ばかな!部隊が全滅しただと
「ダンジョンバトルフィールド、ナインスクェアを展開、縮小立体透過モードで投影いたしますわ」
「姫」が光り輝くと、空中にダンジョンのスケルトン模型のような映像が浮かび上がった。
「ナインスクェアはその名の通り、9つの正方形の部屋が3x3の形に並んで、通路で繋がっていますの」
確かに〇Xというかビンゴカードみたいな形だね。
「各部屋は幅9m、奥行き9m、高さ6mのベーシックな造りですわ。通路は幅3m、長さ9m、高さ3mで統一されています。床、壁、天井すべて石造りで破壊は不可能ですわね」
思ったよりも通路が広いし、長いね。2つ先の部屋に移動するにはタイムラグがでそうだ。
「両陣営のコアルームは対角線上の端と端に配置され、その部屋に隣接する2つの部屋もそれぞれの陣営の占有エリアとして開始されることをお忘れなく」
「占有エリアは塗り替えられたりするんですか?」
「コアルーム以外の各部屋は、片方の陣営の眷属しか存在しない場合、その陣営の占有エリアと認定されます。すでに相手の占有エリアであっても、自陣営の眷属を送り込んで、相手の勢力を排除すれば占有できますわ」
「占有エリアとそうでないエリアの違いは?あとコアルームとの違いも」
「コアルームは召喚可能、設置可能、相手に占有されたら敗北ですわね。占有ルームは召喚可能、設置は相手勢力がいない場合のみ可能です。中立ルームは召喚、設置ともに不可、もちろん相手勢力の占有ルームでは召喚も設置もできませんわ」
「変換は禁止なんですか?」
「基本的に禁止です。例外として召喚時に眷属に武器・防具を配備することはできますわ。それとネームドの眷属を召喚する場合の固定装備は、召喚コストを5割増しで払うことで可能です」
おいおい、あの侍マスターのヤバ装備も参戦する可能性があるのかー。なんとかDPを浪費させて、せめて固定装備は無しで勝負しないと勝ち目がないよね。
「両者ともに準備はよろしくて?」
「あたしはいつでも常在戦場よ」
「僕らも良いです」
「それでは、ダンジョンバトルを開催いたしますわ!」
「姫」の掛け声とともに、浮かんでいたナインスクェアの映像が、急速に拡大し、実体化していった。
僕らはその中に吸い込まれるように転移したんだ。
マリア陣営
「さあ、あたしの実力を思い知らせてあげるわよ」
「相手は初心者だぞ、少しは手加減してやれよ」
「なにいってるのよ。獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすっていうでしょ」
「それを言うなら鼠を倒すにも全力を尽くすだ」
「そうも言うわね」
「・・・それより始めなくていいのか?」
「ちょっと、ボンが無駄話するから出遅れたでしょ」
「俺のせいかよ」
「なによ、あたしの所為だっていうの?」
「・・・まあいい、それより指示を出してくれ」
「そうだったわね、いつもの戦略で行くわよ。3つの占有ルームにそれぞれ6体のゴブリンと1体のゴブリンリーダーを召喚して。ゴブリンはカスタムして技能:突撃と技能:頑強を付与。装備は鉄の槍と硬革鎧で。ゴブリンリーダーは装備だけ鉄の槍と硬革鎧に変更で」
「了解した、マスター」
「召喚が終わったら、リーダーは自分の部隊を統率して中立エリアを占有しに向かいなさい」
「了解した、マスター。ただどの部隊がどの方向に進むか指示しないとかち合う可能性があると思うが?」
「それぐらい、ボンが指示だせばいいでしょ」
「・・・了解した」
「マスターが抜けてる!」
「・・・・・了解した、マスター・・・」
「ゴブ百二十五ロウ部隊は角部屋を占有に成功、ゴブ百二十六ロウ部隊も占有に成功」
「ふふん、あたしのゴブリンウィニー戦法は無敵だからね」
「「ゴブリン使い」の称号のお陰で、ゴブリン族の召喚コストが2割減、カスタム時に技能を2個付与可能だからな。はっきりいって反則に近いと思うぞ」
「称号を付ける為にゴブリン族しか眷属にできないのよ。あたしの多大な犠牲の上に成り立っている戦法なんだから問題ないわ!」
「モフりを我慢してるだけだろうに」
「モフモフ成分は必須栄養素よ。欠乏すると重大な疾患を招くわ」
「どんな?」
「あたしがイライラする」
「それは危険だな(主に俺が)」
「わかればいいのよ」
「ゴブ百二十七ロウ部隊が中央ルームに到着・・・交戦開始?」
「あら、あいつも中々やるじゃない。戦略的に中央の部屋が重要なのを見越して眷属を送り込んでおくなんて。でもね、あたしのゴブリン部隊はカスタムと装備で、召喚コスト12でランク2並の性能を持つから。戦争は数よね、兄貴」
「誰だよ。あと自慢の部隊が全滅したみたいだぞ」
「はあ?なにいってんの。相手に範囲魔法の使い手でもいなけりゃ全滅なんてするわけないじゃない」
「そうは言ってもなー。中央の部屋にこちらの部隊反応は無くなって、相手は3残ってる。逃げ戻ってくるゴブリンがいないとこを見ると全滅したとしか思えんが」
「部屋の様子はわからないの?」
「相手の占有ルーム扱いだからスキャンも詳細マップ表示もできない。ただ戦闘情報によれば、落とし穴でかなり戦力を殺がれたみたいだな」
「罠を使うとは卑怯ね」
「いやダンジョンマスターとして正しいだろう。有効なんだからお前も使えばどうだ?」
「罠は2割引きにならないから嫌よ」
「・・・はあ・・・ならゴブリンで磨り潰すか?」
「そうね、防衛用にコアルームの隣接部屋に3体ずつゴブリン・カスタムを追加して。あと角部屋に1体ずつゴブリンメイジをカスタムで召喚しましょう。技能付加はMP増強と火属性強化で」
「防衛力が足りないんじゃないのか?」
「大丈夫、見張り兼時間稼ぎだけ果たせればいいわ」
「了解、マスター」
「中央に戦力を集めたなら、両脇から突破すればいいのよ。ゆけ!ゴブリン部隊。蹂躙せよ!」
DPの推移 マリア陣営
初期値:1000 DP
召喚:ゴブリン・カスタム x18 -216
召喚:ゴブリンリーダー x3 -96
召喚:ゴブリン・カスタム x6 -72
召喚:ゴブリンメイジ・カスタムx2 -96
残り 520 DP
 




