表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第3章 オーク編
80/478

お前達に言い残すことがある

 「奇妙なダンジョンですね」

 レンガのウウは、長いトンネルを覗き込みながら、首をひねっていた。

 一見するとゴブリン族の居住洞窟にしか見えない。丘をただ掘り抜いたような作りだし、なにより狭い。

自分の知識によれば、ダンジョンの通路は幅も高さもオークの身長の2倍ぐらいはあったはずだ。

 「やはりこちらは関係ないのか・・」

 それにしては、このトンネルと墳墓への降り口は近すぎる。

 「ここにゴブリン族が先住していて、そこに地下からダンジョンが広がって、すぐそばに開口部ができた・・・」

 先住ゴブリン族は、殺されるか従属するかして居なくなった。餌の無くなったダンジョンが新たな獲物を求めてアイスオークにメッセージを送った。

 「そこがおかしい」


 このダンジョンは出来たばかりだ。それは掻き出された土の状態を見てもあきらかだ。急造につぐ急造で、防護や隠蔽にまで手が回っていない。

 入口も狭く、大型種は入ってこれない。つまり強い外敵には侵入して欲しくないと思っている。

 そんなダンジョンが、わざわざ祖先の名を騙ってまでアイスオークを呼び込もうとするだろうか・・・


 「第三者が介入している可能性もあるのか」

 ここにダンジョンが出現して、先住していたものが逃げ出した。腹いせにニセのメッセージを送って、復讐をアイスオークにさせようとした。

 これが一番しっくりくるが、ニセ者がヨーク男爵の名を出したのが引っかかる。果たして敵は・・・

 「ウウ隊長、第二小隊長から緊急です。歩哨4名が行方不明だそうです、ブヒィ」

 思考の海に沈んでいたオイラは、部下の声で我に返った。

 「第一小隊は?」

 「連絡ありません、小隊全員が行方不明です、ブヒィ」

 「第二小隊にはこちらに合流するように連絡を。第一小隊は・・・探しても無駄でしょうね・・」

 ダンジョンの外の見張り部隊から削ってくるとは誤算でした。どうやら我々は虎の尾を踏んでしまったようです。


 第二小隊の小隊長と部下が合流すると、部下のなかで一番体力のある戦士に伝令を指示した。

 「いまから言うことをゴウ・ヨーク族長に伝えること、いいね」

 「ブヒ!」

 「敵の目的は部族の戦力をダンジョンで磨り潰すことにあり。すでに先遣隊及び本隊は壊滅、後詰はこれより救援に向かう。我等が未帰還の暁には本拠地の守りを固められたし、以上」

 「了解しましたブヒィ」

 走り去る伝令兵の背中を見送りながら、彼の無事を祈った。例え帰りの行軍に障害が無かったとしても、族長の怒りで首が飛ぶかも知れない。この報告は、族長の夢枕に立ったのがニセモノだったと言っているわけで、その結果、部族の戦力の半数が死亡では面目丸つぶれだから・・・

 だけど、いかに族長が脳筋でも、これ以上遠征隊を組織したら本拠地が危なくなるのは理解するはずだ。それでも、自分の名誉を守るために兵を死地に送り込むようなら、滅べばいい。


 オイラは残りの兵士を連れて、狭いトンネルにもぐりこんだ。



 しばらく様子をうかがったけど、範囲呪文を打ち込んできた小隊長は階段を降りてこなかった。どうやら残存部隊に合流しに移動したみたいだ。

 今のうちに倒したアイスオークの吸収をしてしまおう。

 「コア、よろしく」  「ん」


 敵の残りは1小隊+2名で、中隊長と小隊長が混ざっているはずだ。合流したってことは撤退する気かな?ここにダンジョンがあるっていう情報を持ち帰られることになるけど、追撃はリスクが高すぎるし、あきらめよう。

 「きた」 

 そう思っていたけど、再び侵入警報がでた。

 侵入してきたのは7体。けど湖方面からトンネルを伝って来ている。

 「1人足りないのは報告に戻らせたのかな」   「ぶん」

 コアも同じ意見らしい。

 術者が2人いる部隊とまともに戦うと、こちらの被害も大きくなりそうだから降伏勧告でもしてみよう。

 リンゴの小部屋に着いた時を見計らって声をかけた。


 「我が領域に踏み入るのは何者だ」

 驚いた顔のアイスオークが返事をしてきた。

 「オイラは「貪欲の氷斧」に属する「レンガのウウ」。貴方はダンジョンマスターか?」

 誰かと聞かずに、ダンジョンマスターかと聞いてきたね。そこまでは予想できてるってことだ。

 「いかにも、我はこのダンジョンの支配者なり」

 まだ新米だけどね。

 「貴方がオイラ達を呼び込んだのか?」

 「否、我はこの地に平穏を求めてきた。領域を侵したのはお前達の方だ」

 いい迷惑なんです。

 「それは申し訳なかった。部族に成り代わって謝罪をしよう」

 おや?えらく下手にでるけど降伏する気なのかな?

 「ならばお前達は降伏するか?」

 「できればそうしたいところなんだが、その前に一つ聞きたいことがある」

 「なんだ」

 「オイラより先に入った者達で、生き残りはいるか?」

 「・・・いない」

 「そうか・・・正直に答えてもらったのに悪いが、降伏はできない」

 「忠義か?」

 「族長に義理は無い。しいて言うなら家訓かな」

 「家訓?」

 3兄弟の家のかな。


 「1本の矢は折れても3本の矢は折れない」

 「それは毛利だろ!」

 

 最後の戦いの火蓋が切られた。 

 



DPの推移

現在値: 809 DP

召喚:群体x2 -10

吸収:アイスオークx4 +180

召喚:スケルトンファイターx2 -80

吸収:アイスオークx7 +315

吸収:アイスオーク・スカウト +80

吸収:アイスオーク・レンジャー +125

残り 1419 DP

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ