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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第3章 オーク編
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Jはじゃが芋のJ

 ウウの放ったフェレットの集団は、自爆上等とばかりに罠部屋を駆け回った。

 「落とし穴と矢の嵐はダメか。あ、盥の下敷きで1匹死んだね。巣穴にも2匹いった、やんまー潰して」

 「ギュギュ」

 一通り安全を確保したあとで、小隊長が乗り込んできた。ただし木の柵は乗り越えずに、罠を迂回しながら進んでくる。

 次にウウが罠部屋に入ってきた。部屋の中を一瞥すると、小隊長に指示を出す。

 「右の通路は脱出口バックドアでしょう。左手の扉が本命です」

 柵の配置が露骨すぎたね。どうみてもこっちが重要拠点だ。

 「こまつ組、作戦オペレーションJ発動!」 「じぇー」

 「「ギュギュ!」」

 トンネルの側道に潜んでいた、こまつ達が、壁に穴を開けて何かをころがり落とす。

 「じゃが芋、ブヒ?」

 アイスオークの隊員の足元に転がり落ちたじゃが芋の一つが、罠のスイッチを作動させた。

 カチッ ガラガラガラ ドシャーーン

 鉄格子が落下してウウ達を分断した。

 「しまった、通路後方の警戒を!」

 ウウの警告に後ろを振り向く隊員達が目にしたのは、小脇にぬいぐるみを抱えた狐面の骸骨の騎士だった。


 「「訳わかんないのが来たブヒ!」」

 混乱する隊員に、骸骨騎士が叫んだ

 「そこをどけ!お前らに用はない」

 「そうはいくか、ここは通さん、ブヒィ」

 たぶん勘違いしてるであろうアイスオーク達は、ウウ隊長を守ろうとして立ち塞がる。

 「あくまで邪魔をするというなら、いたしかたない。3秒だ!」

 フェレットを早く見たいロザリオは、秒殺を宣言すると、おもむろに左手に抱えていた縫いぐるみを突き出した。

 「キュキュキュキューー」

 それは縫いぐるみではなく、ロザリオに連れ回されてぐったりしていた親方だったのだ。

 必殺のスパイクがうなりを上げてアイスオーク達に襲い掛かった。


 とはいえ、針土竜の背中から射出される棘針では嫌がらせにしかならない。チクチク刺さる棘に咄嗟に目だけ腕でカバーした。

 そこにロザリオが飛び込んだ。

 手前にいた戦士を一太刀で切り倒すと、崩れ落ちる身体を後ろに蹴り飛ばす。

 後ろの戦士は、味方を受け止めるか、避けて攻撃に備えるか一瞬迷ってしまった。

 その首筋にロザリオの剣が突き刺さる。

 「まさか・・本当に3秒・・だと・ブヒ・・」

 剣についた血糊を振り払いながら、ロザリオが答える。

 「フェレットを独占しようなどと考えるからこうなるのだ」

 「それ・・ちが・・う」

 理不尽な乱入者に、突っ込みも言えないまま戦士は意識を閉ざした。



 鉄格子が落下して、通路の後方にロザリオが到着した頃、罠部屋でも最後の戦いが始まっていた。

 「ディアハンター部隊、ヒット&アウェイ!」 「ごー!」

 「「「 バウバウ 」」」

 麦畑に隠れていたチョビ達を小隊長にけし掛けた。一戦して、範囲呪文の詠唱が終わるまでに視界の外に逃げる戦法だ。

 ところがウウはこれを予想していた。

 「草よ蔦よ、我らの敵の足を絡め取れ!エンタングル」

 地面から突如生えた蔦がチョビ達の移動を拘束する。


 「まずい、あそこに範囲魔法を撃たれると全滅する」 「ぴゃ」

 その瞬間、コアルームからケンが飛び出していった。


 絡め取った灰色狼の群を、まとめて除去しようとアイスストームの呪文を詠唱しかけていたウウは、左手の扉を押し開けて、何かが飛び掛って来たのに気がついた。

 とっさに喉をかばった左腕に、巨大な灰色狼が喰らい付いた。

 「お前が群のボスですか!」

 腕に噛み付かれたままでは呪文の詠唱ができない。巨体に押しつぶされないように柵に身体を預けながら小隊長に向かって叫ぶ。

 「オイラにかまわずコアルームのコアを破壊しなさい!」

 頷く小隊長は、左の扉に突き進んだ。

 灰色狼のリーダーはそれを見ると、ウウを離して小隊長に襲いかかろうとした。

 「眷属ならそうするでしょうね」

 腕の痛みに耐えながら、ウウは片手だけで新たな呪文を唱えた。

 「思い出せ汝の元の姿を、従え我が言葉のままに!ワープ・ウッド」

 その力ある言葉が放たれると、コアルームの木の扉が、まるで元の樹の幹に戻るかのように丸まってしまった。ウウの立ち位置から、コアルームの中央に置かれた台座の上のオーブが微かに見えた。

 小隊長は灰色狼のリーダーと、エンタングルを振り払った1頭の狼に挟まれて動けそうにない。他の2頭もすぐに参戦してくるだろう。

 「これが最後です。冷酷にして鋭利な氷の女王よ、汝がしもべに怨敵を貫く槍を授けたまえ!アイス・ランス!!」

 ウウの前方に巨大な氷柱つららの槍が出現し、次の瞬間、台座の上のオーブが貫かれて砕け散った。


 「コアーーーーー!!」



 「なんてね」  「ね」

 浮遊できるコアが、いつまでも同じ場所にいるわけないよね。

 身代わりのじゃが芋さんは、あとでスタッフが美味しくいただくとして、MPが切れたっぽいウウはどう料理しようか。

 そう思って罠部屋を確認したら、もう戦いは終わっていた。

 コアルームに攻撃をされたメンバーは暴走状態で小隊長とウウに襲い掛かったみたいだ。

 小隊長はケンに喉笛を噛み切られて、ウウはリュウとガイルに引き倒されたあとで蹂躙されていた。


「結局、狼に食べられてしまったんだね」  「うー」


 

 召喚リストその33

 アイスオーク・イニシエイト:氷豚人 入信者

種族:亜人 召喚ランク4 召喚コスト160

HP20 MP11 攻撃4(+武器修正) 防御4(+防具修正)

技能:斧、冷気耐性、杖

特技:アイス・ストーム(氷嵐) 、ドルイド呪文Lv3

備考:氷嵐 使用MP4 射程30m 範囲半径5m 冷気10ダメージ


 その34

 アイスオーク・ドルイド:氷豚人 ドルイド

種族:亜人 召喚ランク5 召喚コスト250

HP25 MP20 攻撃5(+武器) 防御5(+防具)

技能:斧、冷気耐性、杖、詠唱

特技:アイスストーム、ドルイド呪文Lv5


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