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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第10章 ドワーフキャラバン編
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久しぶりの我家

 二手に分かれたドワーフキャラバンは、無事にオークの丘へと辿り着いた。

 護衛として、ずっと離れていたメンバーは、懐かしそうにその風景を眺めていた。


 「少し外観が変わっているっすね」

 「執事小屋を造ったって聞いたぜ、ジャジャ」

 「それ羊小屋の間違いだと思いますが・・」


 ダンジョンのあるオークの丘を、初めて見る眷属達も、物珍しそうに辺りを見回していた。


 「あれが、我家か、ブヒィ」

 「義姉き、あれは違う丘だよ、こっちだって、ブヒィ」

 「義姉さん、そっちも違います・・」

 「ガウガウ」


 ブラウンベアに跨った、アイスオーク三姉妹は、さながら伝説にでてくる英雄の様であった。

 「昔話の金太〇っす」



 ドワーフ達は、未だ眷属化されていないので、少し不安そうに、丘を眺めていた。


 「小高い丘を切り崩して、畑と牧場を造ってあるのか・・」

 「なんかダンジョンというよりは、ハーフリングの集落みたいだな」

 「麦もよく実っているし、鳥も囀っている。牧歌的で良い所じゃないか」


 しかし内情を知っていて、しかも過去に痛い目にあっている冒険者の目には、違う景色に映っていた・・


 「おいおい、いつの間にか天井を取っ払って、農業を始めてるぜ・・」

 「上手い擬装さね・・あれなら誰も、元地下墓地のダンジョンだなんて思いもしないだろうからね・・」

 「麦畑のトラップも健在のようだな・・周囲のカラスも目つきが鋭いから見張りかも知れない・・」


 ちなみにビビアンは、未だに眠っていた。時々寝返りを打ったり、寝言を言ったりするので、その内に目を覚ますだろうというのが、ヘラの診たてである。



 「移動車両とアルマジロは、牧場の柵の中に入れておくっす。ここで皆の眷属化をしてから、ダンジョンに案内するっすよ」

 ワタリの宣言にドワーフ達がざわめいた。


 「牧場に移動車両ごと乗り込んで、家畜は平気なのか?」

 「オグリ達は眷属にしてもらえないの?」

 「荷物は担いで中に運ぶのかい?」

 「眷属化って、痛くないだろうな・・」

 「まずは一杯やるべ」


 「はいはい、順番に答えるっすよ。家畜は今は居ないので平気っす。牽引アルマジロは、希望するなら眷属化してもらえるっす。重い荷物は、穴熊チームが運んでくれるっすよ。眷属化は足元に魔法陣が出て、光の輪がせり上がってくるだけで、痛くも痒くもないっす。それと、そこ、宴会を始めないで欲しいっす。やるなら眷属化が終わってから、中でやるっす!」


 ワタリ一人で誘導するのは不可能なほど、現場は混沌としていた。

 ハクジャを筆頭にする居残り組が、わらわらと駆けつけて、ドワーフ達の整理にあたる。


 「ここは任せたぜ、祖父さん。アタイはクロコ達を休ませに、下へ行ってるからな、ジャー」

 「ギャギャ(こちらも、そうさせてもらおう)」

 ベニジャとアップルは、それぞれの乗騎を労わるために、早々に癒しの泉へと降りていった。



 「アタシ達の寝床はどこだい?ブヒィ」

 「お、あそこが空いてるぜ、義姉き、ブヒィブヒィ」

 「・・あれは羊小屋なのでは?」

 三姉妹は、空の羊小屋に入り込むと、勝手に腰を落ち着けてしまった。


 「丁度、柵で6つに仕切られてるし、分かり易くて良いな、ブヒィ」

 「寝藁も新品だし、こりゃ快適だぜ、ブヒィ」

 「ガウガウ」

 ブラウンベア達も、気に入ったようである。


 「・・いいのかなー」

 三女だけは、常識があった・・




 ダンジョンコアルームでは、ドワーフの眷属化の作業が最盛期を迎えていた。


 「まるで、野菜の収穫の様ですね・・」

 カジャが見えない何かに向かって、ツッコミを入れていたけれど、それに答える余裕も無かった。


 「コア、9番から14番まで、意思確認が取れ次第、眷属化して」

 『ふぁいなるあんさー』

 「ハクジャ、5号車の乗員を、車両の横に集めておいて」

 『了解しました。彼らもアルマジロ?ですか、それの眷属化も要請されております、ジャー』


 「ああ、そっちもか。コア、4頭全部に眷属化要請があったとして、DPは足りそう?」

 『なんくるないさー』

 「なんとかなるってことは、そう余裕があるわけでもないのか・・必要なら黒蜘蛛は吸収しても良いからね」

 『ほいさー』



 「眷属化の終了した方々は、どうしますか?」

 「カジャの判断で、第4階層のドワーフ居住区まで案内して。荷物はあとで運ばせるよ」

 「承知いたしました。放っておくと、あの場所で宴会が始まりそうですし、第4階層の食堂に案内してしまいますね」

 「うん、よろしく」


 カジャは一礼すると、コアルームを足早に退出していった。

 歓迎会の準備も、カジャに任せておけば大丈夫だろう。


 『マスター様、ドワーフの子供がペットも眷属化して欲しいと言っておりますが、ジャー』

 「え?アルマジロでなくて、別にペットがいるの?」

 『はい、雪原ウサギが1匹だそうです、ジャジャ』

 ウサギが1匹なら問題ないかな・・


 「いいよ、一緒に眷属化するって伝えておいて」

 『仰せのままに・・』

 

 「コア、ということでペットのウサギも眷属化してあげて」

 『ぴょん・・・んん?・・・ん?』

 え?コアが最終確認してくるほどの、なにか問題があった?


 そこへ、ウサギのスキャンデータが転送されてきた。


 スノーラビット「ピョン太」:雪原ウサギ

種族:獣? ランク4 眷属化コスト:80

HP24 MP8 攻撃15 防御4

技能:跳躍、聞き耳、逃走、掘削、蹴り

特技:ラビットキック(兎蹴撃)

備考:兎蹴撃 使用MP1 両足の同時蹴りで攻撃力が2倍



 ・・・これは、兎なの?


 『めいびぃ・・』




 

  

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