する。手帳にはセントラル学園と書かれている……そのときピンときたのか声を出すより体が動き大浴場に急いで向かった。
エレベーターで浴場のフロントに着いた。焦っていたせいか汗を流しながら辺りを見回す。
あたりは卓球の台やゲームなどが置いてありこれまた豪華だった。
レオルはあたりを見渡しある人物を探していた。そして金髪の白衣姿の女性をとらえそこに向かった。
「博士~待って~!」
白衣姿の女性はレオルの方を向き立ち止まった。急ぎで着たのでレオルの息もあがっていた。
「よかった追いついてぇ」
その言葉を聞き白衣の女性桜井エミリはうれしそうな声をあげ
「わぁ~レオルどうしたの私に会いに来るなんてうれしいなぁ」
さっき部屋にいた時と変わらないテンションだった。
「いや英莉さんに用があるんだ」
その言葉を聞きエミリは食事の時みたいに、レオルの肩をつかみ揺らした。
「何で私じゃないのぉ~」
食事の時より勢いが増していて、もう色々とすごいことになっていた。
こちらの心境を察したのか隣にいた黒髪のメガネをかけた女性がそれを止めた。
「大丈夫ですかレオル君」
舞園英莉が心配そうに問いかけてきた
「あぁ英莉さんこの子に会いたいんです!」
拾った手帳を見せ英莉がそれを受け取った。
「これをどこで?」
説明をまだしていなかったため慌ててしまった
「あぁ~それはさっきその子とぶつかってその子が落としてしまって」
大雑把ではあるが説明を理解した。だが博士がジト目でこちらをじーっと、見ているのがわかった。
その視線がやけに痛かった英莉は手帳をレオルに返し
「わかりました何とかしましょう後でお呼びしますので、それまでお風呂で疲れを癒してください」
なんていい人なのだろうかと感動した。
「それにしても先に部屋出たのに遅れてきたかと思えばそんなことがねぇ~」
先ほどから痛い視線を送ってきていたエミリがニヤニヤしながら話しかけてきた。
「いや、ほら手帳見たら同い年だし友達になりたいなぁって」
さっき作った理由を建前にその場をしのごうと焦るレオル。
「ふぅーん。まあいいや英莉先生行こ」
エミリの言葉に英莉は「はい」とうなずき2人は浴場へ向かっていった。
一息ついたレオルも男湯に向かおうと、歩き出した瞬間。
「おいそこの青髪のやつ~」
この浴場のエントランスに来た時ほとんどの人が、黒髪だったからか髪が青いレオルは自分が呼ばれたのだと、声が聞こえた方に視線を向けた。
そこにはショートヘヤーの茶髪の少女が手を振ってこっちに来いと言っていた。
言われたとうり向かうと
「あんたセントラル学園の新入生でしょ?」
「あぁそうだk...」
「試験見てたよ。すごいかっこよかったよ」
こちらの回答を待たず話を進めてくる
「あぁどう…」
話そうとすると
「まあいいやちょっと私に付き合ってよ」
言われ自分も風呂に入りたかったため、断ろうとしたところで
「おぉー!そうか付き合ってくれるかやさしいなぁ」
とまた話すのを邪魔され少々どなるかんじで
「人の話を聞け!」
と言うと相手もわかってくれたのか、ごめんと謝罪してきた。
「君の名前は」
とりあえず名前からとレオルがたずねた。
「私は大空桜夜あなたと同じ新入生よろしく後あなたの自己紹介はいいよ名前知ってればいいから」
なにか釈然としなかったが人通り自己紹介も終わり
「それで俺になにか」
目的を聞いた次の瞬間
「私と混浴入ってくんない?」
とんでもない回答に理解がおいつかなかった
「は?」
レオルは完全に固まってしまった。
「ん?聞こえなかった?私と混浴に入って」
聞いたとたん我に返り
「何を言ってるんだお前は!断る!」
もちろん断るところだ。
「えぇ~そんなこといわず入ろうよ1人ではいるのもなんか暇だし背中流しっこしようよ~」
と言いいつの間にか腕をつかまれ引きずられていた。レオルは抵抗したが
(力強っ!なんだこれ抵抗のしようがない)
心の中で桜夜の力の強さを思い知りながらどんどん混浴に引きずられていったレオルも諦めきれず声を上げながら抵抗した。
周りの人達の視線を感じつつどんどん引きずられていく。
「いやだ~!俺はいやだ~!」
駄々っ子のように叫びを上げると、急に体の自由が戻ったと思うと桜夜が手を離し、こちらを見て大笑いをかましていた。
「お前!」
怒りの視線を向けると視線を感じたのか、桜夜もさすがに笑うのをやめた。
「冗談だよごめんごめん」
片目を閉じながら謝罪しレオルも気持ちを落ち着かせまったくと言いつつ立ち上がった。
「まさか君があんな駄々っ子みたいになるとは」
思い出し笑いなのだろう桜夜はくすくすとしてる。
「う、うるさい」
恥ずかしさを隠しながらレオルは桜夜をにらんだ
「まあ本当はただお友達になりたかっただけなんだよね」
聞いた途端なんだそんな事かと桜夜に近づき
「橘レオルだ。よろしく」
あぁこちらこそと桜夜と握手を交わした。
「それじゃあまたねレオル君」
と言い残し女湯に向かった桜夜を見届けながらレオルも男湯に足を運ぶ。
異世界に来て始めての友人と頭から離れないあの美しい少女を思い出しながら。
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