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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第2章 女帝編
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一手ご指南頂きたい

 コアルームで寛いでいたら、ワタリが息せき切って駆け込んできた。

 「一大事っす」

 「どうかした?」

 「水飲み場がウナギに占領されてるっす」

 あれ?皆に伝えてなかったっけ?

 「ミコトは新しいメンバーだよ、水棲だから淵に住んでもらったんだけど」

 「近寄ったら水かけられたっす」

 ああ、湖から釣り上げたのはワタリだったから、せめてもの仕返しなんだね。

 「嫌われてるのはワタリだけだから問題ないよ」

 「差別っす、断固抗議っす」

 「ワタリはコマンドなんだから隠れて近づけば良いんだよ」

 「おお、なるほどっす。ウナギごときに遅れはとらないっすよ」

 「がんばってー」 「らぁ」

 ・・・・

  バリバリバリッ  「アンギャーーー」

 「ばれたか」「ん」


 今度はアズサが駆け込んできた。

 「ギャギャギャ(大変です)」 「ん?」

 「どうかした?」

 「ギャギャッギュギャ(道場破りが来ました)」

 「「はぁ?」」


 急いでトンネル側の出口に行くと、そこには旅装をした2人の人物が立っていた。前に立つ人間の女性が

大声で呼ばわっている。

 「たのもー」

 なるほど、道場破りだ。

 「当家になんの御用ですかな?」

 「これは失礼、あたしは生国を発するに生まれはお江戸でござる」

 「いやそれ渡世人の挨拶だから」

 道場破りなんだか、一宿一飯の恩義なんだかはっきりして欲しい。

 「のりが悪いわね、そこは「姉さんが日本橋界隈で有名な」ぐらい付き合いなさいよ」

 どうやらこの人は、ボケとノリツッコミは最後までやらないと気がすまない性格らしい。

 はっきりいって面倒なタイプだ。


 「で、本当にどんな用件です?」

 「あたしの下僕がここにいるでしょ?」

 「下僕?ああ、ワタリですね」

 「ゴブクロウって名前だったはずだけど、下僕でわかるの?」

 「もちろん、うちで下僕っていえばワタリしかいませんから」

 「なんか不憫な扱いうけてるみたいだし、返してもらうわよ」

 「それはできません」

 「どうして?元はあたしのものよ」

 「生まれはどうあれ、一度はぐれとなって、うちの眷属になったんですから、お返しする理由がありません」

 「スノーゴブリン1体の為に、あたしと敵対するつもり?」

 「彼の土下座はうちには必要ですから」

 「・・・土下座だけ?」

 「あとはオマケですかね」

     「しくしく」

 「なんか遠くで忍び泣きが聞こえるけど、まあいいわ。そこまで言うなら勝負しましょう」

 「と言いますと?」

 「ダンジョンマスター同士の争いは、ダンジョンバトルで解決するに決まってるでしょ!」


 「なんです?それ」

 「え?知らないの?」

 「はい」

 「あなたダンジョンマスターよね?」

 「一応そのつもりですけど」

 「チュートリアルでレクチャーされなかったの?」

 「コア、された?」「んん」

 「変ね、そんな例外あるのかしら」

 「ああ、まあ、僕らの場合はかなり特殊ではあると思いますけど」

 こちらの話は聞かずに、謎の女性マスターは指輪に向かって話しかけていた。

 「ボン、ダンジョンバトル委員会にレフリーとルール解説役の派遣を依頼して。初心者マスターがレクチャーすっ飛ばされたみたい。うん、そう。うまくいけば委員会から口止め料もらえるかも」


 なんか腹黒い相談してるね。彼女のダンジョンコアはボンって呼ばれてるのか。あの指輪は遠隔操作できる魔道具なのかな?離れていてもコアに連絡できるのはすごい便利だよね。

 後ろの護衛の戦士も強そうだ。背中に装備しているのは日本刀かも。あるんだ日本刀、たぶん技能:剣だと十分には仕えないよね。


 立ち話もなんなんで、コアルームに招待することにした。ゲスト認定することで、敵対者扱いにはならないかわりに、ゲストも敵対行動が自衛目的だけに制限されるらしい。

 「へえ、なかなか凝ってるわね、手掘りの偽装をして亜人の住処と思わせて油断させる作戦ね」

 「・・・いえ、手掘りです・・・」

 「へ?拡張使ってないの?DPの節約なんて考えるほど効率良くないわよ?」

 「拡張ないんです・・・」

 「またまたー、拡張・設置・変換・管理は初期装備なのは常識よ」

 「ぐ」

 「マジで?」

 「まじです」

 「はー、そんな縛りで始める人もいるんだー」

 「くっ」

 こうやって他のマスターに話を聞かされると、貧富の差をまざまざと感じさせられるよね。


 扉を二つ潜ってコアルームに到着した。

 「えっ?もうコアルーム?しかもバックドア開けっ放しで、地面のまま!」

 「ぐぐぐ」

 「あーー、うん、なんというか」

 「なんでしょう?」

 「プリミティブ?」

 「げはぁ」

 僕は心に100ダメージを受けた・・・


 地面に座ってもらうのもなんなので、変換で木の床をだして、狼の毛皮を座布団代わりに敷いた。

 「こういうのも剣客みたいで良いわね」

 「御意」

 旅装をといた2人は何故か新撰組と鎧武者の格好をしていた。まあ昨今は義士も女体化されることが多いので、女性が着ていても浅葱の羽織りは違和感が少ない。鎧武者もゴブリンが着ているという事実にさえ目をつぶれば、体格的には似合っているといえるだろう。

 ゴブリンだよね、あれ。

 威圧感が半端ないんですけどランク幾つなんだろう。スキャンしちゃダメかな。

 「め」  ダメらしい。

 背中からはずして手元の床に置いた刀も業物に見えるし、着ている鎧も風格というか妖気というか怨念を漂わせている。

 これはあれだね。戦ったらダメなタイプだ。怒らせないようにしよう。そうしよう。


 「そちらはゴブリン・ソードマスターですか?」

 ダンジョン知識でそれらしいクラスを引っ張り出して聞いてみた。

 「ゴブシロウは侍マスターよ。ソードマスターから侍にジョブチェンジして、さらに一段階ランクアップしてるわ」

 おいおい、ゴブリンソードマスターでさえ、ゴブリンソードマンからの派生なのに、さらに2段階アップだよ。ランク5ってこと?

 「ゴブシロウはオリエンタル・ゴブリンだから、侍ジョブも取り易かったわね」

 元がランク2以上ありそうだからランク6越えてるよ・・・


 「あなたの主力はスノーゴブリンみたいね」

 「ええ、そうですね」

 彼女の目がキラリと光った気がした。

 「丁度いいわ。どちらがゴブリンマスターに相応しいか、勝負しましょう!」

 いえ、僕はゴブリンマスターという称号は欲しくないんですけど・・・聞いてないですよね。

 「バトルタイプはゴブリンウォーズ、バトルフィールドは・・・」


 「お待ちなさいな」


 突然、第三者の声がコアルームに響いた。

 「誰?」

 僕はなんとなく声から想像できたけど、ここはお約束を守らないとね。


 「ダンジョンバトル委員会の許可無く私闘を始めることは禁じられていましてよ」


 「あんた誰よ?」

 ゴブリン推しの彼女はわからないらしい。このタイミングで登場するなら、あの人しかいないのに。


 「私はコードネーム「姫」、今回のダンジョンバトルのジャッジメントですわ」


 


 


DPの推移

現在値:412 DP

設置:木の床 -5

残り 407 DP

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