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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第10章 ドワーフキャラバン編
338/478

消費税、サービス税こみです

投稿がずれ込みました。申し訳ございません。

  ダンジョンコアルームにて


 あの後、魔法兵団の身柄はヒルダさんに預けた。

 なんでも、レッドベリー家の一部がクランを脱退し、「静かなる冬の木立」と「オークの丘ダンジョン」に報復を企てているそうだ。

 レッドベリー家は、事態の報告と対応に不備があったらしく、長老会議から厳しく糾弾されていて、しかも脱退者も出たことで、クラン内部での権力は、完全に失ったという。

 脱退者の方は、総勢で15名ぐらいだが、レッドベリー家の財産をほとんど持ち出したようなので、資金は潤沢だと思われる。

 

 それら脱退者に対して、長老会議から懲罰隊が派遣された。

 クランから抜けることは罪にはならないが、本家の財産を無断で持ち出した罪と、クラン自身と不可侵条約を締結した相手に対する破壊活動を償わせるつもりのようだ。

 その懲罰隊の一人が、ヒルダさんである。


 というかヒルダさん一人で十分なような気がするんだけれど・・・


 クランから脱退者達の足取りを追ったヒルダさんは、まずビスコ村に辿り着き、そこで彼らが、ギルドの依頼を隠れ蓑に王都でも知られた冒険者パーティーを雇ったことを突き止めた。

 そこで急いで、うちに知らせに来てくれたらしい。

 ついでにポチも引き取りに来たそうだ。


 というわけで、魔法兵団を名乗る冒険者パーティーは、身包み剥いだあとで、ヒルダさんに預けた。

 ヒルダさんは、彼等をポチの背中に括り付けて、離れた森に連れていくらしい。そこで説得してみるそうだ。

 寡黙なヒルダさんに、説得とかできるんだろうかと心配になる・・

 

 「ギャギャ(たぶん説得という名の威圧ですよね)」

 「ギャギャギャ(心配すべきは冒険者の命だな)」



 ポチとの別れは寂しいものになった。

 大半のメンバーが、キャラバンの護衛で出払っていたので、見送りも満足に出来なかったからだ。

 その中でロザリオだけが複雑な表情をしていた。


 「ポチの戦力が無くなるのは残念だが、スノーホワイト家の借財がこれ以上増えなくなるのは喜ばしい・・」

 そうだ、ヒルダさんに請求しとかないとね。

 『まいどありー』

 「ちょ、ちょっと待ってくれないか主殿、コア殿。請求書は、せめて父上に渡して欲しい。でないと母上からお仕置きが・・・」


 ああ、クロスさんならポチの餌代は、幾らでも払ってくれそうだよね。

 でもゴメン、ヒルダさん、後ろに居るんだ・・


 「なんの話だ・・」

 「終わったーーー」

 崩れ落ちるロザリオを踏みしめながら、ヒルダさんが確認してくる。


 「そうか・・餌の用意が無かったか・・」

 ポチの滞在は急に決まったみたいだし、邪神教団への護りに置いていってくれたようなので、こちら持ちでも構わないですけどね・・


 「いや、それはこちらの落ち度だ」

 普段なら、長期に預ける場合は餌の用意もしていくらしい。なので餌代は宝石で払ってくれるという。

 「では、こちらが請求書になります」

 『こみこみ』


 木簡に書かれたDPと、それの宝石換算額を見て、ヒルダが眉を顰めた。

 不穏な気配を感じたロザリオが、恐る恐る請求書を覗き込んだ・・


 「ぶっ!」

 そこには予想以上の金額が書き込まれていたのだった。

 「あ、主殿、これはさすがにボッタクリなのでは・・」

 いや、水増しなんかしてないよ。単に途中からアザラシの肉をおねだりするようになったから、その仕入れに掛かったDPが高くついただけで。


 「・・マリア殿も余計な事を・・」

 確かにマリアがポチを甘やかさなかったら、金額は3分の1ぐらいで済んだかもね・・


 ヒルダさんは、無言で請求額を全額払ってくれた。

 DPを物資へ変換するのは効率が良いけれど、物資でDPを補おうとすると、逆に効率が悪くなる。なぜなら金貨や宝石を吸収してもDPにはならないからだ。

 ではどうやって宝石に換算したかというと、DP分の家畜を購入してダンジョン内で屠殺した場合を想定したのだ。


 今回の請求額は740DP、牛で換算すると37頭分になった。

 もちろん実際に、街に牛を買いに行けるわけでもないし、DP変換するより放牧したほうが役に立つ。そこらへんの価値観は一先ず置いておいて、この付近での一般価格で評価することになった。


 金貨185枚相当の宝石は、ヒルダさんでも痛い出費になったようで、ロザリオを踏みつける足に力が篭っていた。

 たぶん、今後の特訓はさらなるハードモードになるに違いなかった・・・


 「くっ!殺せ、いっそ殺してくれーー」


 


  黒衣の沼の地下洞穴にて


 地化洞穴を埋め尽くすほど存在したレッドバックウィドウの軍団は、今は外に溢れ出してして、洞穴はガランとしていた。

 その中央には、途轍もなく巨大な黒後家蜘蛛と、それを護る8体のダークライダーの姿があった。


 ザリッ ガシュガシュ ザリッ ガシュガシュ


 黒後家蜘蛛の足元には、糸玉で拘束された獲物達が、山と積み上げられていて、それを片端から喰らい尽くす咀嚼音だけが洞穴に響き渡っていた。


 やがて満足したのか、巨大黒後家蜘蛛は動きを止めた・・・

 次の飢餓感が襲ってくるまでの僅かな時間、眠りにつくようだ。


 「・・主は、お休みになられたか・・」

 8体のダークライダーの中で、一人だけ黒い布で目隠しをした女性型が呟いた。


 その呟きをかわきりに、他の7名が次々と発言をした。

 「はい、しかしこのままですと、供物が足りなくなる恐れが・・」

 「外に出た者達は何をしているのか・・」

 「どうやら西へ向った者が、帰還していないようだな」

 「・・主の再誕を汚す、愚か者が居る・・」

 「西が手強いなら他へ向えばよかろう」

 「いや、障害は排除しておくべきだ・・」


 どうやらこの集団の纏め役らしい、目隠しの巫女は、しばし瞑想をした・・・

 そして魔女のしもべ達に告げた。


 「・・西の存在は、やがて我等が主に害を成す者になろう・・今のうちに摘み取りなさい・・」


 「「ははっ!仰せの通りに!」」




 


 


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