魔女と護衛の騎士
しばらく更新が途絶えていて申し訳ありませんでした。
体調不良と仕事の山が重なり、執筆に割ける時間と精神的余裕が無かったもので・・
体調は戻ったのですが、仕事の山は継続中なので、もう少し更新が揺らぐかもしれません。
ご迷惑をお掛け致しますが、ご了承下さい。
凍結湖地下水道調査班が通過したルートを、順次領域化した、細長い糸の様なダンジョンの先端が、オババのダンジョンに到達していた。
凍結湖の地下に張り巡らされた、その古いダンジョンは、半分以上が崩落し、残った部分もダンジョンコアの管理が放棄されていた。
コアは、現存するオババの領域を侵さない様に、慎重に崩落した部分も取り込んでいき、やがて孤立していたメンバー達を発見することに成功した。
先行して突入していた、ベニジャの部隊とビビアンのゲスト部隊は合流しており、青水晶の間という場所で、負傷したグドンの手当てをしていたらしい・・
ただし、ヘラが魔女になったとか、グドンが水晶の左手を授かったとか、情報が交錯していた・・
「で、ヘラとグドンのスキャンデータがこれか・・」
『あいあい』
ハーフナーガ・ノービスウィッチ「ヘラ」:半蛇人族・見習い魔女
種族:亜人? ランク7
HP31 MP39 攻撃6 防御6(+2皮鎧)
技能:採集、薬草学、調剤、治療、医学、詠唱New、魔女伝承New
特技:サーモセンサー、精霊呪文Lv4(土属性)、Lv4(光属性)、Lv4(闇属性)New
称号:マスター・オブ・ガーディアンシステムNew
ハーフオーク・ウィッチガーディアン「グドン」:半豚人族・魔女の護衛
種族:亜人 ランク8
HP72 MP15 攻撃9(+9黒鋼の戦斧+1) 防御10(+6黒鋼の胸当て)
技能:斧、盾、受け、頑強、苦痛耐性、投擲、挑発、頑健New
特技:パワーアタック、シールドバッシュ、ネバーギブアップ
備考:左腕が義手(水晶)
・・なるほど、確かにヘラのクラスが見習い魔女になってるね。ただ、それよりも称号の方がヤバそうなんだけど、これなんだかわかる?
『ぷるぷる』
コアも知らないか・・
グドンのクラスも奇妙なのに変わってるね・・ヘラのクラスチェンジと何か関係があるのかな?
左腕が損傷したのは聞いたけれど、水晶の義手って何が起きたんだろう・・
『・・かっけー・・』
コアの心の琴線は震えたようである・・
色々検証したいことは有るけれど、今はオババのダンジョンの救助を優先しよう。
「ベニジャ、現状で動ける戦力は?」
『グドンはまだ目覚めないけど、後は元気で、直にでも戦えるぜ・・ただし、通路が水没、崩落してるんで、他の拠点に移動がしづらいぜ・・ジャー』
こっちの戦力は、ビビアンのゲストチームが7名・・正確には四人と1頭と1羽と1体だけど・・と、ベニジャチームが13名・・のはずなんだけど、マーカーはそれ以上居るね・・
「ベニジャのチームメンバーを点呼!」
『ばんごー』
『一番だぜ、ジャー』
『2番っす』
『ギャ(3番です)』 『ギャギャ(4番)』 『ギャギャギャ(4番おっとかぶった5番)』
『シャー』 『シャーシャー』 『シャシャシャー』
『ケロ』 『ケロケロ』 『ケロロ』 『ケロッケ』
『ルカもいます~』
うん、合ってるね・・
残りの二つの眷属マーカーは、ヘラとグドンで良いとして、問題は所属不明の6体だね・・
『2体はガーディアンでしゅ・・しぇいばーとばーしゃーかーと言いましゅ、げしゅとに登録お願いしゅるでしゅ・・』
ああ、新しいヘラの守護者か・・本当にガーディアンのマスターに成ったんだね・・
「コア、シェイバーとバーサーカーをゲスト認定して」
『ひげそり?』
剃刀なのかな・・
2体はオババの眷属っぽいね・・体格からしてオーガーかな?・・このままだと、またバトル委員会から警告が来そうだから、今のうちにゲスト認定しておこう・・
「コア、よろしく」
『おーがー』
残るは2体だけど、これ誰と誰?
『一人はガーディアンなんでしゅが、まだ名前を聞いていないのでしゅ・・もう一人はルカしゃんの旦那しゃんでしゅ・・』
え?ルカの旦那って、あの家出の原因になったヴォジャノーイの?・・ここまで追っかけて来たんだ・・
「で、どうなの?ストーカーなら敵性認定して追い出すけど・・」
『なんか大丈夫らしいでしゅ・・今は味方に数えて良いしょうでしゅ・・』
へー・・家族会議でもしたのかな・・ならゲスト認定で良いかな・・
これで所属不明マーカーが無くなった。
グドンがまだ安静が必要そうなので、この場からは動かせない。そしてその側からヘラも動こうとしない・・
二人の警護に何名か残して、残りの部隊でオババの救助だね・・
『ご主人様、準備が整いました・・』
直横で、幽霊メイドが囁いた。
ビクっとして振り向くと、そこにはいつもと変わらない半透明のメイド服姿のエルマが立っていた。
「ああ、エルマか・・準備って言ったけど、見たとこ装備も変わっていないみたいだけど・・」
『はい、メイドたる者、常に戦場に居るつもりで働いておりますので・・』
いやいや、それはどうなんだろう・・
『ドワーフの皆様から、武器・防具も預かって参りました・・』
「どこに?」
よく見たけど、普段使いのハタキしか手にしてないような・・
『メイドの秘密でございます・・』
・・そうですか・・深くは追求しないでおこう・・
「それで、これがコアが領域化したオババのダンジョン付近のマップなんだけど、どこに出たら良さそう?」
ビビアン達が使った通路は、既に崩落に巻き込まれて通行できなくなっており、オババのコアルームへのルートが遮断されていた。
最悪、穴熊ファミリーを転送して、掘り進めるしかないが、地盤が緩んでいるので危険が伴う。可能ならば、既存の通路を使って近くまでメンバーを送り込みたかった。
じっと立体マップを見つめていたエルマが、すっと一筋のルートを指し示した。
『今ならこれが、青水晶の間からコアルームに行く、最短ルートになります・・』
それは、ヘラとグドンが助け出された、大空洞の天井に開いた、巨大なワームの抜け穴であった・・・




