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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第3章 オーク編
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いくぜ相棒

 「声を揃えて騎士を嘘吐き呼ばわりとは、失敬な奴らだな」

 ロザリオは怒っているが、その点についてはオーク達に罪はないと思う。

 「だって、骨だし、ブヒィ」

 「だって、狐面だし、ブヒィ」

 「だって、女騎士じゃないし、ブヒィ」

 ちょっと待て、女騎士だったら骨で狐面でもいいの?

 「私は女騎士だ!」

 叫ぶロザリオにオーク達がざわつく・・・

 「「有りか無しか、ブヒブヒブヒ」」

 緊張の一瞬が過ぎて、結論が出たらしい。


 「やっぱり無理、ごめんなさい、ブヒィ」


 「クックックッ、ここまで私を愚弄したのだから、覚悟はできているんだろうなあ」

 黒いオーラを発しながら剣を構えるロザリオ。

 怯えて後ずさるアイスオーク達。

 どちらが悪役かわからない状況だね。

 「主殿にもあとでゆっくり話を聞かせてもらおうか」

 やべ、こっちにも飛び火したよ。


 「さあ、皆、ロザリオが作ってくれた機会を無駄にしない為に、すぐに攻撃開始だ」

 「・・・」

 「言い訳ぽいっす」

 「キュキュ」

 くっ、皆の反応が冷たい。

 だが、そこに救世主が現れた。空気読めない小枝のフウだ。


 「誰だか知らないが、墓守でないなら敵ってことだろ。野郎ども、やっちまえ」

 「「へい、ブヒィ」」

 アイスオークの軍勢が動き出した。それに呼応するかのように、こちらのメンバーも行動を開始する。


 先手を取ったのは、鉄砲玉のアイスオーク3体だ。ロザリオに対して2体が突撃し、小隊長は後方で特殊技能アイス・シャープを発動した。それに対応してロザリオが一喝する。

 「雑魚に用はない、消えろ!」

 その瞬間、床に落とし穴が開き、踏み止まれなかった2体が奈落に落ちていった。

 「「ブヒィイイ」」

 

 「落とし穴とは卑怯な、ブヒィ」

 小隊長がロザリオを挑発するが、逆効果だった。

 「貴様らに、死に様を選べる権利など無い!」

 その叫びとともに、床の穴を飛び越えてきたロザリオの剣が脳天に振り下ろされる。虚を突かれた小隊長は、ギリギリで頭をそらしたが、肩口に一撃を受けてしまった。

 「グハッ、だが1人でこちら側に来たのは迂闊だったなブヒ。囲まれて切り刻まれろ、ブヒィ」

 そういって戦斧で横から斬りつけた。

 「誰が1人だと言った」

 冷静に丸盾で戦斧を受け止めると、ロザリオが言い放つ。

 それに釣られて小隊長が辺りを見回すと、4隅の骸骨戦士が包囲するように動き出していた。

 すぐには手助けが来ないことを悟った小隊長が、焦って戦斧を振るおうとしたが、何故か動かない。刃先が相手の盾に食い込んで抜けないのだ。

 「耐久性には乏しいが、木製の盾にはこういう使い方もあるのだ。あの世で訓練しなおしてこい」

 ロザリオの冷酷な一撃が小隊長の意識を刈り取っていた。


 「えっ?今の落とし穴、コアが開いたの?」

 「んん」

 ロザリオの気合で発動したように思えたけど、怒りゲージが溜まると超必で罠を操れる能力とか顕現したのかな?

 「そんな馬鹿なっす」

 「だよね」

 「キュキュキュ」

 「え?親方が紐を引いただけ? あ、本当だ。親方の反応が玉座の部屋にあるね」

 前回の戦いでは待機組だったので、親方は自主的に玉座の部屋で待機してたらしい。ロザリオが話し相手が欲しくて、抱えて運んでいったという話もあるけど。

 それで突入してくる2体の戦士に合わせて紐を引いたのか。結果的に2体を無効化できたから上出来だね。親方にはそのまま玉座の部屋を守っていてもらおう。

 「キュキュ」


 十字路は乱戦になっている。小枝のフウの号令で中央ホールの本体が前進し始めたと同時に、左右の通路の扉が開いて、スノータスカーとスノーゴブリンの混成部隊が突撃してきたのだ。

 むろんアイスオークも警戒を怠っていたわけではない。左右の扉が開いた音に素早く対応して、迎撃体勢を整えていた。しかし、この狭い通路で、騎牙猪兵が突進してくるとは思ってなかったのだ。

 左右の見張りを任されていた戦士達は、それぞれの敵を迎撃すべく戦斧を構えたが、その注意は騎乗するスノーゴブリン達に向けられていた。

 アイスオーク達は、タスカーの背に張り付くように跨った槍兵の槍先を回避することに専念していた。実は騎乗しているスノーゴブリンは、捕まっているが精一杯で、槍を繰り出すことなど到底無理だった事など知る由もなかった。

 お互いが交錯した瞬間、本命のタスクチャージが炸裂した。

 2体のオークが牙に跳ね上げられて宙を舞い、ぼろ雑巾のように床に叩きつけられた。

 騎牙猪兵は交差するようにすれ違うと、反対側の通路に駆け抜けていく。

 後方警戒の指揮を任されていた小隊長は、即座に中央ホールの2人と、玄関ホールの2人を呼び寄せて、反撃に出ようとした。

 そこへ巨体の牙猪に跨った巨躯のスノーゴブリンが突進してきた。五郎〇とアップル隊長である。


 「ギャギャ(いけるか?)」

 「グヒィ(いつでも)」

 そんな会話をして1人と1騎は、戦場に駆け込んでいった。

 指揮能力を利用したアップルの騎乗は安定感があり、五郎〇の走破の邪魔にならない。勢いをころすことなく小隊長にタスクチャージを掛けた。

 さすがに小隊長は五郎〇の危険に気付き、横に飛び退きざま、戦斧を叩きつけた。

 だが、それをアップルの盾が受ける。

 チャージを避けられた五郎〇は、すぐさま通常攻撃に切り替えて小隊長を足元から攻撃する。さらにその横に降り立ったアップルが、挟撃の体制に持ち込もうとする。

 そこに、玄関ホールにいたアイスオークの増援の2体が割って入った。

 同時に中央ホールからもアイスオークの増援が2体、合流しようとしたが、廊下の両端で突撃体勢を維持している騎牙猪兵を警戒して、踏み止まった。


 十字路は戦力が均衡して膠着状態に陥るかと思われたが、意外なことで、その均衡が崩れた。

 中央ホールの扉が、ゆっくりと閉まり始めたのだ。

 扉の監視を命じられていた増援の2体は、慌てて押し留めようと扉に触った。

 その瞬間、クーリングタイムを終えていた罠が発動した。

 カチッ カチッ カパッ ドスドスドスドス  「「ピギョエエエエ」」

 扉を開けようとした2体は槍衾に串刺しにされて絶命した。

 「グヒィ?グヒィイイ」

 そしていきなり後方に開いた落とし穴に、五郎〇が落ちていった・・・


 3対1になったアップルは、瞬時に撤退を決めた。

 右手の槍を小隊長に向かって投げつけると、その隙に右側の廊下にジャンプする。片方の戦士の一撃は受けたが、なんとかティー&アグーに合流できた。


 小隊長の方も決して優勢になったとは思っていなかった。中央ホールの増援は死亡、しかも扉は閉まり、フウ隊長と連絡が取れなくなった。さらには玄関ホールの鉄格子が降りて、後方のウウ中隊とも分断された。

 前の十字路を突破するのは現状では難しい。ここは一旦ウウ中隊と合流して指示を仰ぐべきだ。

 そう判断して、玄関ホールに退却した小隊長は、焦りからか部下に鉄格子を押し上げるように命じてしまう。 それは第2の罠を作動させることになった。

 小隊長が、この場所に魔法の痕跡が残っていたことを思い出したのは、玄関ホールに吹き荒れた旋風刃に切り裂かれた後であった。

 召喚リストその31

 アイスオーク・スカウト:氷豚人 斥候兵

種族:亜人 召喚ランク4 召喚コスト160

HP23 MP9 攻撃力5(+武器修正) 防御力4(+防具修正)

技能:斧、冷気耐性、両手斧、警戒、罠解除

特技:アイスシャープ

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