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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第3章 オーク編
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豚の骨と良く似ている

 「なるほど、第一発見者を装って容疑を逸らすとは、ワタリも成長したね」

 「ぬれぎぬっす」

 「偽装が暴かれた犯人は、皆そう言うけどね」 「ん」

 「ギャギャギャ(そんな、ワタリさんが犯人だったなんて)」

 「ギャギャ(まさか、あいつがなあ)」

 「ギャギョ(そういえば最近・・)」

 「というか、この骨だれなんすか?」

 「「さあ」」


 よく考えたら、この世界で死体を遺棄したぐらいじゃ、犯罪にならないよね。

 「というわけで、被害者の身元を洗ってみよう」


 作業場の壁から出土した白骨死体は、どうやら2足歩行の人型のようだ。ただし大分腐食しているので、亜人なのか人間なのか、までは判別できない。

 年代はかなり古い。土葬されたのだとしたら、白骨化したあとに、さらに年月が経って骨組織が石化しかかっているので、千年前だとしてもおかしくはない。

 死体と一緒に武具などは出てこなかったので、戦士ではなさそうだ。同じく、服飾品も残ってないので、あまり身分が高い者でもないだろう。まあ、賊に襲われて身包みはがれたあげくに、証拠隠滅の為に埋められたのかも知れないけどね。


 何か所持品か、埋葬品がないか周囲を掘ってみたらいっぱい出てきた・・・お仲間が・・・


 白骨死体の団体さんである。

 合わせて6体、全員同じ向きで椅子に座ったような姿勢で埋まっていた。

 なんだろう、そっと埋めなおして見なかったことにできないだろうか・・・

 「め!」

 コアに怒られた。

 しかたない、全部、発掘しよう。アップルチームも呼んで、徳川埋蔵金を探しあてるんだ!


 1時間ほど、発掘作業を続けると、僕らはとんでもないものを掘り当ててしまった。

 地下に続く石造りの階段である。

 「やばいものがでてきたね」

 「やばいっすか?」

 「ああ、たぶんさっき掘り出した白骨死体は、この建造物を作った労働者だね。そして完成したあとで、口封じに殺されて埋められたんだと思う」

 「まじっすか?」

 「権力者が埋葬されるときに、仕えていたものが殉死したり、死後の世界でも仕える為に生き埋めにされる例もあるけど、その場合でも日常品や職人の道具は一緒に埋葬されるんだよ。それこそ、あの世で仕事ができるようにね」

 「なるほどっす」

 「墓荒しに情報を売られることを懸念して、ならまだ良い方で、人に知られると身の破滅的な何かが隠されてたら、やばいよね」

 「やっぱり埋め直した方がよくないっすか?」

 「僕もそう思うんだけど、コアがね」

 「む~~」


 コアとしてはダンジョンの下に正体不明の遺跡が眠っているほうが嫌なんだろうね。

 「まあ、ここまで暴いちゃったら、王家の墓なら番人がでてきちゃうだろうし、夜中に1人づつ行方不明になるのも困るしね」

 「怖い、怖いっすよ」

 「なので、探検隊を編成します」

 「あぃ!」  「「ギャギャ!(はい!)」」

 「あたた、おいら急に腹痛が・・・」

 「第一発見者は強制参加です。やっかいごとを掘り出した責任は果たしてもらいます」

 「とほほほ」


 探検隊は、僕とコマンド隊4名、チョビ以外のケンチーム、親方の9人に絞った。他の皆も行きたがったけど、構造物が階段の幅から想定すると、そんなに広くなさそうなので、諦めてもらう。

 もしも戦闘になっても、速やかに撤退できるメンバーで揃えた。一番足が遅いのは、背負い袋に親方を入れた僕なのは間違いない。なので準備は周到にしていこう。


 明かりは松明を用意した。これは遺跡でアンデッドと戦闘になる可能性も考慮してだ。

 ヒーリングポーションの代わりに、癒しのリンゴを3つ持っていく。もちろんケンの安全確認済みの方だ。

 武器は、僕がスコップ軍曹で、コマンド隊は石の槍だ。鉄の槍はバトルフィールドから帰還したら消えていた。マリアに譲ってくれと交渉したら

 「コモン武器だからリストにないなら500でいいわよ」

 と言われたので諦めた。いつかきっと足元に叩きつけてやる。

 

 防具はコマンド隊は革鎧、僕はサイズが合わなかったので、あちこち切り張りした。

 その他に、水袋と2食分の携帯食料(虹鱒の塩焼きと蝗の姿揚げ)を各自に用意する。日帰りの予定だし、正味6時間ぐらいしか探検しないつもりだけど、何が起きるかわからないのが遺跡探索だ。

 ワタリが罠にかかるかも知れないし、ワタリがモンスターに追われてはぐれるかも知れない。もしくはワタリが・・・

 「おいらだけ不幸がてんこ盛りっす」

 

 「よし、皆、準備はいいかな?」

 「ん」 「「ギャギャ!(はい!)」」 「バウ」

 「バナナはおやつにはいるっすか?」

 「持ち込んだら終身刑です」

 「麻薬扱いっす!」


 そして僕ら、遺跡探検隊は出発した・・・



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