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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第11章 湖底の棺編
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そう言えば居たよね

  凍結湖、コアルームにて


 宝物庫から無事にスクロールを持ち出したビビアンであったが、やはりその内容は理解できなかった。

 「やっぱり駄目ね、レベルが足りてないって事はないでしょうから、ソーサラーの呪文リストには存在しないみたい・・」


 『さては、ウィザードの系統の研究を怠りおったな・・』

 「しょうがないじゃない・・両方なんて冒険者しながらじゃ無理だったんだから・・」


 ビビアンは、自分が精霊呪文系統に偏っていて、アルカナ呪文系統を学ばなかったことを自覚していたので、言い訳は小さな声で呟かれた・・


 『18番が居れば、読めたかも知れぬのじゃが・・』

 「そうだ!ラムダならいけるかも」

 ビビアンが、フェアリードラゴンの前にスクロールを開いた。


 『いやいや、いくら妖精竜でも、スクロールは読み込めんじゃろ・・』

 そう言い掛けたオババの眼前で、ラムダは、逆立ちして宙に浮きながら、ビビアンが広げたスクロールにブレスを吐いた。


 ポッ  種火のような小さい炎ではあったが、瞬く間に、羊皮紙で出来たスクロールを燃やし尽くしてしまった。


 「『あっ!』」


 燃え残った両端を握り締めながら、ビビアンが呟いた。

 「古びてたから、風化したみたい・・」


 『そんな訳、あるかーー!』


 オババの絶叫が、コアルームに木霊した・・・

 『リペア・ゴーレム(ゴーレム修復)の呪文スクロールは、あれ一つしか無いのじゃぞ!』


 しかし、当事者のラムダは、一向に頓着せず、ふよふよとアーチャーとキャスターの側に飛んでいくと、くるくると空中に複雑な軌跡を描いた。

 すると、順々に二人の身体が修復されていくのが見えた。


 「ほらほら、ラムダがちゃんと呪文を覚えたわ!」

 「カタカタ(確かに、システムによってリペアされたのと同じ感覚があります)」

 「カタ(珍妙な生き物だと思ってたけど、やるじゃねえか)」

 ボーン・ガーディアンの二人も、耐久力が回復した事を実感したようだ。


 『むむむ、脅かしよって・・スクロールが読めるなら、普通に読めば良いじゃろうに・・』

 思わず叫んだのが恥ずかしかったのか、オババは恨めしそうに呟いた。


 「アタシは信じてたわよ、だってエトランジェのメンバーだもの」

 『風化したとか誤魔化したのは、どこの誰じゃったかのう・・』

 

 再び、家庭内抗争が勃発しそうになったとき、コアルームにアラームが鳴り響いた。


 『なんじゃ?新手か?』


 「地下水道、ゲストマーカーの中に所属不明が1体いるデス、そこから何かメッセージが届いたデス」

 『ふん、どうやらヴォジャノーイを説得したようじゃな・・吸収のDPは減るが、まあ良かろう・・』


 「所属不明がゲスト申請を受諾したみたい・・空気溜まりにはゲストしか居なくなったわね・・」

 そう報告したビビアンが、別な何かに気が付いた。


 「ちょっと待って、地下水道のあちこちで、反応が!凄い数よ!」

 『この警報は、そっちが原因じゃな』

 「20・・30・・もっと増えてく・・所属不明のマーカーは、集団を形成して移動中・・・合流予測地点は・・例の空気溜まり!」


 中型サイズのマーカーが、みっしりと重なるように集まって、地下水道を移動していた。合流して一つの巨大な円になったマーカーは、ゲストマーカーの集団と接触した・・


 その途端、コアルームにさらに切迫したアラームが鳴り響く。


 「所属不明マーカーが一斉に、敵対に変化!ゲストと戦闘に入ったみたい!」

 「総数は・・ざっと101匹デス」

 「それ、ざっとって言わないから・・」



 さらに青水晶の間にも変化があった。


 「こっちにもなんか、出た・・敵対マーカーが一つ増えたけど・・なにこれ大き過ぎない?・・」

 ビビアンが見つめるマップには、地底湖から浮かび上がってきたように出現した、巨大敵対マーカーが映っていた。


 『青水晶の湖に、あんな大物が沈んでおったか?!』

 「カタカタ(いえ、大型さえ居ませんでした)」

 「カタ(まさか、フロストワームじゃねえよな・・)」

 

 アーチャーの一言に、場が一瞬、凍りついたが、オババがそれを否定した。

 『有り得ん、フロストワームは死亡すれば爆散して死体は残らん・・』


 「デスが・・一寸の虫にも五分の魂デス・・全長15mのワームなら、立派な魂が・・」

 『それを核にして、新たなガーディアンを生み出したとでも言いたいのか!』

 「ワタシの思い違いなら良いのデスが・・」



 オババが、青水晶の間の映像を映そうとしたとき、さらにアラームが鳴り響いた。


 『今度はなんじゃ?!』


 「さらに敵性マーカーが出現!場所は・・・嘘でしょ・・」

 『ビビアン、どこに出たと言うんじゃ!』

 「出現場所は・・宝物庫の中・・」

 『なんじゃと!』


 全員が一斉に閉ざされた宝物庫の扉を見た。


 堅牢な金属製の両扉が、ゆっくりと中から押し広げられていた・・そして・・・


 中から、翡翠の仮面を被った、小人が現れた。


 「フウッハッハッハッー! ノームの~、機械工学は~、世界一いいぃぃ!!」



 そこには、仮面に意識を乗っ取られた、ノーム・アーチザンの姿があった・・・




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