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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第4章 リザードマン編
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1人の侍

 「なんとか間に合ったね」

 「キュキュ」

 地底湖の会談途中で「三日月の槍」の襲撃を聞いて、避難誘導を始めたんだけど、ほとんどの部族員が迎撃に出向いてしまっていた。

 急いで状況を把握していると、出入り口のバリケードを突破されそうだという報告があったので、親方達に非常口を掘りぬいてもらったのが、間一髪間に合ったみたいだ。

 地下水路の探索で、ヒビヤとトウザイもディープ・エキドナに進化してなければ、とても間に合わなかったね。

 「「キュキュキュ」」  「ん」

 親方達は、掘り抜いたトンネルを、失神したままのお嬢を引きずって戻ってきた。どうやら極度の精神的重圧にさらされて、緊張の糸が切れたようだ。


 「怪我はないみたいだね」

 「孫娘の命を救っていただいて、ありがとうございました、ジャー」

 「その礼は最後まで救ってから聞くから」

 「ははっ!ジャー」

 その間にも、侵攻部隊は続々と地底湖に近づいてきているようだった。



 「それで、小娘は仕留め損なったのかい」

 「不覚でござった」

 「用心棒の旦那、まさか仏心をかけたんじゃないだろうねえ」

 「拙者は女子おなごといえど分け隔てはせぬ」

 「なら、いいけどさ。旦那には前の助っ人を勝手に切り殺されたっていう、大きな貸しがあるんだから、その分はちゃんと働いてもらいますよ」

 「承知している」

 「だったらもう一踏ん張りしてもらいましょうか。お前達、旦那と一緒に地底湖に逃げた連中の始末をしておいでな」

 「「へいっ!姐御、ジャー」」


 あの助っ人は拾い物だったねえ。前の傭兵崩れは、汚れ仕事をさせたあとからずうずうしくなってきたから、丁度いい厄介払いができたし。さらにこちら側から因縁つけて起きた決闘なのに、難癖つけて後釜に据える事ができるたし。武骨者は扱いが楽でいいさね。

 問題は、「下弦の弓月」が雇ったというネクロマンサーだね。出入りになればお互いの兵隊に死者がでる。それを材料に新しい兵隊を呼び出されてたら、こっちはジリ貧だ。

 とはいえウチには聖属性や火属性の術者はいないし、どうしたもんかねえ。


 「姐さん、奴ら全員で地底湖まで引き下がったようです、ジャー」

 「そうかい、なら居住区に散らした兵隊全部まとめて地底湖に送り込みな。そこが奴らの墓場だよ」

 「へいっ、姐御、ジャー」

 


 地底湖に避難してきた「下弦の弓月」の部族員全てをゲスト設定にしたあと、侵攻部隊が降りてくる僅かな時間を使って逆茂木の設置をした。

 「コア、地底湖へ降りてくる階段をコの字に囲むように柵2を6個を2重に設置」 「ん」

 「続けてスケルトンファイターを技能:弓をカスタムして4体召喚」 「・・ん」

 「おおおーー、ジャジャ」

 瞬く間に現れた防御陣形と骸骨戦士達を間近に見て、「下弦の弓月」の部族員達がどよめきの声をあげた。

 「族長、予備の弓と矢を1つずつもらえますか?」

 「一つといわず、いくつでもどうぞ、ジャー」

 「1つで大丈夫です」

 もらった弓と矢を分解して変換する。

 変換リスト:武器(射撃)

短弓(水中兼用) 亀骨製 射程60m 攻撃力5 耐水性の高い弓と矢羽のない特殊な矢を使用すること         により、水中でも使用可(射程は10mになる)  15DP

特殊短弓用矢   亀甲製 亀の甲羅を削りだして作った矢 矢羽が無い。 矢筒に10本入って15DP  

 「弓と矢を9セット変換して、アーチャーカスタム隊と隠密部隊とロザリオに渡して」

 「ん」  「カタカタ」 「おっと、がってんっす」 「久々の弓だな」

 「ロザリオはアーチャーカスタム部隊を率いて、正面の位置から射撃。隠密部隊は側面からクリティカル狙いで」

 「「了解!」」

 皆が配置に移動し始めたとき、族長が話しかけてきた。

 「ワシらもお手伝いいたします、ジャー」

 正直、安全な場所に退避してて欲しいんだけど、心情的にそうもいかないんだろうね。

 「怪我人と非戦闘員は地下水路の裂け目まで下がっていて。それ以外はスケルトンアーチャーの後方から弓で支援をお願いします」

 「承知しました、ジャー」

 地下水路の案内はクロコ達にまかせた。けれど全員が移動する前に侵攻部隊が地底湖に現れた。

 

 「構え、狙え、撃て!」

 ロザリオの号令でスケルトン・アーチャーカスタム隊が矢を放つ。それにあわせて「下弦の弓月」からも

矢が放たれる。

 それは最初に階段を降りてきた2体の侵攻部隊に降り注ぐが、さほどダメージを与えているようには見えなかった。彼らも矢を恐れずに正面の馬止め柵を破壊しようと接近してきた。

 そんな彼らが急にビクンと立ち止まると、ゆっくりと倒れて動かなくなる。

 その首筋に2本の矢が突き立っているのを見届けたのは、族長だけであった。

 「あれがマスター様の眷属の方の実力、ジャー・・・」


 「片方は偶然っす」

 MPを惜しんで影刃をつかわなかったワタリが申し訳無さそうにつぶやいた。

 「ちゃんとやれ」 「めっ」

 「ういっす」

 

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