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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第1章 サバイバル編
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ある日森の中

 湖の岸辺からダンジョンのある丘に戻る途中で、木の枝や樹皮、根元に生えていたキノコや、蔦に生った紫色の小さな果実を採集しておいた。

 それと途中で、ケンが木の幹に吠え掛かるので何かと思って調べて見ると、2mぐらいの高さに斜めに深い3本の溝が傷つけられていた。

 「これは熊だね」

 「マジっすか」

 ケンチームが警戒を解かないので臭いが残っているんだろうね。

 「この高さに爪が届くとなると、かなりデカいと思う」

 爪を研いだのではなく、上から振り下ろした傷跡だ。縄張りを主張しているのかもしれない。

 「ダンジョンで迎え撃つならまだしも、外でばったり出会うと危険だね」

 「ダンジョンでだって危ないっすよ」

 「その時は、やんまーの縦回転でね」

 「え?あれって対熊用の必殺技なんすか?おいらはてっきり健康体操だと」

 「そうなんだよね、オリジナル技だと空中を飛ぶんだけど」

 「そこまでいったら魔獣の特殊技能っすよ」

 「だよね」


 その後、周囲を警戒したがら戻ったけど、熊の姿を見かけることもなく、無事に帰りつけた。しかし、湖への最短ルートが熊のテリトリーだとまずいな。迂回するにしてもどれぐらいの範囲を縄張りにしてるのか不明だし、遠回りした為にばったり出会うとかありそうだしね。しばらくは注意して移動する以外にないかな。

 熊鈴とか効くのかな?でもガランガラン音たてて歩いていたら、僕らの獲物は逃げるだろうし、亜人は興味を引いて寄ってくるだろうし、いいことないよね。これは却下しよう。


 「ただいま!」   「ぁい」「キュキュ」

 僕らのダンジョンに戻ると、コアと親方が出迎えてくれた。やんまー組は巣穴の拡張中で、皆に寝床を提供しようと頑張ってるとのこと。他の皆はしっかりと警戒中だ。

 採集してきたものの中でサンプルになりそうなのをコアに吸収・分解してもらった後で、皆をコアルームに集めて湖での話をした。

 「ヘラジカの群を狩ろうと思うんだ」

 「ギャギャーギュギャ」 「ん」

 「確かにアップルの言うとおり、普通ならはぐれた一頭を狙うのが基本だとは思うんだけど、僕らは狩人じゃないから」

 「狩りをするのに狩人じゃないんすか?」

 「僕らはダンジョンマスターとその眷属だから。食べるぶんだけ狩るんじゃなくて、狩れるだけ狩るんだよ」



 準備をしよう。

 まず採集してきた蔦を三つ編みにして紐を作る。それをさらに三つ編みにして簡易ロープを作る。長さが30cmもないけど、それなりに強度はありそうだ。

 「コア、これを分解して、リストにでたら試しで1本変換してみて」 「ん」

 で、できたのがこれ。


 丈夫な蔦のロープ 15m 10DP


 まずまずのコストだね。次にコアルームに立てた木の柵を根元から掘り返してソリの代わりにする。

 木の柵は、丸太の杭に横板が4段、隙間を少しあけて打ち付けられている。これを丸太を下にして寝かせると、横板が天板のかわりになって、正方形の簡易ソリにできる。杭の尖っている方をひっぱると、凹凸に

引っかかりにくくなって良いかんじだ。

 あ、でも急停止したときに牽引者に刺さるかも。少し削って先端は丸めておこうね。ロープを結んで引き綱をつくれば完成。これを3台作る。

 「・・・」

 穴ぼこだらけになったコアルームを見て、コアが何かいいたそうにしてる・・・

 ごめん、DPが足りないから新しい柵を設置したり、見本を分解して変換したりできないんだよ。みんな貧乏が悪いんだ。あとで綺麗に埋めなおしてもらうからね。

 「・・・ん」


 次に毛皮を変換してもらう。


 灰色狼の毛皮 6枚 10DP


 これは以前に飢狼の群を撃退したのでリストに最初からでてたんだ。他にも猪の毛皮や牙などもリスト化されていた。変換した毛皮をケン達に擦り付けて、臭いを移す。ちょっと嫌がっていたけど我慢してもらう。

 この毛皮をアップルと部下の2人にマントのように羽織ってもらい、勢子として活躍してもらう作戦だ。

隠密のできるワタリ達は逆に潜んで、止めを刺す側に回ってもらう。ソリには予備の石槍を積んで行くのを忘れないように。

 そして今回の作戦の要は、親方達だ。最近出番がないと嘆いていたから、頑張ってもらおう。

 五郎〇達は、防衛隊として残ってもらう。ダンジョンを空にするわけにはいかないからよろしく。


 「では出陣!」 「ぁい!」


 湖に近づくまでは障害はなかった。柔らかい土の上ならソリも問題なく移動できる。ヘラジカに見つからないギリギリのところで2手に分かれた。

 ヘラジカの風上に回りこむ勢子。これはアップルチームの3名+ケンチーム。

 風下に気づかれないように回りこんで、待ち伏せするのは僕とワタリ達コマンドチーム3名+親方達だ。


 待ち伏せ班は湖の岸辺の少し開けた場所を見つけると、そこで陣地を築き始める。親方達を下ろしたコマンド部隊が茂みを利用して潜伏場所を作り上げていく。親方達は湖に垂直になるように地面すれすれを筋状に何列かトンネルを掘っていった。普通のモグラでは考えられないほどの速度で掘られていくが、たぶん眷属として何かしらの補正がついているのかもしれない。

 というかそろそろ親方とかランクアップしてるんじゃないのかな?戦闘に直接関わってないから、目に見えるほど経験は貯まらないだろうけど、実は最古参だからね、オオエド親方。今度DPに余裕ができたらスキャンしとこう。

 「いつかできるといいっすね」

 「きっといつかは・・・」


 待ち伏せ側の準備が整ったら、勢子チームに合図を送ろう。

 「はい、ワタリ、合図の遠吠えどうぞ」

 「え?おいらっすか?きいてないっす」

 「うん、いってないからね」

 「無茶ぶりきたっす」

 「大丈夫、ヘラジカには奇妙に思われるだけだから」

 

 覚悟を決めたワタリが狼の遠吠えの真似をした。

 「アオーーン」

 するとすぐにケンから返事があった。

 「グァウォーーン」

 「うん、大分違うね」

 「しくしく」


 とにかく狩が始まった。

 




 


  

 

 

DPの推移

現在値:36 DP

変換:丈夫な蔦のロープ -10

変換:灰色狼の毛皮 -10

残り 16 DP

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