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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第4章 リザードマン編
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おぼえてやがれ!

 「なんだって?旦那、冗談は言いっこなしですよ」

 女族長は用心棒に向かって、半分脅しを込めて話しかけていた。

 「主君からの呼び出しでな、至急戻ることになった。世話になった、達者でな」

 「ちょっとお待ちよ、まだこっちの話が済んでないんだ」

 「拙者の用は済んだ。そこをどいてもらおうか」

 地底湖から急に戻ってきた用心棒が、大事な場面で戦線離脱を宣言して、はいどうぞと頷く親分はいないだろう。女族長は、この用心棒が命が惜しくなって逃げようとしていると考えた。

 

 「どうやらとんだ眼鏡違いだったようだねえ。こんな腰抜けを雇ったアタシもヤキが回ったってことかい。だけどね、臆病者をこのまま帰すと手下共の士気にかかわるんですよ」

 「だったらどうせよと・・・」

 「詫びの印に、その腰に差したもの置いていってもらいましょうか。腰抜けには重いでしょう?2本も」

 「断る、これは我が主より賜った業物なれば、お前ら三下に譲ることなど言語道断」

 用心棒侍の言葉にはっきりと殺気が篭った。


 「言ったね、お前達、やっておしまい!」

 「「ヘイッ!ジャー」」

 周囲にいた兵隊が、円月槍を振りかざして用心棒侍に襲い掛かった。


 「奥義、旋風撃!」

 黒い刃が何度か煌いたと思えたとき、襲い掛かった円月槍の穂先がすべて斬り飛ばされていた。

 呆然と柄だけになった槍を見つめる兵隊達の中を、何事も無かったように通り抜けて、用心棒侍は立ち去っていった。

 最後に不吉な言葉を残して。


 「獲物を横取りしては、あの者たちに怒られるでござる・・・」

 だが、そのつぶやきは誰にも聞こえなかった。



  その頃の地底湖


 「いや、あの用心棒を交渉で追い返すとは、さすがダンジョンマスター様、ジャー」

 まったくの偶然だけどね。

 前に居たリザードマンの傭兵を、武者修行中のゴブシロードが決闘で倒してしまい、その後任として雇われていたらしい。既に彼に切り倒された部族員もいるけど、そこは族長さん達には理解をしてもらった。

 暗殺やだまし討ちなら恨みにも思うが、正面からの戦いで、斬った切られたは覚悟のうちだそうだ。

 手強い助っ人は、いつか自分の部族で雇えるかも知れないので、遺恨はないという。


 「相手の族長はどうゆう人柄?助っ人が手のひら返して逃亡したら、様子見に撤退するかな?」

 最大戦力がいなくなったわけだし、普通はそうすると思うんだけど。

 「いえ、「三日月の槍」の今の族長は、先代の妾だった「トロンジャ」という女で、執念深く、高い矜持を持っています。このまま黙って引き下がりはしないでしょう、ジャー」

 「なら好都合かな。次は残存部隊全員で突入してくるだろうから、それ用のお出迎えを容易しておこう」


 「コア、地底湖の壁の高さ2mぐらいに、通路3mx9mx3mを3本、適当に間隔をあけて拡張して」 「ん」

 「それを扉1でそれぞれ塞いで」  「ん」

 「迎撃部隊は分散して3つの通路に待機」

 「「了解」」

 「ハクジャさん達もどれかに移動してください」

 「承りました、ジャ」

 「ミコト達もスタンバイして」

 「ピュイピュイ」

 「コア、合図で水牢とルカの洞窟と裂け目の気圧を3にあげて」

 「うん」



 用心棒侍の奥義を目の当たりにして、士気の落ちた兵隊達を叱咤したトロンジャは残りの侵攻部隊の兵隊を全部引き連れて地底湖へと降りてきた。

 「姐さん、この階段を降りた先が逆茂木に囲まれておりやして、そこで矢衾にされるんです、ジャー」

 「どいときな、アタシが吹き飛ばしてやるからさ」

 「お願いしやす!ジャー」

 階段の中ほどからトロンジャが詠唱を始めた。


 「吹き荒れろ氷の嵐、押し流せ凍てつく河よ、ブリザード・ストリーム!」

 トロンジャの解き放った魔力は、吹雪の奔流となって、階段から地底湖へと噴出していった。横幅5m、長さ30mほどの範囲が凍りつき、さらに正面にあった逆茂木2つは完全に倒壊していた。

 「さあ、お前達、皆殺しにしてやりな」

 「「へいっ!ジャー」」

 威勢よく兵隊達が地底湖に進出していくが、そこには骸骨弓隊の姿はなかった。

 遠い地下水路への出入り口で、ボチャンボチャンと2つの水音がした。

 「姐さん、奴ら地下水路に逃げ出していたようです、ジャー」

 「どこまでも追うんだよ、馬鹿だね」

 「ヘイッ!ジャー」

 続々と地下水路に向かって走り出す、兵隊達。

 そして先頭が地下水路に届きそうになった瞬間、その水面が異常な速度で盛り上がってきた。

 「なんじゃあ、こりゃあ、ジャジャ」

 一気に天井近くまで吹きあがった水柱が、雪崩のように押し寄せてきた。

 「津波、ジャーー」


 2mを越える波が地底湖に荒れ狂った。いかに水中機動に慣れたリザードマン達でも、この水圧の中では波にもてあそばれるしか、すべがなかった。

 だが、その波の中で、みごとな泳ぎを見せるものもいた、

 「ピュイピュイピュイ」

 ミコトチームが華麗なシンクロで隊列を維持したまま接近すると、団子になって流される兵隊達を包囲して、電撃を解き放つ。

 バリバリバリバリ  「「シギャーーー」」

 さらに地底湖の壁面に取り付いて、波が過ぎるのを耐えている兵隊には、扉を開けた弓隊たちが、情け容赦なく射落としていた。


 突然、階段の足元まで押し寄せた波に、困惑したトロンジョが気がついたときには、地底湖に下り手下は壊滅してしまっていた。

 「姐さん、ここは一先ずもどりやしょう、ジャー」

 「そ、そうだね、今日はこれぐらいで許しておいてやろうかね」

 強がる捨て台詞もどこか震えていた。

 

 DPの推移

現在値: 1661 DP

拡張:3mx9mx3m通路x3 -30

設置:丈夫な木の扉x3 -15

残り 1616 DP


 召喚リスト38

フロスト・リザードマン:凍結蜥蜴人

種族:亜人 召喚ランク3 召喚コスト90

HP21 MP7 攻撃力3(+武器) 防御力3(+防具)

技能:槍、冷気耐性、両手槍、半水棲

特技:クレセント・スラッシュ(三日月斬り)

備考:半水棲は長時間の息継ぎ無しの行動を可能にし、水泳も兼ねる。

   三日月斬り 使用MP2 前方に扇形に範囲攻撃が可能


 召喚リスト39

フロスト・リザードマン・エリート:凍結蜥蜴人 幹部

種族:亜人 召喚ランク4 召喚コスト160

HP28 MP10 攻撃力5(+武器) 防御力4(+武器)

技能:槍、冷気耐性、両手槍、受け、半水棲

特技:クレセント・スラッシュ、ホイーリング・スピア(風車陣)

備考:風車陣 使用MP3 回転する槍の届く距離は射撃から守られる

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