表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第10章 ドワーフキャラバン編
387/478

後半のゲストはこの方です

 『えいぎょうちゅう』


 お昼が終わって、再びコアルームでダンジョンの再点検に取り掛かるとする。

 親方は満腹になって、お昼寝モードなので、解説はお休みです。

 さらにアイアン爺さんが所用で来れないので、代わりにおギンさんに参加してもらいます。


 「アイアンの爺さんが、『お前も、少し裏の顔を見てきた方が良いぞ。認識が変わる』とか言って、お役目を押し付けてきたんだが、お前さん方、いったい何を奴に吹き込んだんだい?」

 やだなあ、別に大したことじゃないですよ・・このダンジョンの過去を少し披露しただけですよ・・

 『ぎるてぃ』


 さらにアシスタントのカジャが、後輩にも経験を積ませて欲しいと、新入生のエルマと交代しました。

 『メイド長の代わりが務まるとも思えませんが、できるだけ頑張りますので、よろしくお願いします』



 さて、ダンジョンの第2階層は、オークの豚男爵が、個人の趣味で作った地下の館跡を占有して改造した、区画です。

 なので地上部への出口は、階段を登った先の一つだけで、第1階層とは独立した構造になっています。


 「この丘は、古代オーク帝国の貴族の地下墓地だと聞いておったが、違ったのかい?」

 まあ、その下っ端が、邪神を信仰して造った悪趣味な別荘かな・・

 「また、えらく訳有りの物件だねえ・・」

 『それにしては、他の亡者の声が聞えませんが?』


 ああ、それは多分、オーク男爵の呪いを解除したときに、一掃されたのと、その後の大量召喚で、遺骨が全部、外に呼び出されたからだと思うよ。

 『なるほど、理解いたしました』


 階段の途中に拡張した横道の先には、癒しの泉と癒しのハーブ畑、それに罠として安眠の花畑が広がっている洞窟がある。さらに階段を下れば、石造りの地下墓地風な建造物に変わっていくよ。


 「ふむ、隠し砦の類だから、地下深くに造ったんだろうね・・もしくは地上付近に建ててから、盛り土をしたのか・・」

 この丘全体を、建物を隠すのに盛ったり出来るのかな?


 「古代オーク帝国の技術もしくは魔法なら可能だろうね。自然に存在した丘を掘り抜いて、これだけの規模の地下構造物を造るよりは楽かも知れないよ・・」

 なるほどね、僕らはてっきり地下を掘り進めていたら、水牢になっている地下空洞を見つけたから、利用したんだと思い込んでいたけれど、最初から地下水牢にするつもりで、建てた可能性もあるのか・・


 まあ、今更、豚男爵に当時の工法を聞くわけにもいかないし、有効活用させてもらうだけなんだけどね。

 『掃除の遣り甲斐があります』



 第2階層は、この豚男爵の遺産が殆どを占めていて、その下に第3階層となる、地下水路群がある。

 これは、地下水牢と、それから延びる地下水路、さらにその奥の水霊の洞窟(旧ルカの洞窟)を一纏めに呼んでいる。

 水霊の洞窟には、精霊の泉(水)と転送魔法陣(第1階層との往復)、第4階層への隠し扉が設置してある。

 水牢は、主に水棲眷属の塒で、凍結雷電ウナギチームや、アイスドレイクチームが回遊している。水底には紅鮭養殖用の、漁礁もあったりする。

 『新鮮な素材が手に入るので、素晴しいです』

 「ダンジョン内で、鮭を育てているのかい・・」


 地下水路の反対側は、かなり南の先まで延びていて、三日月湖の近い地底湖に繋がっている。そこが、フロストリザードマン達の居住区だね。居住区を上から俯瞰すると、魚の骨に見えるから、通称は「フィッシュボーン」。直線距離で3kmぐらい離れているけど、ダンジョンの領域だよ。


 「飛び地があるとは聞いていたけれど、また、えらく離れた場所まで繋げたもんだね・・それと三日月湖っていったら、タングステンとモリブデンが移住する予定の場所じゃなかったのかい?」

 そうだね、そのすぐ側、正確には対岸に繋がってるよ。


 「・・なんか、二つに分かれたキャラバンへ、今生の別れみたいに手を振ったのが馬鹿みたいじゃないか・・」

 うーん、移住者を受け入れる場所が無かったらしくって、あんなに近くに来るとは僕も思っていなかったんだよね・・


 「まあいいさ、これで向こうに行った仕事仲間にも、会えるってわかったからね」

 あ、個人的な用件で転送は無理だから、行くならリザードマンの誰かに先導してもらって、水路を使うことになるかな。

 「そりゃあ、元の同僚の顔を見に行くぐらいで、旦那に手間は取らせないけれど、アタシは泳げないんだよね・・どうしたものか・・」

 

 水の精霊のルカが、大抵は水霊の洞窟で、ふらふらしているから、彼女に頼んで水中呼吸の呪文を掛けてもらうと良いよ。移動は水棲眷属の誰かに牽引してもらえば良いし。

 「そうしてもらえると助かるよ。なにせドワーフの連中は揃いも揃って金槌だからねえ」

 『ぶくぶく』



 水霊の洞窟の隠し扉から階段を下れば、そこが新設の第4階層になる。コアルームもこのエリアに移設した。

 『ふへへ♪』

 コアがまた、ソファに頬ずりし始めた。まあ、今日はゲストにも座ってもらっているから役には立っているけどね・・


 「アタシもダンジョンマスターの私室には入った事がないから、何とも言えないけど、これが普通なのかい?」

 簡素な石造りの小部屋に、場違いなアンティーク家具が詰め込んであるコアルームを見渡して、おギンさんが尋ねた。


 『こちらは一般的なコアルームではないと存じます』

 ああ、エルマはオババのダンジョンも知ってるわけだし、詳しいかもね。


 『通常はもっと広く、コアルームの中もしくは、すぐ外にランクの高い護衛が配備されております。お世話をする者達が、常時、複数は詰めておりますし、セキュリティーももっと厳重かと・・』

 ああ、うん、まあ、そうかもね・・それが普通かな・・


 「ほう、ここの旦那は、えらく質素なんだねえ、それとも家具道楽なのかな?」

 質素ではなく貧乏性なんです。あと、道楽はコアですね・・

 『てへっ♪』


 「まあ、アタシらは、立派な居住区と仕事場をもらったから文句もないけどさ。少しは自分の為に贅沢しても罰は当たらないよ」

 前向きに検討いたします・・


 『きゅぴーん』

 コアはしばらく節約ね。

 『しょぼーん』


 『家具のお手入れはお任せください』

 『おおぉぉ』



 そこへ突然、マンガン探検隊から連絡が入った。

 『で、で、でたぁぁ!』

 

 「また幽霊?それとも死神?」

 『違う、違う、温泉だよ!』


 「なんだってーー」


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ