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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第10章 ドワーフキャラバン編
314/478

年齢、性別、経験、種族は問いません

 皆様からいただいた感想への返信が滞っております。申し訳ございません。

少しずつ順番に返信しておりますので、もう少々お待ちください。

 第一次護送部隊との2回目の定時連絡が繋がった。


 『てんふぉーてん』

 『ういっす、ワタリっす。今は丁度キャンプしてたとこっす・・』

 遠話のカウンターは「128」を示していた。すでに128kmほど離れた場所で、野営をしているようだ・・


 「皆、変わりない?」

 『アエンがへばっているっすね。オイラ達でもキツイ道中っすから、仕方ないとは思うっすよ』

 「その先、行けそう?」

 『本人は、頑張るっていってるっす。交渉役なんで来て貰うしかないんすけどね・・』

 あと1日の行程だし、我慢してもらうしかないか・・アエン抜きでドワーフと交渉は厳しいからね・・


 『それと、アイス・ドレイクとフロスト・リザードマン達も、この先は厳しそうっす。かなり水場が減ってきてるので・・』

 どちらも半水棲だから、陸上行動はできるけれども、長時間、乾燥した状態でいると、支障がでてくるらしい。


 「今の場所は安全そう?」

 『それなりに遮蔽物もあるし、水場にも近いし、いいかと思うっす。アップルリーダーも頷いているっす』

 「じゃあ、そこを第二補給拠点に決定するよ。手分けして改造して。5日から6日はそこでキャンプする部隊がでるからね・・」

 最初から、ドレイクの長距離行軍は難しいかと考えていたから、今の場所に1部隊残して、補給拠点の防衛に廻すプランで行くことにした。


 「蜘蛛の姿は確認できた?」

 『影も形もないっすね・・ただ、野生の動物もまったく見ないっすから、脅威がないわけではなさそうっす・・』

 不気味だね・・もっと早いうちに遭遇すると予想していたんだけど、勢力範囲が変わったのかな?・・


 『その所為で食料の現地調達が、ほとんどできていないっす。狼部隊から生肉の要請が来てるっすよ』

 運んでいるのはほとんど燻製した鮭と猪肉のベーコンだから、現地で狩りをしないと生肉は手に入らない。それが出来ないとなると、補給態勢にも修正が必要になるかもしれない・・


 「野生の動物がいない原因はわかる?」

 『推測っすけど、レッドバック・ウィドウが狩り尽くした可能性が高いっす』

 やはりそうだよね。蜘蛛を見かけないのは、すでに狩場を変えているからなのだろう・・


 「だとしたら、もっと北に行けば野生動物にも遭遇するのかな?」

 『アップルリーダーはそういう見解っす。拠点の補給も、北を中心にすればなんとかなると思うっすよ』

 南の監視が疎かになりそうで、怖いけどね・・でも食料、なかんづく生肉の補給にはそうするしかないか・・


 「了解、第二機動部隊はそのまま第二補給拠点の警備として、その野営地に駐屯すること」

 『ういっす。ただ、第一機動部隊だけだと、メンバーがスノーゴブリンに偏るけど良いっすかね?』

 あっと、確かにアエン以外はそうなっちゃうのか・・


 「ベニジャは第二補給拠点の警備隊長になってもらうから、ツンドラエルフの小隊長とシナノを交代してもらおうかな・・」

 『了解っす。親衛隊の小隊長は、めっちゃ喜んでるっすよ・・ストームタスカーに同乗できるから』

 ああ、アイス・ドレイクは、ひんやりはするけど、モフモフ感はないだろうからね・・


 『第一機動部隊は3時間後に出発の予定っす。次の定時連絡は、引渡しの現地で受けるはずっす』

 「了解、戦力が減るから、移動中の遭遇には十分注意するようにね」

 『了解したっす』


 長い会話が終了した・・

 「コア、通話時間は?」

 『ぎりぎりー』

 タイマーを見ると、01:59と表示されていた。あと2秒で、次の1分が始まってしまうところだった・・遠話も、この距離で長々使うものではなさそうだ。

 とはいえ、ウィスパリング・ウィンド(風の囁き)やアニマル・メッセージ(動物の伝言)などの情報伝達呪文だと、こちらからしか話しかけられないし、上位の相互会話呪文は使い手がいない。

 今のところは、DPの残高を気にしつつ、遠話を使うしか方法がなかった・・


 


  ビスコ村冒険者ギルドにて


 例の受付嬢には、ギルドの2階に個室が与えられていた。それはギルド長以外では唯一の厚遇ではあったが、誰からも文句がでることはなかった。

 年中無休、24時間態勢で働いているように見える彼女は、実務方のトップであり、ギルド長室は削っても、彼女の個室が無くなることはないと言われていた。

 

 「少し休憩します。あとをよろしく」

 窓口業務が一段落したのを見計らって、受付嬢が自室に戻ると、そこには待ち人がいた。

 「遅かったな・・」

 「・・ヒルダですか、どうやってこの部屋に?」


 窓は閉まったままだし、入り口には鍵が掛かっていた。それなりに重要な書類が保管されている、この部屋のセキュリティーは、それほど甘くはないはずだった・・

 進入は防げなくとも、警報は鳴るはずなのだが・・


 「ギルド長に入れてもらった」

 「・・なるほど、後でよく言い聞かせておきましょう・・それで、何か用ですか?」

 「情報が欲しい・・」

 「貴女も冒険者登録はしてあるのですから、窓口で聞けばよかったのに・・というのはヤボですか・・」

 わざわざ、人目を避けるにはそれなりの理由があるのであろう。


 「先にスネークの酒場に寄ってきた」

 「なるほど、下調べは終わっているのですね」

 「レッドベリー家から派遣された者が、何をしにギルドに来たのかが知りたい・・」


 「依頼に関する情報は、貴女といえども・・・ちょっと待ってください、レッドベリー家と言いましたか?」

 「引退して耳が衰えたのか?」

 「そんなわけないでしょう!重要な事だから再確認しただけです。少し調査する必要があります。ここで待っていてください、くれぐれもギルド内をうろつかないように!」

 そう言って、受付嬢は階下に走り去っていった。


 「あいかわらず、せっかちだな・・」

 そう呟いた瞬間、扉が開いて受付嬢が舞い戻ってきた。

 「おい、いくらなんでも速すぎないか?」


 「そんなことはどうでも良いです。どうやらレッドベリー家の使者は、私が受付にいない時間に来訪したようですね・・ギルド長が直接取り扱っています」

 「それで・・」

 「詳しい話は出来ませんが、冒険者と要面談で依頼をしていったようです・・」

 「ではその依頼の内容は?」

 「行方不明者の捜索と所持品の回収・・」

 ここまでは依頼票が掲示板に張り出してあったので、問題はなかった。ただし、依頼を受けた冒険者の情報は、王都からきた高レベルのパーティーである以上、簡単には教えることはできない。


 しかし、そこまで聞くと、ヒルダは踵を返して部屋を出て行こうとした。


 「どこへ行くのですか?」

 「娘の勤め先だ」

 「はあ?」


 てっきり依頼を受けた冒険者の素性を尋ねられるかと、身構えていた受付嬢が、あっけにとられている間に、ヒルダの姿は消えていた・・


 「誰かクランの外に就職してたかしら・・」

 受付嬢は、親友の家族構成を思い返しながら、首を捻るしかなかった・・


 


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