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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第10章 ドワーフキャラバン編
386/478

耐震構造の見直しではない

投稿が遅くなりました。申し訳ございませんでした。

 ゴブリン長屋の設置に着手する前に、現状のダンジョンの構造のお浚いをしておこう。

 ちなみに解説は、土木建築のエキスパートであり、このダンジョンの設計にも関わってきた、ハリモグラのオオエド親方と、

 「キュキュ」

 新規移住者代表として、ドワーフのアイアン爺さん、

 「なんか呼ばれたが、ワシでいいのか?」

 そしてアシスタントのカジャ、

 「精一杯務めさせていただきます」

 でお届けします。

 『こあもー』


 早速だけど、第1層となる地上部分は、オークの丘を刳り抜いた形で広がる、農場と家畜小屋、養蜂部屋、農具置き場などから成っているんだ。

 丘の上部を切り崩していたら、中から遺跡が出てきたので、慌てて作業を中止した様な格好をしていて、7割がたの部屋は天井が無くなっている状態です。


 「天井が抜け落ちとるのは、土砂崩れか何かで崩落したのかのう?」

 いえ、邪神教団の暗黒神官が、大量召喚した骸骨軍団に削り取られました・・

 「お、おう、そうじゃったのか・・」


 怪我の功名で、日当たりが良いので作物の生育は良いらしく、ノーミンが、ハリモグラや穴熊チームを引き連れて、忙しそうに走り回っているのが救いかな。

 「キュキュ!」

 親方は解説者だから、今はダメね。

 「キュ~」


 北と西にあるメインの玄関口には、恐怖のライ麦畑が鎮座しており、火傷跡のある案山子と一緒に、獲物を待ち構えている。素直にそこから入ろうとした侵入者は不運としか言い様がないと思う。

 「他にも侵入経路があるのに、わざわざ一番危険な選択をするようなら、メイド失格ですね。冒険者としても2流止まりかと・・」

 メイドに求めるスペックが、冒険者より高いんだね・・


 「一つ疑問があるんじゃが、古参の連中が、『キャッチャー様』とか『キャッチャー大魔神』とか言って、畏怖してるのは、あの案山子なのか?」

 いえ、恐怖の大魔王は、ライ麦畑の方です・・

 「そ、そうなのか・・ここは奥が深いのう・・」

 僕もなんでこうなったのか、良くわからないですけどね・・・


 カジャが指摘した通り、丘の斜面を登って、直接、中央付近の畑や果樹園に侵入することは可能だが、そこにも番人は配置されている。

 カボチャ頭の案山子である。


 「農作物を刳り抜いて、中に蝋燭を灯す風習は、こちらにもありますが、目鼻口まで彫って、擬人化するのはご主人様の出身地方では一般的なのですか?」

 ああ、僕の住んでいた所にも、他所の国から伝わったんだけど、いつしか根付いて、今頃は街中に飾られている頃かもね・・


 畑に防衛トラップとして設置される彼らは形状は、若干、他の案山子とは違い、身体が木の枝で作られた、大雑把な人形なので、足も2本ある。そこに暗い色のボロ布で作った服を着せ、カボチャを刳り抜いて目鼻口を付けた頭部を装着すると完成となる。

 番人としての特徴は、あちこちうろつく事と、頭部だけでも機能する点で、その守備範囲は広いらしい。

 ともすると、隣の畑まで出かけたりするが、しばらくすると持ち場に戻っている・・

 夜になると、頭部に灯りが灯り、暗い服が闇に紛れて、カボチャのランタンだけが、宙に浮いているように見えるので、野生動物は恐れて近寄りもしないという話だ。

 「キュキュキュ」

 もちろん、モフモフチームも近寄らないそうだ・・

 

 「獣は避けられても、鳥や虫はどうしてるんじゃ?」

 昼間には、何も知らない渡り鳥が、果樹園のリンゴの実を狙って、飛んできたりもするみたい・・

 けれど、ライ麦畑の上を低空で飛ぶと、突然、飛来した草刈鎌で首を切り落とされるし、なんとか果樹園まで侵入しても、散弾のようなカボチャの種に撃たれて撃墜していく末路しかない。

 対空防御も完璧だよね・・・


 「いや、それやり過ぎじゃろう・・」


 畑とは別の区画に、新しく山羊・羊小屋を設置してみた。

 『めえ~』


 第1階層に拡張したダンジョンに、山羊・羊小屋(大)を設置したわけだけど、板張りの壁と屋根がある、ちゃんとした小屋だった。

 「地下の部屋に屋根付きの建物が納まっているのは、違和感があるがのう・・」

 

 ダンジョンの外に建てると、大型の肉食獣に襲撃されそうで心配なんだよね。中ならどうにでも撃退できるからね。

 まあ、それを囮にして、肉食獣を捕獲する手もありなのだけれど・・


 「放牧用の敷地は、外ですけれど、よろしいのですか?」

 牧場は、流石に外に増設するしかなかった。運動できる広さも必要だけど、なにより日光を浴びないと、家畜は弱くなってしまうからね。外敵の排除としては、木の柵は心もとないけれど、昼間の一定時間なら、警護をつけることも出来るから。

 羊が手に入ったら、狼チームには頑張ってもらおうと思う。

 ある意味、羊と狼は付き物だからね・・


 

 これらの第1階層の下に、穴熊一家の塒を拡張したトンネル通路の1・5階層が存在するんだ。湧き水や潮溜りを一箇所に集めた水場や、ヘラとニコの治療室、そしてモフモフ達の寝床などがあるエリアだ。

 ゴブリン長屋を設置するのもこの階層になる予定である・・

 『つくる?』

 いや、一応、最後まで見直しを済ませてからにしよう。


 第1階層と第2階層のあちこちに連絡口が設けてあるけれど、隠し扉になっていたり、畑に開いた穴熊の巣のように擬装してあるので、その先に、他の階層と同じぐらいの空間が広がっているのは、簡単には判らないはずだ。

 ある意味、避難用のシェルター扱いになっている。


 「癒しの泉と、ハーブ畑も、位置的には1・5階層扱いでよろしいのでしょうか?」

 あそこは出入り口が地下墓地に続く階段しかないから、まとめて第2階層扱いかなあ・・

 「キュキュ」

 親方からも同意がもらえました。


 「ご主人様、今の親方の発言は、『その通り』ではなく『ご飯まだ?』ですが・・」

 え?そうなの?

 「キュ」

 

 カジャは良くわかったね?

 「メイドの嗜みですので・・」

 いや、それぜったいにテオ関連だよね。

 「黙秘いたします・・」


 『すたどんたべる?』

 コアも、尋問しているわけじゃないからね?

 

 「キュキュ!」

 うん、これは僕にもわかるよ・・「食べる!」だよね・・


 「それではお昼にいたしましょうか」

 「キュ!」

 『きゅ!』

 「・・わしも言わないと拙いのかのう・・」


 

 どうやら休憩を挟むみたいだ・・・

 

 『じゅんびちゅう』




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