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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第11章 湖底の棺編
423/478

霊は光を嫌います、部屋を暗くして下さい

投稿が遅くなりました。申し訳ございません。

  コアルーム(災害対策本部および凍結湖平和維持部隊司令部)にて


 「コア、コールセンターもしくはバトル委員会からの連絡は?」

 『まだ・・』

 「仕方ないから、こっちから掛けてみて」

 『らじゃー』


 地下水路の方は、完全に膠着状態になってしまった。迂回路も無い事はないが、かなり遠回りになるらしく、しかも凍結湖を大きく迂回するルートになるそうだ。

 今回の騒動の原因が、凍結湖の地下にあるならば、そこを避けても意味が無い・・


 オババに連絡をつけて、ゲスト認定してもらうのが一番早い解決方法なのだが、残念ながら直通のホットラインなど存在していない。

 コールセンターの通話転送かバトル委員会の仲裁に頼るしかないのだが、それが繋がらない・・


 まあ、顔見知り程度のご近所さんに、居留守を使われているぐらいの呼び出しだと優先順位が低いのかも知れないけれど・・

 コールセンターの通話料は、ダンジョンクレジット(DC)で賄えるので、その点は安心だ。もし高額の請求書が送られてきたら、オババへのツケにしておこう。

 『めもめも』


 待ち時間が惜しいので、その間に他の部隊の状況を調べてみた。


 『しーきゅーしーきゅー』

 『ギャギャ(こちら第一機動部隊)』

 「こちら対策本部、状況は?」

 『ギャギャ(要人は送り届けました。ただ、不気味な連中が周辺を行軍していまして・・)』


 アップルリーダーの報告に寄れば、クリプト・ガーディアンと思われる軍勢が、勢力を拡大しつつ凍結湖方面に向かっているらしい。これもどうやら関わってきそうだ・・


 「ミイラの呪いに感染してない?」

 『ギャギャ(我々は大丈夫です。ただリュウジャ殿のクランで負傷者が出て、2人が治療中だそうです)』

 

 リュウジャが不在の間に、周辺のパトロールを強化したところ、偵察部隊がクリプト・ガーディアンと思しき一団と遭遇し、戦闘になったらしい。

 はぐれのアンデッドだと思って攻撃すると、続々と後続が出現して、撤退する羽目になったという。

 クランの治療術師の診立てでも、ミイラの呪いに感染していたようなので、謎の集団が、墓場の守護者であることが確認できた。


 『ギャギャ(ただし、どこからやって来て、何を目指しているのかは、未だに謎です)』

 「たぶん、目的地は凍結湖の地下だろうね・・」

 『ギャギャ(我々は本部に戻ればよろしいですか?)』

 「いや、せっかくだから、東側から凍結湖周辺を偵察して。無理のない程度でいいから」

 『ギャギャ(了解しました)』


 第一機動部隊の機動力なら、動きの遅いミイラに補足される事はないと思う。全体でどれくらいの数がいるのか、そして指揮官は何者なのかが分かれば対策が立てやすいからね。


 

 「次は、地上部隊に繋げて」

 『もしもし』

 『こちら地上部隊、マスター良いところで・・・』


 地上部隊は予定より手前に居た。

 途中で羊を連れたビビアン達に合流したらしい。そしてビビアンから凍結湖の調査に同行を申し込まれて困っているという・・


 「ビビアンは、オババの関係者なんだっけ?」

 僕は横に控えていた、幽霊メイドのエルマに尋ねた。


 『はい、ダンジョンの入口に置き去りにされていた所を、保護致しました』

 「捨て子だったんだ・・」

 『不明です。保護した状況からは、不法投棄と緊急避難の区別がつきませんでした』

 親が育てきれずに捨てたのか、何かから逃れるために洞窟に隠して、戻って来ることが出来なくなったのか、分からないって事だよね・・


 「オババは良く育てる気になったよね?」

 あの性格だと、乳児の夜泣きとか我慢しないで、追い出す様な気がするんだけど・・


 『オババ様は、親が引取りにくると思っていたようです。それまで預かるのだと・・』

 結局、親は姿を見せず、一人で生きていく術を身につけたビビアンを、追い出すように送り出したという・・


 「ビビアン一人ぐらいなら、ダンジョンで生活させられたと思うんだけど・・」

 『オババ様は、途中から、一人前になったら外の世界へ送り出すと仰っていました』


 『この娘は日陰で暮らす必要はない・・』

 そうメイド達には洩らしていたそうだ。眷属として生きるよりも、人やエルフに混じって暮らすべきだと・・


 『ご主人様、ビビアンなら、オババ様のダンジョンにも詳しく、案内人として適していると思われます』

 そうだね・・クリプト・ガーディアンの軍勢以外にも、人狼の傭兵団まで動いているとなると、組織的な侵略が予想される・・

 凍結湖の地下には、他の勢力より早く着きたいからね・・


 僕が許可を与えると、エルマは、何やら宙に向かってブツブツと呟き始めた。どうやら現地にいる死神見習いのデスに、言霊を送っているらしい。

 その答えは、チャネリング(交霊術)として返ってきた。


 デスのスキルによって、現地に具現化したエルマは、無事にビビアンへ言葉を伝える事が出来たようだ・・


 その間に、地上部隊の隊長と遠話で、打ち合わせを済ませておく。

 「羊と山羊はこちらに送って・・そう、人選は任せるから・・え?自分も立候補したい?・・それはダメだよ、指揮官が居なくなるし、部隊全体の戦闘力が、それで低下するから・・」

 

 なおも粘る小隊長を、羊の最初の毛刈りの時に、優先権を約束することで、なんとか納得してもらった。

 モフラーは業が深いね・・


 『まふらー?』


 手編みだと、愛が重いね・・




 




 

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