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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第4章 リザードマン編
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一宿一飯の恩義

 「下弦の弓月」の老族長は、「三日月の槍」の使者を出迎えていた。

 「何度言われようとも、詫びの品だどは出せんよ、ジャー」

 「いいんですかい?濡れ衣を着せてきたのはそちらさんだ。他の親分さん達に話を持ってけば、不味い事になると思うんですがねえ、ジャー」

 「無い袖は触れぬよ。部族の風評に拘って、身内を餓えさせる方が何倍も不味い、ジャ」

 「忠告はしましたぜ。どうなっても恨みっこ無しでようござんすね、ジャー」

 「良いも悪いも、ウチに選択は無い、ジャー」

 物別れに終わった会談がお開きになり、使者が帰ろうとしたところに、慌しくお嬢が戻ってきた。


 「爺ちゃん、すげええ、助っ人を手に入れたぜ、ジャジャー」

 その言葉に使者が訝しげな顔をした。

 「「三日月の槍」の若頭がお見えだ、挨拶ぐらいしなさい、ジャ」

 「あ、こいつまた難癖付けに来やがったな。とっとと帰れ!ジャー」

 「おっと、どうやら嫌われてるようですな。破天荒なお嬢さんで、老族長の気苦労が知れるってもんですな。それじゃああっしは失礼させてもらいますぜ、ジャー」

 「おい、誰か塩撒け、塩!ジャジャ」


 「それで助っ人とはどういう意味じゃ。山椒魚の水路に行ったと聞いていたが?ジャジャ」

 「そうそう、それなんだけど、化け物山椒魚を倒した連中が居てな、ジャー」

 「なんと、あれを退けるツワモノが、ジャー」

 「しかもダンジョンマスターなんだと、ジャ」

 「それは真か?ジャー」

 「あっちがそう名乗っただけだから、本当かどうかなんて、アタイにはわからないよ。でも骸骨戦士やらスノーゴブリンやら、いろいろ引き連れてたぜ、ジャ」

 「ううむ、確かに複数の種族を率いていたとすると、ダンジョンマスター様に違いなかろう、ジャ」

 「えっ?あいつそんなに偉いの?ジャー」

 「まさかご無礼な事を言ったのではあるまいな、ジャーー」

 「だって見た目は普通の人族だったぜ。ダンジョンマスターってもっとこう、筋骨隆々で頭に角が生えてて、背中から翼を生やして飛ぶっていうじゃん、ジャー」

 「ワシはどこで教育を間違えたのかのう、ジャジャ・・・」


 「そんなことより、助っ人だよ、助っ人、ジャ」

 「どういう話の流れでそうなったんじゃ?ジャ」

 「ええーーと、確か・・・ジャ」



 「食料は問題なく供給できると思うよ」

 「助かるぜ、恩に着る、ジャ」

 「そのかわり、地下水路の先の地底湖を僕らに明け渡して欲しい」

 その話に後ろの若い衆が色めきたった。

 「そりゃ、べらぼうだ、ジャー」

 「黙れ、いまはアタイが話してんだ、ジャー」

 「へい、すいません、ジャジャ」

 どうやらお嬢は部族の跡取り娘みたいだね。若い衆をちゃんと束ねてはいるみたいだ。

 「地底湖を明け渡したら、次は地上の里ってことにならないかい?ジャー」

 「んー、どこかで境界線がちゃんと引ければ、お互いに不干渉というのでどう?」

 「うちらが不干渉でも、他の部族がちょっかい出したらどうなるんだい?ジャ」

 「え?そんなすぐ側にちょっかい出してくる他の部族がいるの?」

 「いる、ジャジャ」

 「仲悪いんだ?」

 「滅茶苦茶悪い、ジャ」


 なるほどね、部族抗争で押されてるから餌場も少ないわけだ。

 「その抗争相手が地底湖に侵入してきたら、こっちで対処してもいいけど」

 お嬢の目が大きく開かれた。

 「助っ人してくれるのかい!ジャジャー」

 「相手の総戦力は?」

 それには若い衆が答えた。

 「へい、奴らは「三日月の槍」という部族で、今の兵隊は40-50ですかね、ジャ」

 「戦士の強さは、君らと一緒?」

 「若いのはだいたい似たり寄ったりです。ただ向こうには凄腕の助っ人が1人いやして、ジャー」

 「なるほど、そいつだけ飛びぬけて強いと」

 「へい、ジャ」


 戦ってみたところ、リザードマンの平均ランクは3みたいだった。それが50ならなんとかなるかな。

 「了解、そしたら族長さんに話しつけてきてよ。さすがにお嬢の判断だけで領域の割譲とか、傭兵の契約とかできないだろうし」

 「大丈夫、爺ちゃんはアタイに甘いから、ジャー」

 そう胸を張るお嬢を、若い衆がなだめて、一先ず撤退することになったらしい。

 縄を解くと次々と地下水路に戻っていった。


 「逃がしてよかったのか?主殿」

 「問題ないよ、撃退ポイントはもらってあるから」

 「前言を翻して、再度侵攻してきたら?」

 「そのときは撃退・吸収させてもらうから、1・5倍美味しいね」



 話を聞き終えた老族長が孫娘に拳骨を振り下ろした。

 「いてっ、なにすんだよ爺ちゃん、ジャー」

 「馬鹿者、そんな重大なことを勝手に決めようとしよって。しかも一つ間違えば死んでおるぞ、ジャー」

 「生きてんだからいいだろ、ジャ」

 「とにかく、ワシが一度、お会いしよう。すべてはそれからじゃ、ジャ」



 「下弦の弓月」との会談が地底湖で行われている頃、「三日月の槍」では・・・


 「姐さん、てえへんだ、ジャー」

 「なんだい、慌てて。あちらさんがぶち切れてて鉄砲弾でも送ってきたかい」

 「違いやす、あいつら助っ人を雇ったようなんで、ジャー」

 「へーー、あの弱小部族に梃入れする親分さんがいたとはね」

 「それが、どうやらスノーゴブリンのネクロマンサーらしいんで、ジャー」

 彼は助っ人の情報を手に入れようと聞き耳をたてていたが、重要な部分は聞き逃していた。

 「おやおや、とうとう耄碌なすったかい。部族の揉め事に禁呪の使い手を引き込むとは、歳はとりたくないね」

 「どうしやしょう、ジャー」

 「丁度いい。今までは他の親分さんに義理立てして見逃しておいてやったけど、あっちが助っ人まで雇って斬った張ったしたいというなら受けてたとうじゃないか」

 「ということは、ジャ」

 「お前達、出入りの準備しな!「下弦の弓月」にかち込むよ!」

 「「ジャー!!」」

 「用心棒の旦那にも出張ってもらいますよ」


 「承知仕った」


 DPの推移

現在値:1562 DP

撃退:フロスト・リザードマンx6 +270 (この時点でベニジャはまだR3)

残り 1832 DP

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