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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第10章 ドワーフキャラバン編
375/478

冥府からの使者

少し短いので加筆する予定です。

11時45分頃に加筆修正しました。

 「ご主人様、ドワーフの皆様の眷属化が終了して、第4層の居住区に移られました」

 「あ、ご苦労様、それで問題は無かった?」

 「28名の方が移住されましたが、お一方だけマリア様の眷属化希望の方がいらっしゃるのですが、いかがいたしましょうか?」


 「ああ、リンという名の女性だよね。コア、ゲスト化してあげて」

 『らじゃー』

 「ですが、他所様の眷属候補者を第4階層へ招待するのは、どうかと・・」

 「え?不味いかな・・」

 マリア自身もゲストで来ているし、問題ない様な気もするけど・・


 「マリア様は、第一階層で接待したと聞き及んでいます。さらに、あちらの待遇が不明な以上、こちらとの差を見せるのは、お互いに良くないかも知れません」

 ああ、うちの施設が良ければ行った者に不満がでるし、マリア側が良ければ、その話を聞いたこちらのメンバーから要望があがるかもね。

 まあ、マリア側の問題は、施設や待遇よりも、大量のゴブリンだろうけれど・・・


 「じゃあ、アエンを話し相手につけて、第一階層で待機していてもらおうかな」

 「お茶の用意をして参ります」

 カジャは一礼すると、コアルームから退出した。


 考え過ぎの様な気もするけど、眷属とゲストを同じ扱いにしない方が良いという事なんだろうね。

 それで思い出したけれど、冒険者4人組の方はどうなっているんだろう・・


 「コア、ビビアン達は、どうしてる?」

 『かもねぎー』

 コアが投影したダンジョンマップには、4つの緑色の光点が光っていた。

 どれも第一階層にあるが、一つだけ離れているのが分かる。その側に青の光点が二つあることから、治療班のヘラとニコが、ビビアンの容態を診ているのだろうと見当がついた。


 「ヘラ、今、ビビアンの隣にいる?」

 『はいマシュター、ニコのユニキュアを掛け終わったところでしゅ』

 「どんな感じ?」

 『もう大丈夫でしゅね。しゅぐに目がしゃめると思いましゅ』

 「そうか、ならドワーフ達の怪我も見てくれるかな。あとアルマジロが、かなり足に負担がかかっているみたい」

 『了解でしゅ、しゅぐに向かいましゅ』


 治療班がヘラとニコしか居ないのも大変だよね。しかもユニコーンのニコは、ヘラに懐いているだけで、実際にはゲストの霊獣だし・・

 あれ?何か忘れている様な気がするけど、なんだろう・・ニコに関係することかな・・


 そこへ、アズサから連絡が入った。

 『ギャギャ(マスター、アイスオークの3姉妹が、羊小屋を占領しているんですが、なんとかしてください)』

 「なんでまた、そんな事に?」

 『ギャギャギャ(空いてるから良いだろうって、勝手に寝床にしてるんです。熊も一緒です)』

 そうか、熊もいるなら広い部屋が必要か・・


 「悪いけど、しばらくそのままで。家畜が手に入ったら、移ってもらうから」

 『ギャギャ(放っておくと、そのまま居つかれますよ)』

 「うん、わかった、出来るだけ早く処置するよ」


 牧畜はアイスオークの三女の担当だから、ある意味、羊小屋はホームグラウンドなんだけどね。ただし、山羊・羊の代わりに、自分達で小屋を占領されても困るから、別に部屋を用意しとこう。

 それとアズサが怒ったのは、スノーゴブリンの皆が狭い部屋で寝起きしているのに、アイスオークの三姉妹が、いきなり広い小屋を独占したのが許せなかったのかも・・


 『ギャギャ(そんなんじゃ、ありません!)』


 とは言え、ストームタスカーまで、一緒に地下墓地に住んでいるから狭いのは確かだよね。

 『ギャギャ・・(それはまあ、そうなんですけど・・)』

 あと、専用の台所があった方が良くない?

 『ギャギャ(あれば嬉しいです)』

 今の部屋だと4人は難しいかな?二人部屋ぐらいのサイズだからね・・

 『ギャギャ(そんな・・新婚家庭だなんて・・)』

 

 いや、そんな話はしてないよ・・

 『ひゅーひゅー』



 そして僕は、大切な事を思い出す機会を失っていた。

 あの時、気がついてさえいれば、こんな事にはならなかったかも知れない・・


 それは、地下墓地の一番奥まった部屋であった・・

 天井から滴り落ちる地下水が、床に水溜りをつくっていた。

 その水面に、水滴が落ちるたびに波紋が広がっていく・・・


 やがてその波紋から、何かが姿を現した。

 禍々しい黒い刃をもつ大きな鎌だ・・

 それは、音もなく水面から突き出てくると、その端には、柄を握った手が現れたのである。


 手の先には腕が、その先には胴体が続き、 やがて黒いローブをすっぽりと被った、人の姿が出現した。

 顔はフードを目深に被っているので見えない。

 足は、宙に浮いていて、存在しない様にも見える。

 いわゆる、死神の姿に良く似ていた・・


 「どうも、闇の精霊デス・・」



 また、厄介な同居人がやって来たらしい・・・




 『ですさーてぃーん』

 ん?誰か夢の中で攻撃された?

 コアの投影マップには、不審人物を示すオレンジのマーカーが点灯していた。


 「侵入者、ってわけじゃないのか・・」

 いきなり第2層の最深部に、どうやって出現したのだろう・・

 『やみやみ』

 

 そう言われて思い出したのは、蜘蛛フィーバーの時に設置した、精霊の泉(闇バージョン)だった。

 どうやらまた知らないうちに、精霊が立ち寄っていたらしい・・


 「あ、まずいね、今、第二階層のあの付近に誰もいないや」

 ロザリオがスケルトン軍団を率いて、最北湖の警備に出張しているので、第二階層の地下墓地は閑散としている。スノーゴブリン達も、帰還したてで、まだあちこちに散らばっているので、空白地帯ができていた。


 「ワタリ、手が空いてたら新しい精霊にコンタクトをとって。いまから現場に転送するから」

 『・・ういっす、ところで新しい精霊ってどんなタイプっすか?』

 「たぶん、ヤバイ感じかな・・闇だし・・」

 『あっ、オイラ急に用事ができたっす、誰か他に・・』

 「コア、飛ばして・・」

 『あでゅー』

 「・・せめて恐怖耐性のある誰かを、って、あーーーー」


 確かに闇精霊に向き合うのに恐怖耐性は有効かもね。増援は耐性持ちの影狼のリュウにしてあげよう・・


 ワタリの青の光点が、オレンジの交点の居る部屋に転送された。

 その瞬間、オレンジの方が消えた。

 『たーげっとろすと』

 

 『ここって、地下墓地の右側の通路の奥部屋っすよね。床が水浸しなだけで、何も居ないっすよ』

 ワタリからも精霊が消失しているという報告があがった。


 「さっきまで居たんだよ。どこかに潜んでいるのかも・・」

 『脅かさないで欲しいっす・・精霊って、もしかして亡霊みたいな奴っすか?・・』

 闇の精霊だからね・・バンシーみたいなのが来る可能性もあるのか・・


 『でた』

 『ギャーっす!』

 「そっちじゃない!」

 ワタリはコアの警告に驚いただけで、オレンジのマーカーは、第一階層に出現していた。


 「まさか転移したのか?!」

 『しゃだんちゅう』

 コアの「遮断」は機能しているらしい。だとすると・・

 「物質透過か・・」


 階層の間を、非物質化してすり抜けていったようだ。幽霊や亡霊が、壁や天井を突き抜けて出現するのは、ほとんどこの能力によるものらしい。


 それにしても上に上がっていくって、どういう事だよ。普通、移動するにしても、中心部に向かってこないか?

 『逃げるつもりっすかね』

 「それならそれで、仕方ないけどね・・」

 精霊の泉で召喚できるモノ全てが、契約してくれる訳じゃないらしいし。


 オレンジ色の光点は、第一階層をふらふらしていたと思ったら、ある部屋に入り込んできた。

 「まずい!ビビアンが一人で寝てる部屋だ!」


 オレンジの光点が、緑の光点に重なるように近づいていった・・・








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