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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第2章 女帝編
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契約事項はよくお読みになって

 「姫先生、質問があります!」

 「はい、生き物係のM君、なんでしょう?」

 「なんで僕が、いじっこの麻里亜と勝負しないといけないんですか?」

 「それには3つの理由がありますわ」

 3つもあるんだ。

 「一つには麻里亜さんがダダをこねているから、勝負させたほうが後腐れないから」

 最初から委員会の責任逃れだよ。

 「二つ目は、実戦形式でダンジョンバトルのレクチャーを済ませるチャンスだから」

 次は手抜きの言い訳ときたね。

 「最後に、私が降臨したのに何もしないで帰るのは許されないからですわ」

 「姫」のわがまま来たーー


 というわけで、現在、僕らは「姫」から短期集中ダンジョンバトル講座を受けているわけ。

 「ダンジョンバトルには大別して、モンスターウォーズ、ビルドバトル、クランストラテジーの3つの種目がありますわ」

 「モンスターウォーズというのは召喚できる眷属のタイプが制限されるやつですよね」

 「よくご存知で。これは仮想空間に用意されたバトルフィールドで陣取りをする形式で、対戦者の格差がつきにくいので公平な勝負によく使われますわ」

 なるほど、戦場がホームかアウェイかで戦い方がまったく違うだろうからね。


 「ビルドバトルはダンジョンの構築力を競うものです。同じDPで仮想空間にダンジョンを構築して、お互いの探索パーティーを送り込んで踏破を目指します。これはベテランの方々がじっくり楽しむ勝負方法ですわね」

 あ、これ僕はダメだ。拡張が仕えない以上、戦うまでもなく負けだね。


 「最後のクランストラテジーは、眷属全員を使った戦略戦争ですわ。相手のダンジョンコアを制圧した方が勝者となり、敗者は1つだけ何でも言うことをきかなくてはなりませんの」

 「何でもですか?」

 「ええ、過去にはそれでダンジョンの引越しを強要されたり、ダンジョンコアを交換させらりたりしたそうですわ」

 「そんなことも可能なんだ」

 「ですので、クランストラテジーはあまり頻繁には行われません。10年に1度ぐらいですわね」

 「じゃあ、僕には関係ないですね」

 「それがフラグでないことをお祈りいたしますわ」

 「ちょ、怖いこと言わないでくださいよ」


 「ですので今回のダンジョンバトルは、モンスターウォーズ。バトルフィールドは、そうですわね、初心者マスターもいることですし、ベーシックなナインスクェアにしようと思いますがよろしくて?」

 「あたしはそれでいいわよ。最初からそれで対戦申し込みするつもりだったし」

 マリアはやる気十分みたいだ。僕としても否はない。選択の余地がないしね。

 「それでいいですよ、「姫」が選んでくれたのなら僕らに不利になることはないでしょうから」


 「ちょっと、あんた今からジャッジに優等生ぶって点数稼ぎ?せこいわね」

 「いえいえ、右も左もわからない新入生を鴨ろうとする先輩ほどでは」

 「ふん、まあいいわ、モンスターの指定はゴブリン種全般でいいのよね」

 「僕はケモノでもいいですけど」

 「うちには獣はいないのよ、だからダメ。あと終わったらモフらせて・・・」

 どうやらマリアは眷属をゴブリンに絞って何らかのボーナスを得ているらしい。そのためにモフモフは飼いたくても飼えないようだ。

 「10分間で10DPです」

 「安!2時間予約しとくわね」

 しまった、もっとふっかければよかったか。モフモフの為に120DPもポンと出すとは。高額所得者恐るべし。


 「でわ、ゴブリンウォーズでよろしいですわね。それ以外の眷属はフィールド内に召喚しても強制排除されますから注意してくださいまし。その召喚で使用したDPは戻りませんので」

 「え?仮想空間に召喚するのにもDP使うの?」

 「もちろんですわ。バトルに使えるDPは最初に両者の取り決めで仮想バンクに移しておき、そこから消費してもらいます。こっそり自腹をきって不正できないように管理されてますの」

 まずい、まずいよ。残高いくらだったっけ。

 「まあ、初心者には痛い出費でしょうから、あたしも無理な高額レートはふっかけないわよ。ゴブリンウォーズの基本の1000DPで許してあげる」


 ひゅーーーー

 「なによあんた、まさか1000DP持ってないとか言い出さないわよね?」

 「「ふぃ」」

 「ちょっと、ダンジョンコアと一緒に横向いたけど、まさか・・・」

 「「ぷぃ」」

 「ふてくされても可愛くないわよ、いったい幾らなら払えるの?」

 「・・・400?・・・」

 「はあ?」

 「まあ」

 

 マリアと「姫」が驚きの声をあげた。

 「なにそれ、どんな貧乏生活送ってたわけ?」

 「まあまあ、よくそこまで貯めましたわね。さすがですわ」

 感想は真逆だったけどね。

 姫の言葉にマリアはドン引きしている。

 「あんたら・・・ハードモードって支度金半分とかなの?」

 「「100スタート」」

 僕と「姫」の声がハモる。

 「「ありえねーー」」

 マリアとボンさんの声もハモった。


 「あ、すまん、ついツッコミいれちまった」

 ボンさんからまで鋭いつっこみいただきました。

 「100って、あんた、コアルームから9m通路3方向に伸ばしてその先にそれぞれ9mx9mの部屋つくってゴブリン1匹配置したら終わりじゃない。なにそれ、新しい修行かなにか?」

 マリアからは怒涛のダメだしをいただきました。

 「いや、最初にコアルームに1500も使ってレアゴブリンをカスタムで呼び出したお前には、人のこととやかく言えないと思うがな」

 女帝は最初からゴブリン推しだったみたいだ。

 「あたしの黒歴史はどうでもいいのよ、それより委託金はどうするの?400とか半端なバトルは遠慮したいんだけど、さすがに」


 「それについては委員会の方から妥協案がでておりますわ」

 「姫」から救いの手がのばされた。

 「今回のバトルはレートを1000で行います。足りない分は委員会が立て替えておきますわ」

 「やったーー」「たぁー」

 「ただし、バトルに勝てば委託金も戻ってくるし、賞金としてレート分、つまり1000DPがもらえますが、負ければ全部借金ですわよ」

 つまり勝てばプラス1000だけど、負ければ600の借金生活なのか・・・

 「委員会からの借金に利息はつきますか?」

 「年利5%の複利計算ですわね」

 うわ、すごい現実的な数値なだけにガチで取り立てがきそう。600とか返済できる気がしないよ。


 

 だがしかし、ここで勝てば一気に目標の1000DPを突破できそうだ。どうせバトルからは逃げ出せそうもないし、チャレンジするしかないよね。


 「このバトル、受けてたちましょう!」 「ん!」


 「半分以上借金ですわね」


 「「ふぃ」」


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