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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第3章 オーク編
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騎士として

 帝国の亡霊は焦っていた。

 「オークッ、地底は陽動とはいえ、こうも容易く蹴散らされるとは、ブヒィ」


 支配下の屍霊術師は、ランク2の死霊なら一度に3体を召喚し、6体まで保持できる。

 スケルトン・ファイターは特殊能力の無い骸骨戦士だが、盾の防御力で持久戦は得意なはずだった。まさか水中で広範囲の電撃やブレスを吐く眷属までいるとは。

 急遽、追加の召喚をさせているが、一日に召喚できるのは3回までで、最大で9体にしかならない。

 「だが、奴らも消耗はするはず。ならば物量で押し切るブヒィ」

 屍霊術師に連続して召喚させると、追加の6体を送り出した。


 

 「来たな」

 水底でカティと共に警戒体勢をとっていたロザリオが敵を視認した。


 「スケルトン・ファイター6体か。水中で動きが阻害されるとは言え、条件は向こうも同じはず。ならば臆することもない。私には強い味方もいるしな」

 「ピュイ」

 こちらは水中が得意のカティが、余裕をもって答えた。


 「一列になって接近してくるのは、範囲攻撃を警戒してのことか。だがそれでは私の護りをを抜くことはできんよ」

 ロザリオは間合いに入った先頭の骸骨戦士に斬りかかった。


 お互いに水の抵抗で動きが鈍るなか、1体1では自力の差を覆すことができずに、最初の骸骨戦士は倒された。

 2体目は仲間の影からロザリオに襲いかかったが、すかさずカティが突進をしかけ、体勢を崩したところで、ロザリオに切り伏せられた。


 不利を悟った骸骨戦士達は、ロザリオを包囲しようと散開する。その包囲網が閉じようとしたとき、ロザリオは、すっと後ろに下がりカティに合図を送った。

 「ピュイイイイ」

 カティの電撃が炸裂し、4体の骸骨戦士に重傷を負わせると、ロザリオの反撃で全滅するのに、さして時間はかからなかった。


 「どうたら片付いたようだな。見事な支援だったぞ」

 「ピュイ」

 後続が途切れた事を確認して、ロザリオとカティはお互いの健闘を讃えあった。


 「主殿、あらかた倒したが、水路の奥も探索しておいたほうが良くないか?」

 「なんでいきなり湧いてきたか、調べた方が良さそうだね。ただし無理はしないで」

 「了解した」 「ピュイ」


 骸骨戦士達が現れた水路を逆に辿ってみると、やがて水面から出れる場所に着いた。

 「どうやらこの先から来たようだ。私は岩伝いに登れるが、カティは無理そうだな」

 「ピュイ」

 「ちょっと待って、増援を送るから」


 しばらくすると、尾をくねらせて水中を泳いでくる2頭のホワイト・リザードが到着した。

 「クロコとグレコはロザリオを支援しながら水上の探索。カティはその場で待機、戦闘が水中に波及したら支援して」

 「ん」 「「シャーー」」 「ピュイ」

 「では行くとするか。鬼が出るか蛇がでるか」


 岩場を登って水面から顔を出すと、そこは広い地下洞窟になっていた。足元には白骨死体が散乱しており、遺品らしき物が錆び付いたまま放置されている。


 「水牢に落とされて脱出を図った人々の墓所か。私もこの中で埋もれている未来もあったわけだ・・・」

 冥福を祈りながらも、先へ進む。この死者達の安寧を脅かすモノを排除する為に。


 地下洞窟の奥に、黒いフードを被った不気味な人物の姿を見つけたとき、どこからか耳障りな笑い声が聞こえてきた。

 「オークックックッ、こんなに早く貴様に復讐する時が来るとはな、ブヒィ」


 「この声は!・・・誰だ?」

 「ブフォ、我輩の声を忘れたというのかブヒィ。貴様に殺されたヨーク男爵だブヒィ」

 「殺されたというなら、静かに死んでいれば良いものを。まさか鬼が出ずに豚がでるとは」

 「その減らず口を叩けなくして、慈悲を乞わせてやるブヒィ。最凶の死霊戦士を呼び出せ!ブヒィ」


 元男爵の指令を受けて、屍霊術師が死霊創造の呪文を唱えた。

 呪文の詠唱を阻害しようと術師に向かって踏み出したロザリオだったが、前方の地面に魔法陣が浮かんだのを見て、とっさにバックステップする。

 「オークックッ、第六階位のスケルトン・オーガーナイトだブヒィ。命乞いするなら今のうちだブヒィ」


 それは巨大な人食い鬼が白骨化し、骨でできたメイスと盾を構えた異形の戦士だった。骸骨戦士とは比べ物にならない闘気を放ちつつ、隙のない足運びで前進してきた。


 「私より高位のオーガーナイトか。だが、元よりこの命も剣と共に主に捧げている身なれば、豚ごときに下げる頭も乞う命もありはしない!」

 裂帛の気合と共に、ロザリオの左手に光の盾が浮き上がる。

 「我が名は騎士ロザリオ、主の剣にして盾なり!」


 お互いの騎士の名にかけて、退けない戦いが始まろうとしていた。



 その頃のアイスオーク先遣隊は・・・


 道に迷っていた。


 「ブウ隊長、我隊は完全にロストしましたブヒィ」

 「胸張って報告する内容じゃないだろブヒィ」

 「申し訳ありません!ブヒ」


 ゴウ・ヨーク族長の夢の話の説明も曖昧だったし、先鋒を任されて浮かれて出発した自分にも責任があるといえば有るが、ここは無いということにしておこう。


 「とにかく近くには来てるはずだ。各小隊から偵察兵を2名ずつだして索敵させろ、ブヒィ」

 「「サー、オーク、サー」」


 このまま墓所の発見に手間取ると、弟の部隊が追いついてくる。長兄として、無様な姿は見せられん。

 「見つかるまでメシ抜きだブヒィ」

 「「そんなあブヒ」」


 精鋭部隊の士気は高い・・・今はまだ・・・

DPの推移

現在値:53 DP

吸収:スケルトンファイターx6 +120

召喚:ホワイトリザード -90

残り 83 DP

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