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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第11章 湖底の棺編
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幾つになっても心は

昨晩に投稿する予定が、夜が明けてしまいました。

本日分も夜にずれ込む予定です。

 時は少し巻き戻る・・


 凍結湖調査班・地上部隊に押しかけ参加したビビアンとシーカーのメンバーは、他の調査班の眷属達と一緒に、進路を少し南西にずらしていた。


 「こっちに何が有るって言うんだい?ブヒィ」

 先頭を行くビビアンに、熊のハルに跨った、アイスオークのチョヒが尋ねた。


 「凍結湖の湖底とは別の出入り口が有ったのを思い出したのよ。このメンバーだと水中戦は厳しいでしょ」

 ハスキーの召喚した乗用馬に揺られながら、ビビアンが応えた。もちろん、騎手はハスキーである。

 ドワーフに依頼したというアクセサリーが完成していれば、強硬策も考慮したのだが、現状では水温が一桁の凍結湖に潜って、洞窟へ潜入するのは至難であった。


 「アンタがなんでそんな事を知っているのかは聞かないけど、今でもちゃんと入れるんだろうね?ブヒィ」

 次女のキョチョが質問を継いだ。ちなみに彼女の乗っている熊はアキである。


 「そんなの行ってみないと分からないわよ・・もう4年も前だし・・」

 オババのダンジョンを追い出されるように出てから、既に4年の年月が流れていた。その間に変わってしまった事など、沢山あるに違いなかった。

 ビビアンは、昔の事を思い出して、少し元気が無くなった。


 「大丈夫だ・・その祠は見た覚えがある。今でも壊されずに残っているということは、使われている証拠だ・・」

 手綱を握りながら、ハスキーが、背中のビビアンを励ました。


 「うん・・」

 ビビアンは、ハスキーの広い背中にそっと頬を寄せて頷いた。


 それを見たアイスオーク姉妹がやさぐれた。

 「おいおい、見せ付けてくれるじゃねえかブヒィ」

 「義姉さんは、この時期になると機嫌が悪くなるんだ、特にイチャイチャしてる二人組が近くに居ると、手がつけられなくなるんだぜブヒィ」

 「ああ、独り身には辛い季節になってきたさね」


 既に秋も半ばを過ぎ、急速に冷え込んで来ていた。ツンドラ気候のこの地域では、あっという間に冬になってしまう・・

 厳しい冬を過ごす為に、人々は食料を蓄え、薪を集め、毛皮で壁の隙間を塞いでいく。暖かな家で帰宅を待っていてくれる相手が居ない者には、物悲しい季節が近づいていた。


 あと、ソニアが何故かアイスオーク姉妹の中に混ざっていたが、誰も違和感を持たなかった。

 並外れた巨躯と、背中に担いだ戦斧で、同類に思われたらしい。

 跨っているのは熊ではなく、召喚馬なのであるが・・

 


 やがて調査班は、ビビアンの言っていた祠に到着したが、既にそこは何者かによって暴かれた後であった。

 警戒態勢を取るとともに、レンジャーの2名が痕跡を調べる・・


 「・・破壊ではなく、擬装を剥がして、罠を解除し、慎重に隠し扉を開いているな・・」

 「それにしては、周囲に残っている足跡は、隠そうともしていないですね・・多すぎて識別仕切れませんが、狼系が4・5頭、2足歩行獣が4・5頭、後はブーツですね・・」

 ハスキーとモフモフスキーが、それぞれの探索結果をすり合わせていた。


 「ほぼ間違いなく、例の人狼傭兵団だな・・」

 「あの時、燃やしておけば良かった・・」

 ビビアンが、色々思い出して、闘志を漲らせていた。


 

 「さて、どうする?・・」

 ハスキーの問いに、ビビアンが答えた。

 「もちろん、追うわ!」


 「とはいえ、我々はこの先は入れそうにないのだが・・」

 エルフの小隊長が、困ったように申し出た。

 地下水路部隊の報告で、オババのダンジョンへのアクセスは、ダンジョンバトルの規定によりペナルティが課せられる可能性があるという。すでにイエローカードが1枚出されている状況で、迂闊な行動はとれなかった。


 「そうね・・なら二手に分かれましょう。そっちの眷属は凍結湖へ、私達はこのまま、ここから入るから」

 ビビアンの提案に、ヘラが難色を示した。

 「4人だけでは、危ないでしゅ」


 確かに、この先には16体の人狼が待ち受けている可能性があった。

 「なら、そっちの精霊を貸してよ、眷属化はしてないんでしょ?」

 ビビアンは、ヘラの側に集まっていた不思議な集団を指差して言った・・



 「で、なんでアンタまでついてくるわけ?」

 ユニコーンに跨ったビビアンの背中に、黒い大鎌を背負った、見習い死神のデスの姿があった。


 「私も精霊デスよ、眷属化もされてないデス」

 「呼んでないんだけど」

 「私は呼ばれているのデス・・」

 このポンコツ死神の所為で、過去の黒歴史を暴かれたビビアンは、あからさまに嫌そうな顔をしたが、デスはどこ吹く風で、ついてきた。


 ユニコーンのニコは、当初はヘラから離れることを嫌がっていたが、その本人に説得されてビビアンを乗せる事に同意した。

 ハーフエルフであるビビアンは、精霊との親和性が高いらしく、思いの外、ニコが素直に従ってくれた。


 「アタシには近づこうともしないさね・・」

 ソニアがため息をつくが、それを聞いたスタッチが黙っているわけがなかった。


 「おいおい、歳を考えろよ、だいたいその図体で乗ったら潰れちまうだろうが」

 「わかっちゃいるけど、他人に面と向かっていわれると、腹が立つさね」

 ツッコミを予期していた様な速さで、ソニアのアイアンクローが、スタッチのこめかみに決まった。


 「イタダダダッッ!」

 かなり本気で痛がっているスタッチだったが、それを助けようとする者はいなかった・・

 

 フェアリードラゴンのラムダは、我関せずと空中を舞っているだけであった・・

 

 『・・$・&・@・・』


 





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