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ダンジョンマスターは眠れない  作者: えるだー
第9章 氷炎の魔女編
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かっこうの巣の中で

 『さて、そろそろお暇しようか・・これ以上、ダンジョンを離れていると色々問題もでてきそうだし・・』

 ボンさんは、そう言って帰り支度を始めた。ゴブシロードやゴブタロウは大人しく従っているが、一人だけ駄々をこねる人物がいた・・


 「やだやだやだ、アタシはもっと癒されたいの!」

 ポチの背中に、まーぼーとタンデムして仮想ルームを周回していたマリアが、いつもの我が侭を言い始めた。


 『もうゴブリン縛りは無いのだから、家で好きなだけ眷属にすればいいだろ?・・』


 以前は、ゴブリン使いへの復帰も視野に入れて、他の種族は眷属化しないでいたそうだ。

 『ゴブシロードをポリモーフ(変化)でゴブリンに変えるとか、本人も周囲もゴブリンだって思い込むとか、無茶苦茶な案もでたりしたんだ・・』

 結局どれも採用されなかったらしい・・


 『図鑑のコンプリートで、称号が復活して、しかも他の種族がいても無くならないようになったわけだから、動物王国を作るのも夢じゃないぞ・・』

 「だって・・・狼や猪は近所で捕獲できるけど、アナグマとかハリモグラとか、めったに居ないじゃない!」


 いや、アナグマは割りと見つかると思いますよ・・ハリモグラは進化だから、ちょっとはレアかな・・


 「しかも、こんなに意思が通じるモフモフなんて、いっこないわ!」


 ああ、それはうちのメンバーの特徴だよね・・完全に共通語を理解しているっぽいから・・

 「キュキュ?」 「「ギュギュ?」」

 うんそう、他の獣はそこまで人族と会話できないみたい・・

 「キュー」 「「ギュー」」


 『いや、ハリモグラやアナグマと普通に会話してる君も、かなり変わってると思うぞ・・』

 「え?そうですか?ダンジョンコアのサポートがあれば、これぐらいできますよね?」

 『そりゃそうだけど、今の会話は彼女は中継してないだろ?』


 コアは、「管理人さん」となにやら話をしている・・というか覚醒したコアに、「管理人さん」が根掘り葉掘り質問している状態だ・・

 「ええ、まあ、そうですね・・これぐらいの会話ならコアがいなくても出来ますね・・」


 『それ、普通じゃないからな・・』

 うーん、特に気にしてなかったけど、そうなのかな?

 「キュ?」 「「ギュ?」」


 「とにかく親愛の情を持って、長く一緒に過ごしていれば、意思の疎通はできるようになりますよ」

 『だそうだぞ・・』

 「ぐぬぬ、それはアタシのモフモフ愛に対する挑戦ね!いいわ、受けて立とうじゃないの!」

 マリアは、僕の助言を、親愛度が足りないという挑発にとったらしい・・まあ、引き上げてくれるならどっちでも良いんだけどね・・


 「いい、1年後にはアンタに負けない究極のモフモフ軍団を造り上げてみせるわ!その時はどちらが、よりモフラーとしての高みに居るか、勝負よ!」

 いや、モフラーにランクとかあるんですかね?


 「いいだろう、我等がモフモフ隊が常に至高であることを、その身に思い知らせてやろう」

 復活したロザリオが乗り乗りで受け答えし始めたよ・・


 「・・これって、来年も会いましょうってことですよね?・・」

 『・・ああ、そのときはまた、よろしくな・・』

 「・・ボンさんもお元気で・・」

 『あでぃおす』



 そしてマリアはボンさんと一緒に自分のダンジョンへと帰っていった・・


 ポチに跨ったまま・・


 「ポチーー、カム、バッーーク」  カム、バッーク  カムバッーク


 ロザリオの悲痛な叫びが、仮想空間に木霊していった・・・



 なお、次の日には、何事も無かったかのように癒しの泉で水浴びをしているポチの姿があった・・



 「で・・なぜ貴女はまだ、ここにいるんですか?」

 『あらあら、お姉さん嫌われちゃったかしら?』

 仮想空間も閉じて、自分のダンジョンに戻ったにもかかわらず、なぜか「管理人さん」が、うちのコアルームに鎮座していたのだ。


 「そうではなく、お仕事終わったら戻らないといけないんじゃないんですか?」

 「姫」とかも区切りがつくと名残惜しそうにしながらも、すぐに管理センターに戻っていったはずだ。


 『大丈夫、お姉さん、まだお仕事中だから、うふふ』

 「というと?」

 『ダンジョンバトルで契約されたドワーフの移住が、外部の強制なしに自由意志で行われたかどうかを監視する必要があるの。だからもうしばらくご厄介になるわね、うふふふ』

 「それなら管理主任の貴女でなくても出来るのでは?」

 『あらあら、退屈なセンターでのお仕事より、こちらで貴方達を見守っていた方が面白いもの。後輩に譲ってなんてあげないわ、うふふふ』


 つまり、さぼって遊んでいるわけですね・・・


 『あらあら、邪魔にならないようにしているから、いいでしょ?』

 そう言いながらも、コアルームの台座に鎮座しているから、すでに邪魔なんですけれど・・

 

 『うんしょこらしょ』

 コアが一所懸命、横から押しているけど、ビクともしないみたいだ。

 『どいてーー』


 『あらあら、コアちゃんは浮遊できるからいいでしょ?ここはお姉さんに譲って欲しいなぁ』

 『だめーーこあの』

 『あらあら、欲張り屋さんね♪ しょうがないからどいてあげる、うふふ』


 コアはオーブを台座にセットすると、各システムをチェックし始めた。

 『あらあら、心配しなくても、悪さなんてしてないわ、うふふ』

 そう言われて、僕も心配になった。


 「他のダンジョンのコアルームを乗っ取ったりできるんですか?」

 『あらあら、急に心配になっちゃった?でも大丈夫、普通・・のダンジョンコアなら、それはできないから』

 「・・普通でなければ?」


 すでに答えはわかっていたけれど、聞かずにはいられなかった。


 『その特殊機能を持っているダンジョンコアも存在するの、だから気をつけてね、うふふふ』



 


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