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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第4章 リザードマン編
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半分に裂いても生きている

今年最後の更新になります。皆様良いお年を。

 探検隊の先頭を行くのは、カティと相棒バディを組んだワタリだ。背負袋の中に親方がはいっている。

 2列目が右から、ミコト・アズサのペア、クロコ・僕のペアにヒビヤが一緒、メイ・シナノのペアと並んでいる。

 最後尾にグレコ・アサマのペアにトウザイが一緒して、後方警戒についている。


 ルカの居る洞窟から水牢を通過して、反対側の地下水路に潜ると、そこはもうコアの支配下領域ではなくなった。コアの情報支援もここまでだ。

 地下水路は直径5mぐらい自然洞窟で、大きく右にカーブしながら奥へと通じている。所々に横穴や竪穴があるが、深さも大きさもマチマチで、特に人造的な様子はしない。


 しばらく進むと先頭の親方が何かを探知したらしい。

 「キュキュキュ」と鳴いたのが

 「コポコポコポ」と聞こえる。

 ただしそれはヒビヤとトウザイには、はっきりと聞き分けられるようで、

 「「キュキュ」」

 と返事をして、それぞれの相棒バディに方向を指示してくれる。

 どうやら左手の広い横穴に何かがいるらしい。


 カティが左の横穴に入り込もうとした瞬間、急速反転して、こちらに戻ってきた。その後ろから何か黒いヌラヌラしたものが4体ほど追いかけてくる。

 カティはミコトとメイに並ぶ位置に戻ると、皆で一斉に電撃を放った。

 バリバリバリバリ

 地下水路に電光が閃き、巻き込まれた黒いヌラヌラのほとんどが黒コゲになって動かなくなる。1匹だけ範囲からはずれたのが、襲い掛かってきたが、ワタリ達3人の槍で串刺しにされて沈んだ。

 「ギャギャ(なんかヌラヌラしてます)」

 「ハンザキっすね」

 「でかい山椒魚だねー」

 黒いヌラヌラの正体は、全長2mもある山椒魚だった。体表に粘液を纏っているので、殴打武器はスベって威力が落ちるみたいだけど、槍は突き刺さるので問題なかった。電撃も効くし、ミコト達のMPがある間は、そう問題にならない相手だ。

 「ハンザキの黒焼きっすね」

 「イモリみたいに精力つくのかな」

 ちなみに会話してるようだけど、自分勝手な感想をつぶやいているだけで、実際には

 「ゴボゴボゴボッツ」

 「ゴボッゴボゴボゴボッ」

 としか聞こえていない。

 黒焼きは帰りに残っていたら回収していこう。


 次は僕の背中のヒビヤが発見した。

 親方の探知に引っかからなかったのは、直前まで動いていなかったからのようだ。急速接近の合図に、固まって戦闘体勢を取る。

 すると天井付近に開いていた大きな裂け目から、巨大な山椒魚が飛び出してきた。

 「「でかっ!」」

 通路いっぱいの巨体だから、全長5m近い。それがすごい速度で突進してきた。

 「ゴボッ!」

 散開!と叫んだつもりが、泡の音しかでなかった。それでもミコト達は各自の判断で回避行動に移った。


 突進を避けられた大山椒魚は、ヌラリとその巨体を捻って反転すると、正面にいたミコト・アズサ組に向かって口から何かを吐き出した。  

 巨大な水球に見えるそれが、2人にぶつかるかと思ったとき、直前でワタリが飛び込んで身を挺して2人を救った・・・


 かに見えたが、実際は、カティがロープを振り回してワタリを投げ入れたらしい。

 「カティ、ナイス!」

 被害を受けるのは少ないほうがいいよね。決してワタリだからOKという理由じゃないからね。

 「うそだ!っす」

 ワタリも直撃を受けても元気なようだ。

 水球の正体は、山椒魚の体表の粘液を塊にしたものらしく、ワタリはその粘球に捕らわれて身動きができなくなっていた。

 無力化したワタリは無視して、大山椒魚は次の目標を探していた。

 そこに忍び寄る白い影・・・

 大山椒魚は自分の下に潜って接近してきたグレコにギリギリで気がつくと、咄嗟に噛み付こうとした。

 だが、グレコの上には、ちゃっかりとワタリの背負い袋から脱出していた親方が乗っており、至近距離から渾身の棘針を打ち込んだ。

 「プシャアアア」

 装甲の薄い口内に棘針を打ち込まれて、もだえる大山椒魚に、周囲から雷撃が走る。

 レジストに失敗して麻痺をしてしまえば、もうまな板の上の山椒魚だった・・・


 地下水路の半分を埋める大きな死体を目の前にして、どうしようか悩んでいると、コアから連絡が入った。

 「会話が繋がったということは、領域化できたってこと?」

 「うん」

 どうやらこの周辺の地下水路は、この大山椒魚がエリアボスだったようだ。

 それを倒したので、支配権が宙に浮き、コアが領域化出来るようになった。

 早速、邪魔な死体の吸収をしてもらうと、少し先まで偵察を続けた。


 そろそろ30分が過ぎ、引き返そうか考えていたときに、地下水路の天井が開けて、大きな地底湖に行き当たった。親方によると、その地底湖の周囲に多数の反応があるらしい。

 メイ・シナノ組がこっそり偵察に行くと、すぐに戻ってきた。

 「ギャギャギャ(リザードマンですね、10体以上います)」

 水晶でできた穂先の槍を持ち、黒い皮鎧を着込んでいたという。何をしていたか、までは分からなかったそうだ。この先が領域化できないということは、奴らのテリトリーと見て間違いないね。

 「戻ろう」

 もし戦闘になって、時間をとられると、ルカの水中呼吸のバフが解ける危険がある。交渉するにしても戦闘になるにしても、こちらのホームグラウンドで行いたいし。

 「了解っす」

 戻りは、ミコト達に全速で泳いでもらったので、10分もかからず水牢へと帰還できた。


 「主殿、次はリザードマンと戦争か?」

 出迎えてくれたロザリオが物騒なことを言ってくる。

 「まだ、戦いになるとは決まってないよ」

 「そうは言うが、この辺のリザードマンは荒っぽい連中ばかりだと記憶しているが」

 「武闘派集団かよ」

 「ぜよ」

 DPの推移

現在値: 1142 DP

吸収:山椒魚x3 +240 (1匹は分解・吸収)

吸収:大山椒魚 +180

残り 1562 DP

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