木枯らしが骨身に染みる
第1・5階層、穴熊の穴倉にて
地上部分と繋がった第1階層と、地下墓地の第2階層の中間に、元は穴熊の巣であった第1・5階層が広がっている。ただしその広さは、すでに面積で4倍以上に拡大されていた。
「キュキュ」
ディープエキドナ・アースガーディアン「オオエド」「トウザイ」「ヒビヤ」:深淵の針土竜 大地の守護者
種族:魔獣 召喚ランク6 召喚コスト360
HP42 MP18 攻撃12 防御8
技能:掘削、嗅覚、射撃、警戒、警報、現場監督Sp(空間把握)、支援New
特技:アースソナー、シューティングスパイク
備考:現場監督は「オオエド」の特殊技能。他の2匹は空間把握
支援は対象の防御又は回避の成功率を上昇させる技能
「ギュギュ」
ジャイアント・ツンドラバジャーR6の3頭は変化なし。残りの4頭がR5からR6へ上昇。
最初の住人である穴熊一家と、早期に引っ越してきたハリモグラチームは、その中心区画に居を構えていた。住人の成長というか巨大化により、拡張を続けた結果、今では25マス部屋と9マス部屋が並んだ大きさになっている。
もちろん部屋の拡張にあたっては、親方が監督して、匠二人の空間把握を駆使しているので、上部の岩盤から地下水が溢れて、地上部分が陥没するような事は起きなかった。
穴熊一家の塒には、以前のご褒美でもらった、部屋一杯の寝藁が敷き詰めてあるので、他の獣達もよくお泊りに来る。
そして、それに釣られてモフラーも集まってくるのであった。
眠っていたはずの冬狼のケンの耳がぴっくと動き、首だけ持ち上げて辺りを見回した。
「バウバウ」
ウィンターウルフ・スノーデスパイア:冬狼 雪原の絶望
種族:魔獣 召喚ランク7 召喚コスト490
HP56 MP21 攻撃22 防御7
技能:噛み付き、追跡、嗅覚、冷気無効、同族支配、威嚇、危険回避New
特技:スクリュードライバー、コールドブレス2、アイオブデスパイア(絶望の魔眼)New
備考:危険回避は、突発的な危険を察知して致命的な被害を避ける技能
絶望の魔眼 使用MP4 10m以内の一体を対象にして恐怖で呪縛する。対象とのランク差によって成功率が上下する。
他の狼たちも、耳だけを動かして様子を伺っている。
シャドウウルフ・ダークストライダー「チョビ」「リュウ」「ガイル」:影狼 闇を翔ける者
種族:魔獣 召喚ランク7 召喚コスト490
HP56 MP23 攻撃21 防御7
技能:追跡、嗅覚、隠密、奇襲、クリティカル、暗視、弱点看破New
特技:トラッピング、シャドウメルト、シャドウステップ(影渡り)New
備考:影渡り 使用MP4 10m以内の影から影に瞬間移動出来る。
「チュンリー」はR4からウィンターウルフR5へランクアップ。
ケンの傍で寝そべっていたテオが、優しく話しかける。
「ああ、マスターが何か言っていたね。でも直接的な指示ではなさそうだよ」
「バウ」
長距離の遠征を終えて、身体を休めていたケン達は、再び眠りについた。
それを抱え込みながら、眠りの邪魔をしないようにブラッシングをする親衛隊の面々がいた。
「この時間が、なによりのご褒美だよな・・」
穏やかな時が流れていった・・・
ツンドラエルフ・フォレストガーディアン「テオ」:凍土樹人 森林警備官
種族:亜人 召喚ランク7 召喚コスト490
HP44 MP28 攻撃8(+10ディフェンダー) 防御8(+4硬革鎧改)
技能:冷気耐性、弓、剣、隠密、追跡、ハリネズミ語Sp、罠探知、罠解除、警戒、受けNew
特技:シャープシュート、ドルイド呪文(Lv4)
ツンドラエルフ・ウィンドコーラー「アール」:凍土樹人 風を呼び覚ます者
種族:亜人 召喚ランク7 召喚コスト490
HP28 MP35 攻撃6(+4短杖改) 防御5(+2ローブ改)
技能:冷気耐性、杖、詠唱、魔法知識、高速詠唱New
特技:精霊呪文Lv7(風属性)、Lv4(光属性)
小隊長と神官はR7を維持。レンジャー二人は揃って、ハイレンジャーR6にランクアップ。
最北湖にて
オークの丘から北へ60km、最北湖は、細い地下水路で繋がれた飛び地の領域であった。
三日月湖ぐらいの距離であれば、増援も期待できるが、ここまで離れていると、本拠地から纏まった兵力を派遣してもらうのは難しい。転送ではコストが掛り過ぎるし、移動すると水路を直行しても8時間はかかる。
現地で召喚してもらうのが現実的ではあるが、これも転送以上にコストが掛かるし、召喚した部隊の維持費も嵩んで行く。
つまり今ある戦力だけで、なんとかするのが、指揮官の役目なのである。
「そうは言っても、この広い湖を、スケルトン部隊だけでなんとかするのは無理ではないだろうか・・」
珍しくロザリオが弱音を吐いていた。
それもその筈で、入口が固定されていて、中も通路と扉で区切られているダンジョンとは違い、湖はどこからでも入れるし、出ていける。予備兵力を隠しておく場所もない。
今も、ヘラジカが水を飲みに来て、悠然と立ち去っていった。
近くに、白骨死体に扮した骸骨戦士が沈んでいれば、奇襲をかける所だが、30m以内に伏兵はいない・・
三日月湖に接続する地下水路の見張りに張り付かせていた、監視用のスケルトンまで総動員して、湖に警戒網を張ったが、どうにも手が足りなくて、首筋辺りが薄ら寒い・・
「普段がどれだけ守り易かったか、今更ながら身に染みるな・・」
オークの丘であれば、進入路は限定できるし、どの階層にも戦力が詰めていた。ロザリオの担当であった、地下墓地の奥の部屋に来るまでに、敵の規模も戦力も、大体は把握できているのが、常だったのだ。
それが、ここでは通用しない。
「戦略的に意味が無くなれば、撤退を進言するに、吝かではないな・・」
守りきれない領地は、足枷にしかならない。
この場所を長期的に維持するのは難しいと、ロザリオは判断していた。
「見たところ、保存していた黒蜘蛛どもの死骸も、コア殿が吸収したようであるし、残りはあのデカブツだけだな・・」
ロザリオの視線は、湖底に沈む巨大な水竜の白骨死体を睨んでいた。
エターナルガーディアン・ポーラスター:北極星の永遠の守護者
種族:インモータル(不死者) 召喚ランク8 召喚コスト640
HP64 MP48 攻撃10(+9ミスリルソード修復済) 防御10(+8ミスリルチェイン改)
技能:剣、弓、盾、受け、回避、挑発、不死属性(中)、刺突半減、騎乗、魔法耐性New
特技:ガーディアンシールド、精霊呪文Lv4(風属性)、エレメンタルソード(光属性)
その死体の周辺では、スケルトン・ウォーリアーの二人が、部下を引き連れて警備していた。
「カタカタ(これは何故ここに放置してあるんだ?)」
「カタカタ(なんでも冒険者用の餌にするらしいぞ)」
「カタカタカタ(なるほどな・・ボーン・サーペントの素材なら、目の色変えてやってくるだろうな)」
「カタカタ(ギルドが危険区域に認定するまでに、荒稼ぎするつもりらしい)」
「カタカタ(そう上手く行くのかね・・)」
「カタカタ(さあなあ、俺らは上の命令に従うだけだ)」
「カタ(それもそうか)」
スケルトン・ベテランウォーリアー「ドクロ」「ズガイ」「スカル」:骸骨古参戦士長
種族:アンデッド(死霊) 召喚ランク7 召喚コスト490
HP35 MP10 攻撃8(+8黒鋼ロングソード) 防御8(+7黒鋼の胸当て改)
技能:剣、盾、受け、回避、弓、部隊指揮、死霊属性(中)、闇親和、火炎脆弱、刺突半減、挑発New
特技:アニメイトデッド、
この湖でボーンサーペントが討伐されたという噂が、街に広がるまで、もう少し時間が掛かる。それまでは退屈な警備を続けるしかなかった・・・
「カタカタ(そう言えばスカルはどうしたんだ?)」
「カタカタ(ああ、奴なら左腕の修復の為に、本部に戻っているはずだ)」
「カタカタ(闇属性の癒し手が見つかったのか?!)」
「カタカタ(ああ、まあそうだな・・あれを癒し手と言っていいのかどうか・・)」
その頃の地下墓地では・・・
「ふーん、別に君に闇魔法を使うのは構わないデスよ」
「カタカタ(ならば、この腕を直して欲しい)」
「デスが、もう妄執を捨てて、冥府に行くという手もあるデスよ」
「カタカタカタ(・・いや、まだ俺はここでやるべき事がある)」
「そうデスか、それは残念デス。でももし心変わりしたら、真っ先に知らせて欲しいデス」
「カタ(それは、まあ、いいが・・)」
「約束デスよ、信じてますから。絶対に勝手に死んだり、ライバルに鞍替えしたら嫌デスからね」
「カタカタ(どれだけ必死なんだよ・・・)」




