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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第4章 リザードマン編
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伝説の魔女

 「主殿、今、後背を襲えば、敵の首領を倒せると思うのだが?」

 侵攻部隊の兵隊を全て排除したロザリオが尋ねてきた。

 「いや、今回は見逃していいよ。支配地域に足を踏み入れていないから、撃退にならないし、本拠地には残存兵力もあるみたいだから、まとめて処理しよう」

 「了解した。弓隊は、水が引き次第地底湖畔に降りて矢の回収と、敵の武装を鹵獲せよ」

 「「カタカタ」」

 「コア、気圧を戻して水を退かせて。死体は全部吸収して」  「ん」


 ゆっくりと水が地下水路に戻っていき、戦場に残された死体達が姿を現した。

 「すさまじいものですな、ジャー」

 族長さんが惨状を遠目に見ながら話しかけてきた。

 「僕の判断で、敵の女族長は見逃しましたけど、まずかったですかね?」

 「いえ、お好きになさっていただいて結構ですジャ。ワシらにはもうかたきを取る戦力さえ有りませぬゆえ、ジャー」

 族長が、避難場所の裂け目から戻ってきた眷族を見やった。怪我をした手下が3人、うち1人は利き腕を無くしており今後も戦力外。無傷の戦士が2人、女と子供が合わせて5人、族長とその孫娘。それが「下弦の弓月」の全員だった。

 

 「こうなってしまっては、部族の存続も危ういと思われます。例え「三日月の槍」との抗争に勝ったとしても、近いうちに他の部族に滅ぼされるのは避けられませぬ、ジャー」

 「ではどうしますか?」

 「勝手な申し出で申し訳ございませんが、ダンジョンマスター様の眷属にしていただけないでしょうか。お願いいたしまする、ジャー」

 「「お願いいたします、ジャジャー」」

 まだ気絶しているお嬢を除いた、部族の全員がその場で土下座をしていた。


 「皆はどう思う?」

 「主殿にお任せする」

 「土下座の角度が甘いっすね」

 「ギャギャ(可哀想だから助けてあげましょうよ)」

 「キュキュ」 「ピュイ」 「シャー」 「ん」

 親方は肯定的で、ミコトとクロコは積極的賛成かー。同じ水棲種族として地底湖周辺の戦力増強は急務ってことね。

 「コアは?」  「にょろ」

 リザードマンの種族的な知識は重要か、なるほどね。

 「わかりました、眷属化の要請を受けましょう」


 「おおお、ありがとうございます、ジャー」

 「「ジャジャー」」

 「下弦の弓月」の部族員達は、これで生き延びることが出来ると大喜びだった。


 「安請け合いしたけど、DP足りそう?」

 「じょぶ」

 まあ、撃退ポイントも入ってくるし足りないことはないだろう。

 ただ働きになるかも知れないけど・・・



  その頃の「三日月の槍」本拠地


 「なんなんだい、あのべらぼうに強い助っ人はさあ」

 必勝の布陣で臨んだ決戦に、まさかの敗北を喫したトロンジャは荒れていた。

 「地底湖の水を自由に操るとか、まるで伝説級の魔法使いじゃないか」

 「まさか冥底湖の魔女だったりしませんよね、ジャー」

 「馬鹿お言いでないよ、いくらなんでも黄泉返りの魔女が、あんなチンケな部族に肩入れするもんかい・・・してたまるかい・・・しないはずさ・・・」

 「でも姐さん、伝説では地底湖を逆流させるほどの水使いで、ジャー」

 「元はアイスオークかスノーゴブリンの巫女出身で、ジャー」

 「配下に仮面を被った骸骨騎士を従えているって、ジャー」

 「「ぴったり、ジャジャー」」


 すっかり魔女伝説に怯えてしまった手下達にトロンジャは反論する。

 「だ、だいたいこんな小さな抗争に首つっこむ意味がないだろうに」

 実は本人も少しビビッているのは内緒だ。それだけリザードマンの間では有名で、かつ怖ろしい伝説の魔女なのだ。

 「で、でも冥底湖の魔女は、戦で死んだ戦士の死体を冥底湖に沈めて保存しておき、いざと言う時にはそれを甦らして戦わせるっていいますぜ。そしてその戦士の死体が少なくなると、戦場に赴いて新鮮な死体を漁っていくって、ジャー」

 「し、しかも、戦死者が少なければ、負けている方に味方して、両方の損害を増やすように行動するって、オイラも聞きやした、ジャー」


 「ぐ、ぐ、偶然だよ、そんなのさあ」

 「で、で、でも最初にカチ込み掛けた12人の死体は、消したように無くなってましたぜ、ジャジャ」

 女族長と幹部と手下が、お互いの目を見合わせた。

 「「ど、ど、ど、どうしよう・・・」」


 「おい、誰かいないのか!」

 「「でたあああーーー」」

 いきなり背後から大声で呼ばれて、慌てふためいて部屋の奥に逃げ込んだ「三日月の槍」の首脳陣だった。しかし振り向いた先に居たのは伝説の魔女ではなく、隣の湖をシマに持つ部族「凍結湖の鮫」の若頭だった。

 

 「なに幽霊にでも出会ったような顔してやがんで」

 「なんでもないよ、今、若い衆と度胸試しをしていてね、突然だからビックリしただけさ」

 「ほー、ずたぼろに負けて戻ったのに、ずいぶん余裕じゃないか」

 「ハッ、大きなお世話だよ。奴らにもそれなりの損害を与えたんだ。結局はこっちの勝ちさ」

 虚勢を張る女族長だったが、それを若頭は見透かしているようだった。

 「そうかい、苦労して親父を説得して兵隊を動かしたのに、無駄になっちまったなあ」

 その言葉を聞いて、トロンジャの瞳に輝きが戻った。

 「待っておくれな、せっかくの若頭のご好意だ、無碍にしたとあっては女が廃るってもんさ」

 そう言って、媚びた視線を送り返した。

 「ウチはどちらでも構わないんだぜ」

 「そうセッカチは言わずにさあ、せっかく遠くからいらして頂いたんだ、酒と料理ぐらいは食べていってくださいな、ね」

 配下の者に宴会の準備を申し付けると、トロンジャは若頭に話しかけた。

 「それで、どれくらいの数を率いてきてくださったんですかい?」

 「ざっと30だな」

 それを聞いたトロンジャの目が光った。

 「十分でございますよ、ええ、十分です」


 DPの推移

現在値: 1616 DP

吸収:フロストリザードマンx10 +450

吸収:フロストリザードマン・エリートx2 +160

撃退:フロストリザードマンx20 +900

撃退:フロストリザードマン・エリートx4 +320

吸収:フロストリザードマンx3 +135(バリケード戦での死体)

眷属化:R5x1、R4x2、R3x4、R2x2、R1x3 -520

残り 3061 DP

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