表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
302/478

二人でお酒を

後半部分が書ききれなかったので、次話に続きます。

 「ましゅたー、おたしゅけ隊の人達が待ってましゅけど、いいんでしゅか?」

 ヘラが、宴会の準備が整った水霊の洞窟に降りてきて、大切な事を思い出させてくれた・・


 「やばい、すっかり忘れてた・・」

 約束したのは今朝だったのに、もうお昼過ぎてるよね・・

 「どうしゅるでしゅか?宴会に呼ぶでしゅか?」

 すっぽかしたお詫びにご馳走した方が良さそうだけど、眷属化していない冒険者を3階層まで案内するのもどうなんだろう・・


 彼らと一番接触した回数の多いノーミンに尋ねてみると、

 「まあ彼らが敵対することはないと思うだよ。ただしギルドに強制されて見取り図ぐらいは描かされるかもだな」

 ということだった。

 だよね・・板ばさみにするのも可哀想だし、会場を二つに分けようか・・

 「モフモフ助け隊と面識のあるメンバーは屋上テラスに移動して、それ以外のメンバーはここに留まって」

 「キュキュ」

 「ギャギャ(了解です)」

 「バウバウ」

 「オラとヘラとグドンも屋上だで」

 邪神教団戦のときに、彼らと一緒に行動したか、それ以前に面識のあるメンバーが屋上テラスのバーベキュー会場に、料理の並んだ皿と酒壷を抱えてぞろぞろ移動し始めた。

 

 「主殿、私はどちらだ?」

 最終戦で暗黒神官騎士を倒したロザリオは各方面に目撃されているので、面識があるといえばある・・

 「ロザリオか・・説明が面倒だから直接的な接触は止めて置くのが無難かなー」

 見た目スケルトンなのに、カパカパ飲み食いするのは色々まずそうだしね・・


 「アタイらは関係ないし、腹ぺこだし、もう始めようぜ、ジャー」

 「え?まだ飲んじゃマズかったですか?ういっく」

 「たいていは、マスターから一言あってから開始っすよ、モグモグ」


 フライングする気満々のベニジャと、既に盗み食い、盗み飲みしているアエンとワタリが居た・・

 『もぐもぐもぐ』

 そしてコアまでも、つまみ食いをしていた・・

 『ん? んぐんぐ』

 いや、そんなに急ぐと喉に詰まるから・・

 『んぐっ!・・・・!!』


 ほら!水飲んで、水!

 『こくり・・ぷはぁ~』

 

 その横で給仕をしていたリザードマンの女性が、何かに気がついて慌てていた。 

「あ!マスター様、それ、水じゃなくて、リキュールです。新作のシードルを2段階蒸留した強い果実酒です!シャー」

 え?本当?蒸留器とかいつの間に?


 「アエン様が、旅に出る前に、将来絶対必要になるからって・・・試験的に稼動させたのですが、まずかったでしょうか?シャシャ」

 いや、それはいいんだ、お酒の管理と開発は、杜氏に任せているから・・問題はコアが酔っ払ったことだよね・・


 『えへへっ』

 天井付近まで浮き上がって、くるくる回っているコアは、何が可笑しいのか、笑いながらメンバーをスキャンし始めた・・

 やがて、スキャンされたら一発芸みたいなノリが蔓延して、第一会場は混沌の渦と化していった・・


 「あ、コア、データはちゃんと保存しておいて・・あとできるだけ重複はしないようにね・・」

 『らららら~♪』

 スキャンはどうせするつもりだったから、良いんだけど、重複はDPの無駄になるからね。

 あと、遠征にもバトルにも参加していないメンバーはスキャンの必要性がないけれど、そこまではコントロールできそうにないね・・・


 「にぎやかですね、こちらはいつもこんな感じですか?」

 初めて宴会に参加したカジャが、ニコニコしながらテオに話しかけている。彼女は酒にも強いらしく、ほとんど酔った風にも見えない。ただ頬がほんのり紅く染まっているぐらいであった・・

 「どうですかね? バトルの祝勝会も兼ねているそうなんで、いつもより派手かな?」

 凍結蜥蜴人から見ればかなりの美人が、寄り添ってお酌をしているのに、テオは逆隣のやんぼーのご機嫌をとるのに夢中のようだった。

 

 さらに、新開発のリキュール(アップル・ブランデー)はコア以外にも泥酔者を続出させていた・・

 「ああ、なんだあ?アタイの酒が飲めねえってのか?いい度胸じゃねえか、そこまで言うなら、この酒、飲み干してみろや、ジャー」

 ベニジャは理不尽な絡み酒のようだ・・若い衆の中でも酒に弱い者が、どんどん酔い潰されていく・・


 「どうせ私は、実家の飼い熊にも見放される類の、いらない娘だったのだ・・前回のバトルも狭い通路で、ずーーーっと待ちぼうけしていたし・・・」

 ロザリオは、隣にいるはずの穴熊婦人会に愚痴をこぼしていた・・・最初は話を聞いてあげていた、やんまま達も、愚痴が1周したあたりで、穴を掘って逃げ出していた・・

 今は、代わりに置かれた双子姉妹の人形に向かって、延々と話し掛けている・・


 「んーー、ここの杜氏さんは良い仕事してますねー。この短期間でこれだけの蒸留酒を造るとは・・ういっく」

 アルコール度数の高い果実酒が出来て、ご満悦のアエンであった。


 『ふへへっ』

 あ、コアの笑い声がヤバイ気配にかわってきた。

 誰だよ、コアにお酒を飲ませたのは・・・


 僕でした・・・




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ