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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第4章 リザードマン編
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こっちの水は甘いぞ

 ピンポーン


 ダンジョンの中に場違いな玄関チャイムの音が響いた。

 「何の音?コア、警報がわりに玄関チャイムでもつけた?」

 「ぷる」


 ピンポーン ピンポーン


 やっぱり鳴ってる。誰か来たのかな。

 「はーい、どなたですか?」

 コアルームで宙に向けて問いかけてみた。すると、

 「宅急便ですニャ」

 どこからともなく、少し訛った共通語で答えが帰ってきた。


 ダンジョンに宅急便が届くのかよ、とか、誰が出して料金どっちが払うんだろう、とか、幾つか疑問点はあるけれど、一番大事なのは・・・

 ニャだよニャ。

 これはあれかな、猫耳娘が宅急便屋のコスチューム着て、優しく手渡ししてくれるんだろうか。

 「にゃにゃハン、にゃにゃ台、お待たせしたニャン」

 とか早口言葉で言って欲しい。

 ちなみに僕は黒推しで。

「おいらは白っすね」


 コアにゲスト指定してもらって、コアルームまで誘導してもらう。というかどっから入ってきたんだろうね。

 コアルームの扉を開けて入ってきたのは、黒い猫だった。大きさも普通のただのしゃべる猫。

 「黒猫ジジの宅急便ニャ」

 あちこちからクレームの来そうなネーミングはやめて欲しい。

 「大丈夫ニャ、訴えられたら夜逃げするニャ」

 裁判で勝ち目ないんだ。

 

 「あれ?荷物は?」

 黒猫は宅急便という割には何ももっていない。というかこの体格だと封筒ぐらいしか運べないような気がする。お腹に異次元ポケットでも隠しているんだろうか・・・

 「背中にコンテナ用のハッチがあるニャ」

 「まさかのQべー方式!?」

 「うそニャ」

 この黒猫、腹の中も黒いらしい。

 「ここにサインして、受取人にニャってよ」


 宅急便の荷物は、配送所から直接転送してくるのだそうだ。ジジはそのランドマーカー役らしい。すぐにコアテーブルの上に魔法陣が現れて、見慣れたダンボールの箱が出現した。

 割と大きい。上面に受け取り票が貼られていた。


 「ここにサインか肉球押すニャ」

 肉球でいいんだ。

 代理で親方の肉球を押してもらった。

 「代金引き換えニャ」

 「え?着払いなの?」

 「そうニャ」

 「差出人、誰だよ」

 「コールセンターの「姫」となってるニャ」

 あーーー、あの時の援助物資が今、届いたのか。すっかり忘れてた。  「うん」

 「それで、お幾らなんでしょうか」

 「162DPになるニャ」

 「「たか!」」


 確かに人里離れた辺境のダンジョンまで届けようとしたら、それぐらいの代金はかかるんだろうけど、なんで着払い・・・

 困窮してるダンジョンマスターに援助物資送って首絞めるとか、新しい嫌がらせかなんかだろうか。

 「これ本当に「姫」が送り主?」

 「さあ、そこまでは分からないニャ。ただ発送担当者はえらくそそっかしい人で、宛名5回も間違えていたニャ」

 「・・ドジっ子だ」

 すごい嫌な予感がしてるけど、配送業者さんに罪はないし、仕方なく162DP払った。

 「えらい半端だけど、距離や重量で細かく計算するの?」

 「一律150DPニャ、12DPは税金ニャ」

 「消費税かかるんだ!しかも8%!」


 黒猫のジジが帰ったあとで、ダンボーの顔が描かれたダンボールの箱を開けた。

 中身は・・・青汁とクロレラとミドリムシが1年分入っていた・・・

 「これクーリング・オフできないかな・・・」

 「にがぁ」

 「うわっ、激マズっすね、でももう1杯」

 個別包装も開けちゃったんだ、

 「ギャギャ(この抹茶入りは飲みやすいですよ)」

 「ギャギャギャ(ミドリムシと言っても虫には見えないが)」

 飲んじゃったんだね。まあ、野菜が足りてないから、栄養を補うには良いのかな。

 僕も抹茶入り青汁を飲んでみた。

 「グヘエ、TVショッピングで宣伝してるのと一緒だね、一緒」

 砂糖か蜂蜜を入れないと僕には飲めそうもなかった。


 「主殿、このクロレラというのは薬か?」

 「いや、携帯食に近いかな。満腹感はでないけど、栄養があるんだよ」

 「ふむ」 ボリボリボリ 「なるほどな」

 「わかるの?」

 「まったく、わからん」

 「だろうね。原料は藻なんだけど」

 「ならば鮭達の餌にするか?」

 「さすがにそれはもったいないよ。数もそんなに無いし」

 「だが、水牢の底には何も生えていなかったし、やがては餓死するのではないかな」


 そういえば紅鮭の餌も考えた方がいいね。たまに昆虫をあげるとしても、自生する藻や貝類がいるに越したことないしね。

 「コア、水中に設置できる藻の類ってある?」

 「ん~~~」

 コアが悩んでから送ってくれたリストは、


 設置リスト:環境(水中)

マイクロ・ビオトープ 3mx3mx3m 極端に狭い水槽の中で、生態系が保たれている。 

           100DP

漁礁(淡水用) 9mx9m 倒木と水草でできた、淡水魚の漁礁 繁殖に+10%修正

           300DP

ドローイング・ウィード 9mx9mx1m 水草の群生に見えるが、近づくと巻き付かれて溺死する。 

           500DP

ケルプの巣   9mx15mx3m 深く生い茂った水草の群生。 低確率でケルプが住み着く。

           1000DP

サルガッソー(船の墓場)1kmx1km 年中霧が立ち込める難破船の墓場。海草が密集して生えてい            て、うかつに接近すると船ごとからみつかれる。

           3000DP


 うん、最後のは、あきらかに違うね。   「むう」

 この中だと、やはり漁礁かな。ケルプの巣も魅力的だけどDPが高いから。これなら精霊の泉を作った方が良いかも。

 「コア、水牢の水底に漁礁(淡水用)を設置して」  「ん」

 ついでにやっておこうかな。

 「コア、精霊の泉(低級)を設置するのにお勧めの場所は?」

 「ん?」

 「欲しい精霊は治癒か水属性かな」  「ん」

 送られてきた情報によると、


 癒しの毒リンゴの木の根元  治癒狙い ただし毒精霊の可能性もあり。

 癒しの泉の側        治癒狙い 成功率高い

 水牢から地下水路でいった洞窟 水属性狙い 成功率高い

 淵のそば          水属性狙い ランクが低いのが来るかも

 

 以上の3箇所だった。毒精霊が来ると困るので、治癒なら癒しの泉の部屋になるけど、あそこに3つも集中するのもどうだろう。

 水属性を呼ぶなら水路の先の洞窟がいいかな。淵の側は行くのに楽だけど、ランク低いのだと寂しいからね。

 「よし、コア、水路の先の洞窟に精霊の泉(低級用)を設置して。奥の方でいいから」

 「ん」

 さあ、これであとは優しい精霊が宿ってくれるのを待つだけだ。

 「たまに水没者の幽霊が来たりするらしいぞ」

 「ぴゃー」

 「ロザリオ、変なフラグ立てないで」

 「ハハハハ」

 DPの推移

現在値: 2604 DP

手数料:黒猫宅急便 -162

設置:魚礁(淡水用) -300

設置:精霊の泉(低級用) -1000

残り 1142 DP

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